夏の高校野球:九州学院が猛攻で松本工に快勝

2010年8月7日 12時52分 更新:8月7日 18時38分

 第92回全国高校野球選手権大会(日本高校野球連盟、朝日新聞社主催、毎日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)開幕日の7日は1回戦3試合。開会式に続く第1試合は、10年ぶり出場の九州学院(熊本)が全員安打の計18安打14得点の猛攻で、春夏通じて初出場の松本工(長野)に快勝。第2試合は20年ぶり出場の成田(千葉)と6年連続出場の智弁和歌山(和歌山)との顔合わせ。第3試合は12年ぶり5回目の八戸工大一(青森)と、創部6年目で初の甲子園に臨む英明(香川)がぶつかる。

 ○…九州学院が鮮やかな先制攻撃で、松本工の柿田を攻略した。一回1死、溝脇からの3連打で満塁とし、富高の走者一掃の左中間二塁打で先手を取ると、二回にも井、溝脇の連続適時打などで3点を加えて突き放した。先発の渡辺は落差の大きな変化球を主体に1失点完投。松本工は序盤の大量失点が響き、投打に精彩を欠いた。

 ○…開幕試合の緊張感の中でも、持ち前の観察眼を発揮した。打線が大量点を奪った九州学院はエース渡辺も1失点で完投し、五回2死まで走者を許さない好投。相手打線をひと回り抑えたところで感じたのは「直球が走っている」と「向こうはどんどん振ってくる」。腕が振れている分、変化球も生きる。スライダーは縦に曲がる速いタイプより横に流れる緩めの方が有効と見抜き、ボール球を振らせた。3日前の組み合わせ抽選会で開幕戦と決まった瞬間から「開き直るしかない」と腹を据えた。冷静な投球術を生んだのは、この度胸の良さだった。

 ○…「観客が多くてすごい雰囲気だった」と、初の甲子園にのまれてしまった松本工の右腕、柿田。マウンド上で力んでしまい、直球はシュート回転。力を抜こうとすると、変化球の制球が甘くなった。「速いスイングで逆方向に運ばれた」と立ち上がりから相手打線につかまり、四回までに12失点。ベンチで中村監督から降板を告げられたが、続投を志願して五回を初の0点に抑えてマウンドを譲った。「打たれたまま終わりたくなかった」。長野大会を一人で投げ抜いたエースの意地だった。

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