広島原爆の日:核廃絶、世界で…国連総長、米英仏が初参加

2010年8月6日 10時53分 更新:8月6日 13時17分

原爆投下から65年。多くの人が参列した平和記念式典。奥は原爆ドーム=広島市中区で2010年8月6日午前8時57分、本社ヘリから貝塚太一撮影
原爆投下から65年。多くの人が参列した平和記念式典。奥は原爆ドーム=広島市中区で2010年8月6日午前8時57分、本社ヘリから貝塚太一撮影
献花する潘基文国連事務総長=広島市中区の平和記念公園で2010年8月6日午前8時10分、馬場理沙撮影
献花する潘基文国連事務総長=広島市中区の平和記念公園で2010年8月6日午前8時10分、馬場理沙撮影

 被爆地・ヒロシマは6日、人類史上初の原爆投下から65回目の原爆の日を迎えた。秋葉忠利・広島市長は平和宣言で、被爆国である日本政府に対し、非核三原則の法制化や「核の傘」からの離脱実現を求め、核廃絶の先頭に立つよう訴えた。平和記念式典には国連トップの潘基文(バン・キムン)事務総長や原爆を投下した米国の代表、核保有国の英仏代表も初めて参列した。潘事務総長は式典後の講演で、核軍縮・不拡散をテーマにした国連安全保障理事会首脳級会合の定期的開催などを提案。核兵器廃絶の潮流を加速させる「8.6」となった。

 広島市中区の平和記念公園で午前8時に始まった平和記念式典には、過去最多となる74カ国から駐日大使らが参列した。オバマ大統領が「核兵器なき世界」を提唱した米国からはルース駐日大使が出席し、「未来の世代のために、わたしたちは核兵器のない世界の実現を目指し、今後も協力していかなければならない」とのコメントを出した。

 秋葉市長は平和宣言で「核兵器廃絶の緊急性は世界に浸透し始めている。世界市民の声が国際社会を動かす最大の力になりつつある」と述べ、今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議での潘事務総長のリーダーシップをたたえ、日本の首相に対しては、核保有国の首脳に核兵器禁止条約締結を働きかけるなど具体的な行動を迫った。自らは非政府組織(NGO)や国連などと協力、自身が会長である平和市長会議が提唱する2020年までの核廃絶実現を掲げ、「被爆者が『生きていて良かった』と心から喜べるよう死力を尽くす」と約束した。

 潘事務総長は「平和のために広島に参りました」と日本語を交えてあいさつし、「被爆者の方々が生きている間に、核兵器のない世界を実現しよう」と呼びかけた。

 式典には約5万5000人が参列。秋葉市長と遺族代表2人が、この1年間に死亡、または死亡を確認した被爆者5501人の名簿2冊を原爆慰霊碑下の奉安箱に納めた。原爆死没者名簿は計97冊、死没者数は計26万9446人になった。

 菅直人首相や潘事務総長らが献花。米軍機「エノラ・ゲイ」が原爆を投下した時刻の8時15分、参列者は1分間の黙とうをささげた。こども代表として、小学6年の横林和宏君(11)と高松樹南(みきな)さん(11)が「ヒロシマの願いを世界へ未来へ伝えていく」とする「平和への誓い」を読み上げた。【矢追健介】

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