2010年8月6日 6時0分
新型インフルエンザウイルス(H1N1)がパンデミック(世界的大流行)を起こした原因となる遺伝子変異の特定に河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)らのチームが成功した。6日、米科学誌「プロス・パソジェンス」電子版に掲載された。
これまで鳥や豚のインフルエンザウイルスを作る遺伝子のうち、増殖の役割を担うRNA(リボ核酸)を構成する2カ所のアミノ酸が変異すると、ヒトに感染して増殖することが知られていた。だが、昨年大流行した新型ウイルスはなぜかこの2カ所の変異がなかった。
河岡教授らは新型ウイルスで見つかった複数の変異のうち共通していた3カ所目のアミノ酸の変異に注目。本来ヒトには感染しにくい強毒性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の同じ個所を遺伝子工学の技術で変異させたところ、ヒトの細胞で増殖した。
河岡教授は「これらの3カ所の変異のポイントに注目し、強毒性鳥インフルエンザの大流行を警戒する必要がある」と話している。【関東晋慈】