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お詫びと再考

まずは、単刀直入に申し上げます。
この度、私の安易な意見、ひいてはこのブログが一騒動起こしたことを、関係各位にお詫び申し上げます。

想像の10倍の反響を頂き、びっくりしました。
想像だにしなかった、故に、軽率でした。
この場を借りて謝罪申し上げます。

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ブログ、Twitterともに、
非常に多角的なご意見を頂きました。

おおむねのご意見は3つにわかれると考えます。

1) SUUMO「心の声」CMとMr.Children「箒星」MVの類似性についての意見
2) 1)の両者を並列にする以前に、Mr.Children「箒星」の監督、丹下氏の他作品交えた類似性への言及
3) 2)を根拠とした、私、林永子のライターとしての常識を問う

それぞれに掛け合わされる箇所もあろうかと思いますが、
まずはそれぞれに答える所から始めたいと思います。

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1) SUUMO「心の声」CMとMr.Children「箒星」MVの類似性についての意見

ご意見、ありがとうございます。
賛否両論、しかと心に刻みました。

ご意見を募った者みよりにつきます。
心より、みなさまに感謝します。


先日、著作権法に明るい弁護士先生にもご意見を伺いました。

本件は、アイデアの共通性はあるが、
構図、、脚本、台詞、衣装、思想といった著作権法で守られている権利の侵害には当たらない。
言及するなら、先方が「箒星」を知った上で制作した場合の「アイデアの盗用」であり、
類似性があるか否か、議論すべきはモラル面であるとのことでした。

箒星の存在を知った上で制作された事実があれば、著作権ではなく、アイデアの盗用にあたる。
ということを学びました。

そのことを明記せず、「盗用」と表現をしたことを、謹んでお詫び申し上げます。

上記を踏まえ、先ほど、リクルートさんの広報担当者様にご質問をお送りしましたので、
ご返答あり次第、またご報告致します。

さらに謝罪を付け加えるならば、
前ブログは、たくさんのみなさまのご指摘どおり、書き方が乱暴だったと認めます。

1)については、純粋にリクルートさんに意見を伺い、前述した通り、事実関係のみをお知らせ致します。

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次。
いろいろと物議を醸し出しております、2)です。
私の書き方が悪かったため、本題1)より盛り上がってしまいましたが、
ここは正直に、私の気持を書こうと思います。

今回の件に丹下さんを引き合いに出させて頂いた際、
丹下さん自身の作品の、他作品との類似性についてご指摘頂くことは、
ある程度予測しておりました。

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COLDPLAYとの類似の件は、
当時、丹下さんご自身にお聞きしました。

クライアントやCG会社に資料としてCOLDPLAYのMVを見せたこと。
結果、酷似し、その当時は、そういった作品を納品することを良しとしたこと、
以降、気を引き締め、独創性と著作にこだわって活動されて来たこと。

詳細は後に語って頂きますが、
今や映像の著作権獲得について積極的に活動されているその姿勢を根拠に、
安易に盗用する人物ではないと、判断しています。
判断の理由は、そうでなければ著作権について、言及できないからです。

ただし、丹下さん自身をご存じない方が、丹下さんの作品を見て、他作品との類似性をご指摘することは、
私が、SUUMO CMの制作者の方々の意図や姿勢を存じ上げずに非難していることとと類似しておりますので、
その点、説得力がないことを認めます。

こういう言い方をするとまた叱られ、丹下さんに流れ弾が当たることは承知の上なので、
真実は、丹下さんご自身に語って頂きたいと思います。
今週中に丹下さんにインタビューをし、ここで書かせて頂きます。

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1)SUUMO CMの制作者にも、きちんとお話を伺い、ここに明記すること。
2)丹下監督にもきちんとお話を伺い、ここに明記すること。

上記、真実を解明し、またご報告致します。

そこを先行せずに、本件を扱ったのは私の落ち度です。
ごめんなさい。

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次。
3)私、林永子のライターとしての常識を問う

・身内びいきである
・感情的である
・そうはいったって丹下さんだって盗用をしている

というご意見は、確かに、肯定はせずとも、否めないと思いました。

私は丹下さんからうちうちの事情を聞いていたので、納得していたけれど、
SUUMOさんサイドには全然お話聞いていなかったので、
フェアに語れませんよね。

プロのライターにあるまじき、という指摘は、その通りで、
軽率だったとしか言いようがありません。
順序を間違えてしまい、すいません。
偏見もあった、身内びいきといわれてもしかたなし、
言い方、間違えました。

* * * * * * * * * *

最後、一番身勝手かつ、淡白かもしれません。

当事者の話およびプロセスを聞きたいと思う根拠でもあります。

そのプロセスですが、ものすごく分かり易く書いてくださる第三者の方って、いらっしゃるんですね。
素で感激しました。
http://d.hatena.ne.jp/urbansea/20101002/1285960611

もうライターやめようかなとすら思います。
こういう人のブログに金払うべきだとさえ思う。

* * * * * * * * * *

さて。

「広告映像におけるアイデアの盗用は、著作権法に触れないから、どんどん盗用して良い」
という風潮にあるならば、法に訴えかけたい。
確信犯がいるなら世にその善悪を問いたいし、
無意識のうちにやり過ごしている人間がいるのであればまた同様に世に問いたい。

法に訴えかけられない場合は、制作者のマナーとして、良識に訴えたい。
その際、常に内々なあなあになりがちな作り手のみならず、第三者のご意見を伺いたい。

* * * * * * * * * *

つまり水面下ではなく、公の場で議論および批評をすることの重要性を問いたい。
というのが、私の本意です。

私は議論をふかっけておきながら、
私の無様さをさらけ出すことになり不本意だったので今後態度を改めますが、
リクルートさんだって丹下さんだって、
誰でも、どんな広告映像に携わる人であっても、
後ろ暗いところがなければ堂々と作品に関して語れば良いし、
どうしても省けないプロセスがあるならそれをきちんと説明すればいい。

* * * * * * * * * *

私が今回、先行のブログを書いた真意は、
まさにここで行われたような議論が、公の場で行われていないことへの問題定義です。

音楽には、音楽ライター、音楽評論家がいて、
映画にも、映画ライター、映画評論家がいて、
美術にも、美術ライター、美術評論家がいて、
どのジャンルにも、表現者、紹介者、批評者がいて、
なぜ、広告映像には、専門のライター、評論家がおらず、
作り手しかいないのか、疑問に思ったのが2000年頃。

当時、私は映像制作会社でディレクター10名のマネジメントをすると共に、
他社も含めた人気MV監督を一同に介した展覧会を開催する仕事を2年連続企画させて頂き、
その際、日本中のMVの制作者とコンタクトを取らせて頂きました。

音楽専門チャンネルで、ようやくMVの監督名が記名され始めた頃です。
すがる思いで広告批評を愛読していた頃が懐かしい。

その後、専門的にMVを紹介する人材がいないなら私やる、といって、勝手に挙手をし、
ライターになりました。28歳の頃でした。

ライターとしての教育を受けていなさすぎて、
主観と客観、批評と公正な記事の違いなどを実践で、
毎日こっぴどく叱られながら勉強しているうちに、
私は、作品および作家の紹介をするライターとして機能するべきであって、
批評家には絶対になれないなって、痛感したことを、今、思い出しています。

それはそれは紹介しまくりました。
ここに、みなさん知らないかもしれないけれど、素晴らしい映像を作る人がいて、
こんなアイデアをこんな風に具現化させた、この人、すごいでしょ、って、
紹介したおしました。
音楽や映画やその他の芸術のように、浸透すればいいと思いました。

もう私が紹介しなくてもMVは浸透して、
MVのみにこだわる作家も稀で、
紹介するにも、素晴らしい作り手が一握りに限定され、
私はMVのみを見ることをやめ、
さらにニュートラルな視点での紹介に嘘や私見が混じってはいけないから、
昨年末、ニュートラル紹介業をやめました。

* * * * * * * * * 

そんな私の放った意見が、説得力がなかったことに関しては、軽卒だったし、おろそかでした。
今後は事実関係のみを淡々と、取り扱いたいと思います。

若手の映像作家が公共の電波に乗せるにはあまりにも稚拙なへっぽこMVを作った際には、
よく、食事中にうんこ投げんな馬鹿、ってなじってましたが、
自分自身が、あの子ら同様の真似をしたことを、恥ずかしく思っております。

* * * * * * * * * 

私ごときがとりざたせずとも、
広告映像の批評の不在は、以前からずっと問題視されておりましたので、
思いきって、今回、私、意見を公の場で言ってみたのですが、
言いたいことは、間違ってないと未だに思っているのですが、
肝心のアプローチを間違えました。
順序も間違えました。

しかし、みなさんに意見を頂いたことは、非常に有意義だった。

耳が痛いことはきちんと受け止めて、今後も、業界の活性化に貢献したいと思います。

Twitterで、ある1人の方がご指摘下さいました。

『常に、表現と批判は一対の車輪であるのに、ことMVについては永子しか批判をいう人がいないことが、一番の問題だ』と。

また、別の方がこれを受け、メール下さいました。

『公での議論がないから、いっこうに映像はカルチャーとして発展せず、表現じゃなく、商売に留まっているんだね』、と。

この2つのご意見が一番響きました。

そもそも、率直な意見をいいすぎて嫌われている私ですが、
ますます嫌われてもいいので、公の議論の場を、たとえやぶ蛇であっても、作ろうと、思いました。

この度いただいた、匿名のみなさんの投稿にも相当なパンチと意見力があったくらいだから、
プロの批評家やライターによる議論が行われたら、ますますこの業界は活性化するに違いない!

私の場合は言い方間違えたので、
背筋をきちんと正し、
今後、ますますの映像文化の発展に貢献したいと思います。

以上、お詫びと再考の意見をここに記載させて頂きます。

また、進展ご報告いたします。

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コメント

[C192]

>クライアントやCG会社に資料としてCOLDPLAYのMVを見せたこと。
>結果、酷似し、その当時は、そういった作品を納品することを良しとしたこと、

すげえ。これ丹下さん書いていいといったんですか?
あの、ごめんなさいじゃすまない問題ですよね。ひとのものを盗んで金を稼いだ。泥棒、名誉毀損、詐欺に等しい行為を認めてらっしゃる。ああ、でもあれだけ似てれば当時コープレ側からなにかしらのアクションがあって謝罪、賠償など禊は終わってるのかな?じゃないとこんなこと書けませんよね。

>箒星の存在を知った上で制作された事実があれば、著作権ではなく、アイデアの盗用にあたる。

いくらなんでも、「存在を知っていた」から「盗んだ」ことにならないと思いますが。
弁護士の意見はあくまで意見であって、それをもとにリクルートに云々ってやりかたは乱暴だと思います。
「箒星の存在を知っていて」かつ「あたらしい独創性のある表現方法を模索した」結果がスーモCMである。という考え方だってあると思います。

[C193]

どうも何をどう書いてもブログ主さんの自己弁護にしか聞こえません。
まさにプロ失格ですね。他者に迷惑をかけご自身だけ発展に貢献したいって言っても無理でしょう。
やる事なす事全てが無責任過ぎですね。その方が文化発展うたっても失笑でしかないですよ(笑)

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プロフィール

ながこママ

Author:ながこママ
映像ライター林永子(はやし・ながこ)。月刊コマーシャル・フォト等で日本のMVに関する記事を連載中。元Tokyo Video Magazine VISの編集長。スナック永子のながこママ。講演・講師もやってます。

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