最低賃金:15円引き上げ 平均728円に

2010年8月5日 11時38分 更新:8月5日 13時27分

 厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」の小委員会は5日、最低賃金(現行時給平均713円)の引き上げ目安額について、全国平均を02年度以降では最高の15円とすることを決めた。引き上げ幅は最高の東京や神奈川で30円、最低でも青森など41県の10円となった。最も低い水準の沖縄や宮崎など16県では初の2ケタの引き上げで、使用者側は6日に予定されている審議会本審への報告に反対。20年の全国平均1000円を目指す労働側は「目標に向けた第一歩」と一定の評価を示した。【市川明代】

 同審議会は、都道府県をA~Dの4ランクに分けて検討。全ランクの引き上げ額を10円とし、生活保護の給付水準を下回る「逆転現象」の起きている12都道府県については別途考慮して決定した。最低賃金は目安を基に各地方で審議されるが、目安通りに引き上げられれば、青森、秋田、千葉、埼玉で今年度中に乖離(かいり)が解消されることになる。最低賃金の全国平均は728円となる見通し。今年度が生活保護との乖離解消の期限となっていた東京、神奈川、大阪など6都府県については期限を1年延長した。

 審議では、特に低い水準にある地域について、労働側は景気回復を理由に最低18円の引き上げを求めた。一方、使用者側は、参院選での民主党敗北を受け「地方の企業は大幅引き上げに耐えうる体力がない。具体的な中小企業支援策とセットで議論する必要がある」などとして、「1~3円の引き上げにとどめるべきだ」と反発。両者がこれまでになく大きく対立した。

 民主党は衆院選の政権公約(マニフェスト)で「全国平均1000円」を掲げた。6月には、政労使の代表による「雇用戦略対話」で中小企業支援などを条件に、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」との内容で合意。長妻昭厚労相は諮問にあたり、その合意をふまえるよう求めていた。

 ◇ことば 最低賃金

 地域の経済状況や物価などを参考に地域ごとに決められる賃金の最低限度。中央最低賃金審議会が決めた目安を基に、使用者代表、労働代表などでつくる各都道府県の地方最低賃金審議会が協議し、各労働局長が最終決定する。雇用形態を問わず、全労働者に適用される。09年度の全国平均は713円。最高は東京都の時給791円、最低は佐賀、長崎、宮崎、沖縄各県の同629円。12都道府県は時給換算の生活保護費を下回った。

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