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存在感を増す部品メーカー各社

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2010/10/04 10:01
佐伯 真也=日経エレクトロニクス

 「数年前に比べて,部品メーカーの存在感が増している」――。

 民生機器に搭載される主要な電子部品の調達について,機器メーカー各社の調達担当者にお話を伺う機会がありました。2009年夏ごろから続く「部品不足」について,機器メーカー各社の対応を取材するためです。この中で,機器メーカーと部品メーカーの関係の変化について伺った際に,担当者の多くが回答したのが冒頭の発言です。部品調達について,「機器メーカーが主導権を握る形で,購入部品の数量や価格,時期を確定できなくなっている状況」(多くの調達担当者)といいます。

 こうした状況の変化は,米Apple Inc.や韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.といった一部の「勝ち組」を除く,ほぼすべての機器メーカーに直面しています。ソニー 業務執行役員 SVP 調達本部 本部長の高野瀬一晃氏は,「以前は『上げ膳据え膳』の関係で部品を調達できたが,現在は我々よりも優先度が高いメーカーが存在する」と語るほどです。

 実際,部品メーカーの機器メーカーに対する発言は,強さを増しているようです。例えば,ある海外大手パソコン・メーカーでは,液晶パネルを調達する際に海外のパネル・メーカーから多くの要望を受けているといいます。「通常,製品ラインアップごとに液晶パネルの表示方式や色再現範囲などの仕様を決めて発注する。しかしパネル・メーカー側からは,『画面寸法が同じであれば,品種を統一して欲しい』と要望されることがある」(液晶パネルの調達担当者)とのこと。もちろん,「品種を統一した分,液晶パネルを調達できるが,上位モデルとそれ以下のモデルでは,同じパネルを搭載しにくい事情もある」(同氏)ため,対応に苦労されているようです。

 さらに,海外パソコン・メーカーの調達担当者は,「他社と同じ液晶パネルを搭載しないかと提案されることもある」と続けます。これは,顧客である機器メーカーの要望よりも,自社の製造ラインの効率化を優先したと捉えることができそうです。実際,「この提案を受けることはなかった」(同氏)といいますが,パネル・メーカーがこうした提案をしていることに驚きました。

 機器メーカーの存在感が増している理由は何か――。その一つには,Apple社やSamsung社といった「一人勝ち」メーカーの出現によって,部品メーカー側から見た多くの機器メーカーの優先度が相対的に低下していることが考えられます。業界の再編によって,主要部品の大手部品メーカーが数社に絞られていることも理由の一つといえそうです。日経エレクトロニクスでは,2010年10月4日号の特集記事「部品不足を乗り切る」で,機器メーカーと部品メーカーの関係変化についてまとめました。ご興味のある方は,ご一読いただけますと幸いです。

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2009年夏ごろに始まった主要部品の供給不足が電子機器業界を揺るがしている。この問題は,機器メーカーと部品メーカーの力関係が変化しつつあることの表れである。機器メーカー各社は,必要な部品を安く確実に調達するための対策を講じ始めた。(続きを読む

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