マスコミは相変わらず中国問題をクローズアップさせ、ひたすら日本人の不安を煽っています。
私は常々、日本人のブラッシュアップ力(進化させる力)は世界一であると講演等で訴えてきました。その私にとってこのところの中国脅威論は稚拙な議論に思えてなりません。
夏目漱石は、日本の和魂洋才を「猿マネ」と評しましたが、中国は日本人のその「猿マネ」をさらに自国に「コピペ」したようなものであり、現在の繁栄は自力で勝ちえたものではなく決して長続きするものではありません。
日本のアナリストや政治家、企業経営者は中国を知り、中国に勝利する続けるためには、ディズニー・テーマパークを学ぶことなしあり得ないことに全く気付いていません。就職活動をしたり卒業論文を書いたりする学生や、会社にこれからの戦略をプレゼンテーションするビジネスマンは、ぜひ東京ディズニーランドと香港ディズニーランド、そして2014年に開業する?上海ディズニーランドの違いを考えてみてください。日本人の偉大さと、中国経済のマカロニのような弱さ(細くて中身が空洞)が理解できるに違いありません。
以下に、6月に民主党に送った提言を掲載しておきます。
中国の真空リニアは「ばかげている」
日本政府は、中国政府に対し「クレイジーな計画はやめた方がいい」と進言してあげるべきです。
産経新聞の記事
<引用開始>
中国が時速1000キロという世界最速のリニアモーターカー技術を 2020年にも実用化する方向で研究に着手したことが分かった。24日付の上海紙、新聞 晨報が関係者の話として報じたところによると、真空状態のパイプの中を走行することで、 リニアへの空気抵抗をゼロにする技術がカギという。
政府系研究機関の中国科学院や四川省の西南交通大学の研究者らが、米国からの技術導入 をベースに“真空リニア”開発に水面下で取り組み始めたという。
<引用終了>
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100524/biz1005242107019-n1.htm
「アメリカからの技術」とは、おそらく真空空間を生み出す技術でしょう。真空パックという用語もあるように、真空とは一般的に「空気が抜かれた状態」と理解されています。
このことから中国の真空リニアを予想すると、手塚治虫氏が数十年前に描いた21世紀の「夢の乗り物」が目に浮かんできます。高層ビルの谷間に設置されたパイプの中を自動運転の乗り物が飛行するというマンガを目にした方は多いでしょうが、まさに真空リニア構想はマンガの世界です。
上海万国博覧会でのSMAPのコンサートが安全上の問題で中止されたそうですが、まさに「最低限の安全確保」もできない国が、真空空間の中で人を乗せた「トレイン」を安全運航できる訳がありません。
その理由を説明します。
ディズニー・テーマパークのアトラクション運営においては、エバキュエーションevacuation(避難)という用語が用いられます。
この用語は、ゲストをアトラクションの通常の出口から退出させられない場合、避難路を通り、火災時の非常口などを使用し退出させるというゲスト誘導システムを表す用語です。
ピーターパン空の旅というアトラクションでは、はしごを使用して、ゲストを一人ひとり床面に降ろすという大変な作業も行われています。
なぜ、エバキュエーションが必要なのでしょうか。その理由は簡単です。機械は必ず故障するからです。
中国の真空リニアシステムがどのような構造になっていようが、システムを受け入れる文明国は、故障時に安全に避難することが可能なシステムを必ず要求します。
私は、真空状態の中でエバキュエーションを指揮した経験がなくよく分かりませんが、乗客も避難誘導スタッフもダイバーのように酸素ボンベを装着して避難するのでしょうか。それとも、パイプの中に短時間で空気が供給されるのでしょうか。
どちらにしても、現実味がありません。安全運航に携わったプロの目から見ると、「飛んでいる飛行機から乗客を脱出させるようなものである」としか言いようがありません。
もう一つ、空気抵抗がない状態で「トレイン」をどのようにして安全に停車させるのでしょうか。パラシュートは役に立ちません。当然リニアですから「電磁石」のプラスとマイナスの配置を変えれば推進機がブレーキに変わりますが、時速590キロの日本のリニア新幹線でも停止距離は5キロメートルです。
数千キロメートルから数万キロメートルのパイプ内すべてに、安全に停止させるシステムを構築しなくてはなりませんが、果たして研究者はどのように考えているのでしょうか。
鉄道に関しては、色々な国の人が乗車するにもかかわらず、国際的取り決めはありません。中国が、安全性を無視してもこの「ばかげた」構想を推し進め、仮に完成したとしても、文明人は決して乗車してはいけない、私はそう警鐘を鳴らしておきます。
<転載終了>
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