2010年8月5日 22時28分 更新:8月5日 23時35分
自民党の中曽根弘文前外相(64)=伊吹派=は5日、11日に行われる党参院議員会長選挙は「オープンな形が好ましい」として立候補を表明した。事前の党内調整で谷川秀善参院幹事長(76)=町村派=の無投票当選の流れができつつあったが、派閥主導の人事を嫌った中堅・若手議員が押し返した。青木幹雄元参院議員会長の政界引退で「重し」がとれ、会長選を通じてベテラン対中堅・若手の世代間対立が強まっている。【岡崎大輔】
歴代の参院議員会長選は無投票が続いてきた。今回も前任の尾辻秀久氏が参院副議長に就任したのに伴い、町村、額賀、古賀3派の調整で谷川氏の昇格が固まっていたが、初めての選挙戦になる。
中曽根氏の擁立に動いたのは、山本一太元副外相や丸山和也参院議員ら無派閥の中堅・若手。中曽根氏は5日の会見で「新しい方にもベテランの方にも賛同していただいた」と述べ、15人の推薦人を確保するめどがついたことを明らかにした。
自民党は参院選で「改選第1党」になり、野党が多数派を占める参院での注目度は高まっている。山本氏は「派閥均衡の年功序列人事が変わる。古い参院自民党から一歩踏み出す大きな流れだ」と自賛した。
与党時代には、参院自民党の運営に衆院側は容易に手出しできなかった。閣僚・党役員人事で派閥の意向を度外視した小泉純一郎元首相でさえ、「参院枠」は青木氏の判断に委ねていた。尾辻、谷川両氏らはこの慣例を踏襲しようとしたが、谷垣禎一総裁は5日の会見で「堂々と公明正大な選挙をし、期待される役割を果たせる体制を作ってほしい」と注文をつけた。
中曽根氏は会見で「新しい時代にふさわしい参院自民党を作る先頭に立ちたい」と強調したが、具体的な方策には言及していない。一方の谷川氏は5日、記者団に「われわれは派閥ではなくグループだ。色眼鏡をかけてものを言うたら、世の中狂ってくるよ」と述べ、「派閥主導」との見方を否定してみせた。議員会長選の投票は無記名で行われ、新会長が参院幹事長や国対委員長を指名する。自民党関係者は「今回の参院選では公募候補が多数当選し、派閥の締め付けはききにくい」と波乱要因を指摘した。