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きょうのコラム「時鐘」 2010年10月4日
北陸新幹線の新高岡、新黒部の駅舎デザイン案が紹介された。絵に描いたモチだが、近づく開業を実感させてくれる
子どものころ、運転士になりたかった。そんな友達も大勢いた。家に車がやってきて、熱はさめた。列車にはハンドルがない。決められた線路の上を走るだけ。何が面白いものか 子どもはそんな幼稚な思い込みをする。ダイヤ通りに列車を走らせるのは、生易しいことではない。車の運転に劣らぬ努力と技量は、あこがれるに値する 夢は運転士から車掌に変わった。理由は、ただで遠くへ行けるから。今は苦笑するしかないが、列車は遠くの知らない街へ運んでくれる夢の乗り物でもある。駅舎は、その夢の入り口。が、実際に足を運ぶと、にぎわいとは無縁の新幹線駅舎や駅前広場も少なくない。駅舎のデザイン以上に、街おこしのデザインが大仕事になる 正確なダイヤが自慢の新幹線に、今も子どもたちはあこがれる。北陸での開業を遅らせてきたのは、運転士や車掌とは別の世界の人たちである。もう大丈夫だろうが、ここで開業ダイヤが乱れたなら、子どもも大人もそっぽを向く。 |