話題作続々で台風の目に…角川大映いよいよ始動

「着信アリ」
「着信アリ」
 角川書店が映画会社の大映を買収、「角川大映映画」を設立して1年。業界が注目するなか、黒井和男社長(66)がこのほど大作、話題作の製作をブチ上げ、「準備は整った。2004−5年は角川大映の年」と高らかに宣言した。

 04年は1月17日、柴咲コウ主演のホラー映画「着信アリ」(三池崇史監督)の公開で幕を開け、小雪、唐沢寿明共演の時代劇「嗤(わら)う伊右衛門」(蜷川幸雄監督、2月公開)と話題作が続くが、製作でも「妖怪大戦争」「戦国自衛隊」「ガメラ4」など10億円規模の大作3−4本に小品7−8本を準備している。

 注目は「妖怪…」。京極夏彦、荒俣宏、宮部みゆき、水木しげるの4氏共同原案で日本古来の妖怪のおどろおどろしい世界を描くという。水木氏の故郷、鳥取県境港市で来夏クランクイン予定、片山鳥取県知事から全面協力も取り付け、再来年夏公開を目指す。

 「戦国…」は福井晴敏氏原作のSFX大作。タイムスリップする自衛隊ものだが、かつての同名作品とは別もの。シリーズ作「ガメラ4」はスタッフ、キャストを一新、娯楽作に仕上げる。

 小品ではラブロマンス「アジアン・タム・ブルー」(大崎善生原作)、三池監督ら日本・香港・台湾合作のホラー「アジアン・カース・ストーリー」、上戸彩主演「インストール」など。

 「映画、ドラマ、ビデオなどの製作、販売で将来は年間300−400億円を稼ぎ出し、シネコンによる興行部門(劇場経営)も新設したい」

 黒井社長の鼻息は荒いが、「キネマ旬報」元編集長で興行評論家でもあっただけに業界の厳しさも熟知しているはず。映画関係者は、「出版部門が厳しいだけに、活路の一つだと思うが、書籍と違ってリスクも大きい。グループ一丸となってどこまで伸ばせるか」。

 東京・調布の大映スタジオも12億円をかけて来年9月にリニューアルオープンする。かつて“読んでから見るか…”のキャッチフレーズで映画、出版界に旋風を巻き起こした角川映画。再び“台風の目”となるか−。

ZAKZAK 2003/12/25