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第三十四話 涼宮ハルヒの憂鬱、惣流アスカの溜息II ~恋のライバル登場!?~
<第二新東京市立北高校 2年4組>

アスカ達は無事進級し2年生になった。
2年4組はミサトが担任を務める事になり、アスカとシンジ、カヲルとレイは同じクラスとなった。
しかし、ハルヒとキョンの姿は同じ教室の中には見えない。
このクラスは科目選択で、理系に進む選択をしてさらに世界史を選択した生徒達が主に集められていたが、それ以外の科目を選んだ生徒も3分の1ぐらい居る。

「涼宮さんが願えば、SSS団全員が同じクラスに集まる事も出来ると思うんだけどな」
「ハルヒはキョンと同じクラスだし、何か偶然じゃ無いものは感じるけどね」

シンジとアスカは不思議そうにそう話していた。

「もしかして、涼宮さんは私達の事を嫌いになってしまったの?」

レイが悲しそうな顔で下を向きながらそう呟いた。
そんなレイの姿を見てアスカとシンジは慌ててフォローを入れる。

「バ、バカね、そんなわけないじゃないの!」
「きっと涼宮さんの力は働かなくて偶然このクラス分けになったんだよ!」

落ち込みそうになったレイを励まそうとしてアスカとシンジはいろいろ話しかけようとしたが、始業のチャイムが鳴ってそれどころでは無くなった。
ミサトが教室に入って来て生徒達は例外無く全員席についた。
以前、ふざけて注意しても席にずっと座らなかった生徒に対してミサトは放課後に生徒指導室に呼び出して教育的指導を行った。
指導を受けた生徒はその指導の内容を誰にも話そうとしなかったため、憶測がウワサとなって、誰もミサトに逆らおうとはしなくなった。

「みんな、席は自由に決めて良いからね。その代わり、誰かを仲間外れにしたり、いじめたりしちゃダメよん♪」

はーい、とクラスの生徒達から元気な返事が聞こえた。
教壇についたミサトは固まって座っているアスカ達に気がつくとニヤついた笑顔を浮かべて手を振る。
アスカとシンジは恥ずかしそうに手を振り返した。

「えー、それでみんなにお知らせがあるんだけど……」

ミサトにしては元気の無い歯切れの悪い様子でそう言ったので、アスカ達を含めクラスの生徒達は少し違和感を感じた。

「2年の新学期からクラスに加わる転校生を紹介します! 霧島さん、入って来て!」

ミサトが叫ぶように廊下に向かって声を掛けると、アスカとシンジにとって見覚えのある少女が教室に足を踏み入れた。

「あっ!」
「なんで!?」

教卓に向かって歩いて行くマナを見て、シンジとアスカは開いた口が塞がらないほど驚いた。
ミサトはマナの名前を黒板に書いて生徒達の方を向いて笑い掛ける。

「霧島マナさんよ、みんな仲良くしてあげてね」
「よろしくお願いします!」

ミサトの隣に立ってそう言ってお辞儀をしたマナにクラスのみんなから拍手があがった。

「ミサト先生が困った顔をするから、悪い知らせだと思ったじゃないですか」
「ごめんね」

クラスの生徒の一人がミサトにそう声を掛けて、ミサトは軽く謝った。

「アタシにとっては悪い知らせだったわよ」

アスカは不機嫌そうにマナをにらみつけてそう呟いた。

「じゃあ霧島さんの席は、あそこでいいかしら?」

ミサトが教室の隅にある余った席を指差してそう言うと、マナは首を横に振って拒否する。

「私、碇君や惣流さんの近くの席になりたいです」
「そう、じゃあ近くの子は席をズレてくれる?」

ミサトがそう言うと、クラスの生徒達は快くマナに席を譲るために場所を移動した。
お礼の言葉を述べながら、マナはシンジの前の席についた。

「惣流さん、碇君の隣に座っているなんて、やっぱり碇君の事が好きだったの?」

マナはからかう口調でアスカにそう言った。

「ええ、アタシはシンジが好きよ」

そんなマナに対してアスカは青い目をマナから反らさずに断言すると、マナは驚いた顔をしてしばらく固まっていたが、やがて残念そうにため息をついてアスカとシンジに背を向けた。
そのマナの背中は寂しげで、シンジ達は元気が無くなったマナの様子に少なからず同情した。
しかし休み時間になると、マナはいきなりシンジの腕をとって宣言する。

「私はシンジ君に会いたくてこの高校に来たんだから、やっぱり諦めきれない!」
「ア、アンタ、何を言っているのよ!?」

アスカは突然のマナの行動に、目を丸くして叫んだ。

「碇君とアスカはもうつき合っているのよ」

レイが静かな怒りを込めてマナをにらんでそう言うが、マナは首を横に振る。

「そうだったとしても、私はシンジ君に振り向いてもらうまで頑張る! だってシンジ君に好きだって言ったのも、デートをしたのも、惣流さんより私の方が先なんだから!」
「霧島さん、僕も困るんだけど……」

シンジがうろたえながらそう言うと、マナはシンジの目を見つめて話し出す。

「シンジ君は好きじゃない子と芦ノ湖ででーとしたりするの? 私のペンダントのプレゼントを受け取ってくれたよね?」
「それは、確かにそうだったけど……」
「シンジはね、アタシの前でアンタとの写真とか全部焼いちゃったし、ペンダントも湖に捨てて行ったのよ」

アスカがあきれた顔でそう言うと、マナは顔をふくれさせて言い返す。

「それは、シンジ君が私に2度と会えないと思ったからそうしたんでしょう、それともシンジ君は私の事が嫌いになっちゃったの?」
「別に霧島さんの事は嫌いじゃないけど……」
「もう、前みたいにマナって呼んでよ、霧島さんなんてよそよそしいじゃない」

煮え切らないシンジの態度にアスカが耐えきれなくなったのか、席を立って教室を出て行ってしまった。

「アスカ!」

シンジがアスカの後を追って教室を出て行った。

「霧島さん、アスカは泣いていたわ。碇君も困っている。どうしてそんな事をするの」
「そうよ霧島さん、惣流さんがかわいそうよ」

レイの言葉にアスカに同情的なクラスの生徒も追従してマナを非難した。

「まさか、惣流さんが泣いてしまうとは私も思わなかったわ。……でも、私はそれでもシンジ君が好きなの」

マナはレイや他のクラスの生徒達に向かって、静かに力強く宣言した。
次の時間のミサトの英語の授業中、アスカとシンジは気まずそうに教室に戻って来た。
アスカとシンジは特にマナに向かって何を言うわけでも無く、大人しく席に座ったので、とりあえず2人は怒りを抑えたようだった。
内心ハラハラしていたミサトもホッとして溜め息を吐き出した。

「ねえ、私もSSS団に入りたいな」

アスカ達がSSS団に入っている事を知ったマナはそんな事を言い出した。

「だって、私もシンジ君や惣流さん達と友達になりたいからよ。ね、友達ならいいでしょう?」

そう言われたアスカ達は断る事も出来ず、マナを放課後にSSS団の部室に連れていく事になってしまった。
アスカはウンザリと不安を込めた大きなため息を吐きだした。



<第二新東京市立北高校 SSS団部室>

ハルヒとキョンは2年4組になり、担任は岡部と言う男性教師だった。
そして谷口、国木田、阪中さんと言った旧1年5組の生徒達が一緒のクラスになった。
イツキは特別進学クラスと言われる2年8組に編入されていた。
ミクルと鶴屋さんは3年でも同じクラスになれたようだった。
放課後、部室に来たアスカとシンジがマナの事をハルヒに入団希望者として紹介すると、団長席に座っていたハルヒは退屈そうに溜息を吐き出す。

「困ったわね、もう謎の転校生と言う枠は古泉君で埋まっているのよね」
「何だよその枠は」
「あたしのクラスにも、突然転校して来た朝倉さんが戻って来たりしたけど、二番煎じって感じで新鮮味が足りないのよね」

キョンのツッコミに返事を返さずに腕組みをしてマナの事を興味なさそうに見つめるハルヒ。
それでもマナは引き下がらずに、SSS団に入りたい熱意を訴えかけるが、ハルヒは疑いの眼でマナを見つめている。

「霧島さんだっけ、あんた本当にSSS団に興味があって入りたいの? なんか目的が別の所にあるように感じられるんだけど」
「う……それは……」

マナはハルヒに問い詰められて、思わず下を向いてしまった。

「まあいいわ、新一年生にも入部希望者は居るだろうし、新入団員を増やしてもいいかもしれないわね」
「それなら!」

ハルヒの呟きを聞いて、マナは嬉しそうに顔を上げた。

「でもね、あたしは個性が立っていない人間を迎え入れるつもりは無いし、何よりもやる気と気合が無いのはご法度なのよ」
「じゃあどうやって判断するんだ?」
「そうね、入団試験みたいなものをやる必要があるわね」

ハルヒはキョンの問い掛けにそう答えると、マナに向かって笑い掛けながらマナの肩に手を掛けて回れ右をさせて部室から押し出そうとする。

「と言うわけで、これからSSS団の入団試験についてミーティングを始めるから、部外者の人は出て行ってね!」

マナはハルヒに背中を押されて部室から追い出されてしまった。

「ごめんね、霧島さん」
「ううん、別にいいの」

部室のドアから顔を出して謝ったシンジに、マナは笑顔で廊下の向こうへ立ち去って行った。

「それでは、これからミーティングを始めます!」

いつものように団長席の上に立ったハルヒはそう宣言をした。

「あたしは何か不思議な物を発見して来た人を団員に迎えようと思うんだけど、どうかしら?」
「ハルヒ、不思議なものなんてそうそう転がっているものか、市内探索でも空振りばかりじゃないか」
「それに、不思議な物を発見した人イコール有能な人材、とは限らないんじゃない?」

キョンとアスカに指摘されたハルヒは口をアヒルのようにして引き下がった。

「じゃあ、他に何か案があるわけ?」
「SSS団の事をどれだけ知っているかクイズをやってみると言うのはどうでしょうか?」

イツキが手を上げてそう提案すると、ハルヒは目を輝かせて叫ぶ。

「勝てば天国、負ければ地獄!」
「知力・体力・時の運!」
「早く来い来い木曜日!」
「アメリカ横断ウルトラクイ○……っておい!」

そこまで言ってキョンはハルヒに遅いツッコミを入れた。

「ノリツッコミが上手くなったじゃないの、キョン」

ハルヒは満足したようにキョンに向かって微笑んだ。
しかし、イツキの方を見て困った顔でため息をついて話し始める。

「うーん、SSS団の事をある程度知っていては欲しいけど、あたしは新入生も不利にならない内容にしたいのよね」

そして、ハルヒは人差し指を突き立てて思いっきり叫ぶ。

「何よりも、答えの分かっているクイズじゃ、あたし達が楽しめないじゃない!」

ハルヒの言葉を聞いて、SSS団のメンバー達はウーンとうなってまた新しい案を考え始めた。

「それなら、歌を歌うと言うのはどうかな?」
「確かに作詞・作曲にその人の個性と言うものが出てくるわね」

カヲルの提案に、ハルヒは興味を持ったようだ。

「でもオリジナルソングはハードルが高すぎない?」
「じゃあカラオケとかにすれば良いんじゃないかな」
「替え歌にすれば個性が出ると思うわ」
「それは無理」

アスカの心配に対して、シンジとレイは修正案を提案したが、本を読んでいたユキが顔を上げて即座に否定した。

「何でよ!? 別に楽器ぐらい軽音楽部や吹奏楽部に頼めば貸してくれると思うけど」

せっかくの面白い提案を却下されたハルヒはふくれた顔でユキに詰め寄った。

「きっとあなたは歌っている所をビデオカメラなどで撮影したくなるはず。そしてDVDなどの記憶媒体に記憶された音声データは不特定多数に向かって配信される可能性がある」
「要するに著作権に抵触するってことか」

キョンが尋ねると、ユキは首を縦に軽く振って頷いた。

「せっかく撮影したのに、みんなに見せられないんじゃ思い出としては良いかもしれないけど、いまいちね」
「また別の物を考えなければならんな」

ハルヒとキョンが揃って難しい顔をして考え込んでいると、それまで黙って見ていたミクルがおずおずと手を挙げる。

「あのー、漫才なんてどうですか? さっき涼宮さんとキョン君がやっていたのを見て楽しそうだったし」
「それよ!」
「ふ、ふえっ!?」

いきなり元気よくハルヒに腕をつかまれたミクルは思いっきり驚いてしまった。

「ミクルちゃん、お手柄よ!」
「あ、ありがとうございます」

ハルヒは軽やかな動きで団長席の椅子の上に飛び乗ると、嬉しそうな笑顔で宣言をする。

「SSS団の入団試験は漫才をしてもらう事にするわ!」
「でも、漫才ってやっぱりボケとツッコミのコンビじゃないといけないんじゃないかな」
「一人ボケツッコミと言う手もあるし、相方を見つけなきゃいけないから、出会いのきっかけになるじゃない」

シンジの質問に対するハルヒの返答を聞いて、SSS団のメンバー達は納得したようだった。

「あたし達SSS団も新入団員のお手本になるように漫才をする事にするわ!」
「……で、やっぱり勝負なんだな?」
「解ってるじゃない、キョン! 以前の決着を付けるわよ、アスカ!」
「何よ、アタシはまだやるなんて言ってないわよ!」

ハルヒに人差し指を突き付けられたアスカは憮然とした顔でハルヒに言い返した。

「アスカが逃げるならあたし達の不戦勝だけど、それでいいの?」
「やればいいんでしょう、やれば!」

ハルヒがにやけた顔でそう言うと、アスカはヤケクソ気味にそう叫んだ。

「涼宮さん、僕達はどうすればいいのでしょう?」
「古泉君達は自由に組み合わせを決めなさい、トリオとコンビでも適当に。でも、無様な結果に終わったら罰ゲームだからね!」
「私、漫才なんて出来るかなあ?」

ミクルはオロオロとした様子でそう呟いた。

「大丈夫よ、ミクルちゃんの天然ボケは誰にも真似できないほど面白いから!」
「涼宮さん、ちょっとそれはひどいですー」

ハルヒが笑顔でミクルの肩に手を置くと、ミクルは泣きそうな声で嘆いた。

「でも、即興で漫才をやれと言われても無理だろうし、告知や準備に時間が必要だと思うよ」
「お花見の時期になってしまいますね」
「古泉の誕生日を今年は盛大にやるんじゃなかったのか?」
「まとめてやっちゃいましょう!」

シンジとイツキとキョンの意見を聞いたハルヒは閃いたかのように手を打って断言した。

「いいのか古泉、誕生日のプレゼントが漫才なんかで」
「僕はお金で買える品物はたいてい何でも手に入ってしまいますからね、形の無いプレゼントの方が嬉しいのですよ」
「古泉、それって凄いイヤミだぞ」

キョンはイツキの答えにため息を吐いた。

「というわけで朝比奈さん、僕とペアを組んでいただけませんか?」
「え、でも、古泉君は私と組むよりも長門さんと組んだ方が……」

突然イツキに声をかけられたミクルは驚いてオロオロしながら遠回しに断ろうとした。

「どうして、ダメなのですか?」
「そ、それは……」

禁則事項です、と言い掛けたミクルはハルヒがニヤニヤしながら見ているのに気がついて言葉を切った。

「僕の誕生日プレゼントだと思って、引き受けてはくれませんか?」
「古泉君はいつの間にかミクルちゃんの事を好きになっていたのね」
「わ、わかりました……」

これ以上は拒否しきれないと判断したミクルは顔を真っ赤にして了承した。
後日の新入生に向けた部活説明会では、SSS団がゴールデンウィークの連休中に、入団試験を兼ねた花見パーティを行うと告知した。
今回は審査員としてたくさんの観客も集まって欲しいと言う事で、平成記念公園で花見を行う事になった。
桜の花にこだわったハルヒは去年と同じ奥穂高岳での開催をしたいと主張したが、観客全員に山登りをさせるわけにはいかないだろうとキョン達が説得すると、公園での開催に了承した。



<第二新東京市立北高校 通学路>

SSS団の活動が終わり、帰り道にアスカ達と別れて2人きりになったハルヒとキョンは初々しく手を繋ぎながら歩いていた。
すると、キョンの家の前にショートカットの女子高生が立っているのに気がついた。

「佐々木、こんな所で何をやっているんだ?」
「やあキョン、久しぶりだね。キミがボクのプロフィールを忘却して居なくて助かったよ」
「キョン、どんな知り合いなの?」

ハルヒが奇妙な物でも見たかのような表情で佐々木を見つめていると、佐々木は笑いを浮かべながら答える。

「大親友だよ、但し中学時代のね。キミは男女の間に友情は成立すると思うかい?」

佐々木に問いかけられて、ハルヒはギクリと肩を震わせた。

「さあ、そう言う事もあるんじゃない?」

そう答えるハルヒの表情はどこか強がっているかのようにキョンには見えた。

「国木田が言ってた変な女ってあんたの事?」
「はは、彼はそんな事を言っていたのかい」

ハルヒがぶっきらぼうに尋ねると、佐々木はそんな事を言って笑った。

「ところで、わざわざ俺の家の前で待っていた理由は何だ?」
「うん、それなんだけど……」

キョンが尋ねると、佐々木は言葉を濁らせてハルヒの方を見つめた。

「2人で積もる話があるんでしょう? あたし、先に帰っているから!」

ハルヒはそう答えると、自分の家の方へと走り去って行ってしまった。

「おい、ハルヒ!」

キョンはハルヒが姿を消した方向をぼう然と見つめていた。

「追いかけた方が良いよ。今は誤解とかさせちゃいけない、大切な時期なんだろう?」
「すまん、佐々木!」

キョンは佐々木に謝って、急いでハルヒの後を追いかけ始めた。
すると、キョンの携帯が鳴る。
誰かと思って出て見ると、それはイツキだった。

「今、閉鎖空間が発生したようですが、涼宮さんに何があったんです?」
「実はな……」

キョンはつい先ほど佐々木に会って話した事をかいつまんで説明した。

「……なるほど、神人や閉鎖空間の方は僕達の方で何とかします。あなたは涼宮さんといつものように一緒に夕食をとれるように頑張ってください」
「わかった」

キョンは電話を切ると、目の前をトボトボと歩くハルヒの背中に向かって駆けだした。



<第三新東京市 ネルフ本部>

放課後、ハルヒ達と別れたアスカ達は家に戻らずに、イツキ達と共にネルフ本部へと向かっていた。
閉鎖空間が発生した事もあったが、突然姿を現した佐々木達やマナの事が気になったからだ。

「今の電話で、クラス分けがなされた理由が分かりましたよ」
「……どうして?」

イツキの呟きに、レイはそう疑問を投げかけた。

「彼に関する事になると涼宮さんは閉鎖空間を発生させるほどのストレスを感じるようになったんですよ」
「だから、佐々木さんのように他の女の子にヤキモチを焼いているって事?」
「惣流さんも綾波さんも魅力的な女性です。ですから、もしかして彼を取られてしまうかもしれないと涼宮さんは無意識化で焦ってしまっているのですよ」
「私、別にそんなつもりは無いのに……」

下を向いてそう呟くレイの肩にアスカは手を掛けて励ます。

「まあ、ハルヒに嫌われたわけじゃないからよかったじゃないの」
「それでもあなた達を同じクラスにしたのは、さっさとくっ付いてしまえと言うハルヒさんの心の現れかもしれませんね」

イツキが指摘すると、アスカとシンジは顔を赤くしてうつむいた。

「では、僕達は神人を倒しに行こうか」

カヲルがそう声を掛けると、レイとイツキは頷いた。

「やれやれ、これから忙しくなりそうです。涼宮ハルヒさんの新たな憂鬱が始まってしまったのですから」

イツキはそう呟くと、カヲルとレイと共に会議室を出て行った。
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