2010年8月6日 20時55分 更新:8月6日 23時8分
【カイロ和田浩明】商船三井所属の大型原油タンカー「M・STAR」(16万トン)が中東のホルムズ海峡で損傷したことについて、アラブ首長国連邦(UAE)の国営首長国通信は6日、当局が爆発物の痕跡を船体から発見し、「テロ攻撃を受けた」とみていると報じた。テロ攻撃が事実なら、世界有数の原油輸送航路であるホルムズ海峡の安全体制が問われそうだ。
UAE沿岸警備隊の「責任ある関係者」は同通信に対し、タンカーの右舷後部の喫水線上で見つかった船体のへこみから、手製爆薬の痕跡が見つかったことを明らかにし、「爆発物を満載したボートによるテロ攻撃」との見方を示した。
タンカー損傷をめぐっては、国際テロ組織アルカイダ系の「アブドラ・アッザム旅団」を名乗るグループが3日、「自爆攻撃を行った」との声明を発表していた。
M・STARは先月28日未明、原油27万トンを満載してホルムズ海峡を航行中に船体を損傷した。これまで外部からの攻撃や衝突などの説が出ていた。
UAEのフジャイラ港に寄港していたM・STARは6日、船体の修理を終え、当初の目的地だった千葉港に向け出港した。
ホルムズ海峡は世界の海上輸送原油の4割が通るエネルギー運輸の要衝。中東原油を日本に運ぶ重要なルートで、昨年だけで日本船主協会加盟社の原油タンカー1400隻が通過した。
商船三井の広報室は6日「UAEの当局に事実関係が分かったら教えてくれるよう要請しているが、正式な声明やリポートをもらっていない。原因についても、何も報告はない」とコメントした。【平井桂月】