太平洋戦争で戦死した日本兵としてフィリピンで収集された遺骨の中に、現地のフィリピン人の遺骨が含まれている疑いがあることがわかり、厚生労働省は、近く、現地に職員を派遣して実態を調べることになりました。
政府は、太平洋戦争の際フィリピンで亡くなった50万人以上の兵士の遺骨収集を、昭和32年から始め、おととしまでにあわせておよそ13万人の遺骨が日本に戻りました。しかし、戦後60年が過ぎ、当時を知る証言者が少なくなったことから、遺骨の収集は年間数十人まで落ち込みましたが、厚生労働省が現地で遺骨の情報を集めている日本のNPO法人に委託したところ、昨年度は7700人余り、今年度もすでにおよそ6300人と、大幅に増加しました。このNPO法人は、フィリピン各地で現地の人に報酬を支払って遺骨を収集していますが、NHKが取材したところ、収集が行われた地区の村長が「遺骨の発見状況などを確認することなく、日本兵だとする書類を作成した」と証言したうえ、収集した遺骨の鑑定を依頼されているフィリピンの担当者も「骨の鑑定は専門外で、実際には日本人とフィリピン人を判別できない」と話しました。NPO法人の事務局長は「収集した遺骨が急激に増えたのは、収集の範囲を以前よりも拡大したためだ。フィリピン人の遺骨が混じっている可能性は完全に否定できないが、日本兵の遺骨を一人でも多く祖国に戻すため、がい然性がきわめて高い場合には持ち帰っている」と話しています。厚生労働省は、遺骨の鑑定などがずさんだったおそれがあるとみて、NPO法人から事情を聴くとともに、現地に職員を派遣して実態を調べることにしています。