ミャンマー軍事政権の迫害を逃れタイのキャンプで暮らしていた難民3家族18人が、来日した。「第三国定住」という新しい枠組みによる、初めての難民受け入れだ。
日本は難民に冷淡だと国際社会の批判を受けてきた。新制度が動き出したのを機に、難民に温かい国への脱皮を進めたい。
第三国定住は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が世界で奨励している仕組みで、5万人以上をこの制度で受け入れた米国をはじめ欧州やオセアニアなどの国々が積極的に取り組んでいる。アジアでは日本が初めてだ。
ミャンマーやアフガニスタンなどアジアでは多数の難民が苦しんでいる。この地域で真っ先に先進国の仲間入りをした日本が、積極的に受け入れることは国際的な責務だ。
新制度によって受け入れの枠を広げたことは前向きの一歩といえる。だが、多くの課題が残っており、これを解決していかなければ「仏作って魂入れず」になりかねない。難民が安心して暮らしていける環境づくりに、真剣に取り組むべきだ。
新制度で来日した難民に、政府は半年にわたって住居を用意し日本語教育や職業訓練などを提供する。それだけで、雇用と生活を確保できるだろうか。3年間の生活保障と言語研修を提供するフィンランドなどに比べ、見劣りするのは否めない。
日本の社会に溶け込んでもらうには、地方自治体や難民支援にかかわる非政府組織(NGO)の役割が重要だが、広範な連携に向けた政府の取り組みの動きは鈍い。
新制度での受け入れ体制の充実と同時に、従来の枠組みでの受け入れ体制の改善も急務だ。何よりも、国民一人ひとりが難民を温かく受け入れるための心構えを問われる。
今回始動した新制度は、自民党政権時代に政府が閣議了解だけでパイロットケース(試行)として導入を決めた。国会の論戦はなく、国民の関心は低調なままだ。
民主党は政権交代をもたらした2009年の衆院選に向けた政策集で、難民問題に前向きに取り組む方針を打ち出していた。政権に就いている今、難民に温かい国づくりを改めて国民に訴えるべきではないか。
UNHCR、第三国定住、キャンプ、難民、NGO、難民受け入れ、オセアニア、ミャンマー
日経平均(円) | 9,404.23 | +34.88 | 1日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 10,829.68 | +41.63 | 1日 16:30 |
英FTSE100 | 5,592.90 | +44.28 | 1日 16:35 |
ドル/円 | 83.25 - .28 | -0.08円高 | 2日 5:48 |
ユーロ/円 | 114.77 - .82 | +0.78円安 | 2日 5:48 |
長期金利(%) | 0.955 | +0.025 | 1日 16:15 |
NY原油(ドル) | 81.58 | +1.61 | 1日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載
詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)