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FD改竄 前特捜部長ら逮捕 犯人隠避の疑い 大阪地検組織ぐるみか

会見で謝罪する柳俊夫・大阪高検検事長 大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)事件で、主任検事の前田恒彦容疑者(43)=証拠隠滅容疑で逮捕=が故意に証拠品を改竄したことを知りながら、過失にすり替えて前田容疑者の検挙を見合わせたとして、最高検は1日夜、犯人隠避容疑で、前特捜部長の大坪弘道容疑者(57)と、前副部長の佐賀元明容疑者(49)を逮捕した。検察関係者によると、2人は調べに対し、容疑を否認しているという。

 主任検事の改竄事件は、当時の特捜部長らによる事件もみ消しという異例の事態に発展。特捜部が組織的に隠蔽行為をした疑いが濃厚になり、国民の検察庁への信頼は一段と失墜した。

 逮捕容疑は、大坪、佐賀両容疑者は共謀。今年2月上旬、大阪地検庁舎内で、東京出張中の前田容疑者に電話し、証拠改竄を過失と説明するよう指示。さらに同月10日には、この指示に基づいて前田容疑者が持参した上申書案を修正させ、証拠改竄を過失にすり替えて前田容疑者の検挙を見合わせたとしている。

 検察関係者によると、前田容疑者が改竄した証拠品は、特捜部が昨年5月、郵便不正事件で厚生労働省元係長の上村勉被告(41)=公判中=の自宅から押収したフロッピーディスク(FD)の最終更新日時。

 厚労省元局長の村木厚子さん(54)=無罪確定=の初公判をきっかけに、前田容疑者は今年1月末から2月初めにかけて、大坪容疑者らに「意図的に書き換えた」と報告していた。

 しかし、大坪容疑者らは過失での処理を決め、小林敬検事正らに対し故意の改竄があったことを告げずに「FDをめぐって検事間のトラブルはあったが、問題はない」などと虚偽の説明をしていたという。

 最高検は大坪、佐賀両容疑者から6回にわたって事情を聴いたが、ともに「故意に改竄したとは知らなかった」と説明していた。しかし、最高検は前田容疑者への取り調べ状況などから、大坪容疑者らが故意の改竄と認識しながら事件をもみ消したと判断した。

 最高検は、大坪容疑者を京都地検次席検事から、佐賀容疑者を神戸地検特別刑事部長から、それぞれ1日付で大阪高検総務部付とした。

検事長苦渋「重大な事態」

 大阪地検特捜部の前部長と前副部長の逮捕を受け、大阪高検の柳俊夫検事長は1日深夜、緊急会見を行い、「検察の現職幹部2人が逮捕されるという重大な事態に至ったことは誠に遺憾。深くおわびする」と陳謝した。

 柳検事長は冒頭、硬い表情で用意したコメントを読み上げ、「今後も最高検の捜査に全面的に協力するとともに、事態を重く受け止め、検察に対する信頼回復に全力で取り組む」と、深々と頭を下げた。

 「国民の信頼が損なわれたのでは」という問いには、「逮捕という極めて重大な事態であり、信頼を損なう面があったことは否めない」と話した。

 ただ、捜査状況については「最高検で捜査中。お答えしかねる」と明らかにせず、準備した書面に目を通しながら、慎重な言い回しに終始した。

 「特捜部は必要なのか」「検事長の監督責任は」と厳しい質問も相次いだが、柳検事長は「最高検の検証が終わらないとコメントできない」と繰り返すのみ。記者から「個人としての言葉が聞きたい」と追及されても、「最高検の捜査を踏まえてから」と述べるにとどまった。

【写真説明】会見で謝罪する柳俊夫・大阪高検検事長 =大阪市福島区 (竹川禎一郎撮影)

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