2010年8月6日 21時45分 更新:8月6日 23時33分
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は6日、東京都内で仙谷由人官房長官らと相次いで会談し、日米共同声明で決めた同県名護市辺野古周辺への移設について「受け入れは極めて困難」などと政府側に文書で見直しを要請した。政府は、地元との協議機関を設置して移設問題を前進させたい考えだが、知事は辺野古移設を前提にした協議機関には応じない姿勢で、両者の溝は深い。【西田進一郎】
「(日米実務者協議の説明は)全くない。できないこと決めたって意味がない」。北沢俊美防衛相、仙谷氏、岡田克也外相と相次いで会談した仲井真知事は岡田氏との会談後、政府に対する不快感を記者団にあらわにした。
仲井真知事は一連の会談で、県と県内の基地関係27市町村で作る「沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会」(会長・仲井真知事)がまとめた普天間飛行場の早期全面返還や訓練移転など7項目を政府に要請。要請書では日米共同声明の移設案について「県民の納得いく形で解決する必要がある」などと明記した。
仲井真知事によると、要請のうち普天間問題について、政府側からの具体的な説明はなく、協議会の呼びかけもなかったという。
沖縄では「県外移設」を求める県民世論が高まり、11月の知事選出馬に意欲を示す仲井真知事としても県内移設が前提の協議会には参加しにくい。政府側は「幅広く沖縄の問題を協議する場所を設けるのは重要」(北沢氏)など、基地負担軽減や沖縄振興を重要議題とすることで沖縄側を巻き込んだ協議機関を設置したい考えだ。
沖縄との信頼関係再構築に向け、仙谷氏は6日夜、仲井真知事を都内のホテルでの夕食に招いて約2時間懇談。知事は終了後、記者団に「初めての食事だから具体的な話は全然なし」と語った。11日には福山哲郎官房副長官が沖縄を訪問し、日米共同声明の経緯を説明、協議機関設置でも意見交換したい方針。