2010年8月6日 12時20分
【モスクワ大木俊治】ロシアが5日、深刻な干ばつを理由に、小麦など穀物類の輸出を今月15日から年末まで一時禁止する措置を発表したことを受けて、同日の米シカゴ商品取引所の小麦先物相場は取引の中心となる9月渡しが一時、値幅制限いっぱいまで上昇。1ブッシェル(約27キロ)=7.8575ドルと約1年11カ月ぶりの高値で取引を終えた。
世界4位の小麦生産国のロシアのほか、カザフスタンやウクライナなどでも干ばつの影響で大幅な減産が見込まれる。市場では小麦価格の一段の高騰を予想する声が出ており、投機筋の買いも膨らんでいる。
ロシアは今夏、過去130年の観測史上、最高の猛暑を記録。この影響で、中部や南部の穀倉地帯など28地域で干ばつによる非常事態が宣言され、農業省によると、今年の穀類の収穫量は7000万~7500万トンと、昨年(約9300万トン)から2割前後減少する見通し。小麦の国際価格は7月の1カ月間で約40%も急騰しており、ロシアの一時輸出禁止は小麦高騰に拍車をかける形となっている。
パンやめん類をはじめ小麦使用量の8割強を海外産に頼る日本への大きな影響も予想され、政府は「(ロシアの禁輸で)小麦価格に影響が出てくると思う。推移を見守りたい」(山田正彦農相)と警戒している。