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タクシー1万2千台減車へ 供給過剰の解消狙い

2010年10月3日22時45分

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 全国のタクシー会社で減車や休車を申請する動きが相次いでおり、来年3月までに全体の4%強の1万2千台の車両が減る見通しであることがわかった。大規模なタクシーの削減は戦後初めて。車両の増加が客の奪い合いに拍車をかけ、運転手の待遇悪化を招いているとして、国土交通省は業界に対し営業車の削減を促している。サービスの低下も懸念されているが、業界にはさらなる規制強化を求める声が強い。

 国は昨年10月、タクシーが供給過剰になっているとして、「タクシー適正化・活性化特別措置法」を施行。供給過剰地域のタクシー会社に、車両の削減を申請すれば業務監査を免除するなどの特典を与えていた。

 朝日新聞が、全国10カ所の運輸局(沖縄総合事務所を含む)に現時点での申請状況を取材したところ、減車や一時的な休車の申請をした会社は40都道府県で合計1876社にのぼっていた。運輸局はほぼ申請通りに認める方針だ。

 都道府県別にみると、東京都では、全体の7割近い297社が計4136台の削減を申請。大阪府では約4割にあたる157社が計2057台、愛知県では120社が計867台、福岡県では102社が361台を減らすと申請している。タクシー業界では車両1台当たりの運転手が足りない状態で、車両の削減が雇用に与える影響は少ないとみられる。

 タクシーは、参入や増車の規制が緩和されたこともあり、バブル経済崩壊で需要が減った1990年代以降も増え続けた。大半のタクシー会社は、売り上げが減ってもそれに応じて運転手の給料を減らす「歩合制」を取っているため、会社の利益はそれほど減らず、車両の削減には消極的だった。

 そのため特措法では、タクシー事業者や自治体が参加する協議会を地域ごとに設けて削減を目指すことにした。国交省はこの協議会に対し、全国で最大4万5千台が余剰になっているとの試算結果を示していた。

 急な車両の削減は、価格やサービスの競争を損なう心配がある。ただ、業界には各社の計画通りに減車が実行されても、国交省が示した「適正台数」に達しないことを理由にさらなる規制強化を求める声が強い。また、車両数の規制だけでなく、運賃の規制を強化して割安な運賃を排除するべきだとの声も出ている。

 国交省旅客課は「まずは東京など、先行してある程度車両が減っていく地域について、運転手の給料やサービスがどうなるのか効果を見定めたい」としている。(大平要)

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