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米国は「米アフリカ軍」を創設、日本はアフリカ援助を2倍増──アフリカを舞台に新帝国主義戦争が始まった

円借款で肥え太った中国が「ひもつき援助」でアフリカの資源と市場を支配する

SAPIO 2008年7月9日号掲載) 2008年7月14日(月)配信

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急接近のもう1つの狙いは不良品の売り込み先

 数字だけを見れば、中国のアフリカ投資額はまだそれほど巨額ではない。増えているのはあくまで援助と貿易であって、投資自体は中国の対外投資のうち、わずかに3・3%を占めるにすぎない(最も多いのはラテンアメリカ52・6%で、石油確保が主な目的である。以下、アジア36・2%、欧州4・2%、北米2・6%、太平洋諸国1・7%。「中国外資」2007年11月号より)。

 その一方、対アフリカ貿易は急増中で、フィナンシャルタイムズによれば、06年6月の段階ですでに「英国を抜き去り、米国、フランスに次ぐアフリカ第三の貿易パートナーに成長」していると報道。「これはアフリカの植民地支配が終わってから、国際貿易分野に起こった一番の突然変異である」と懸念を示している。

 中国がアフリカに急接近した理由は、エネルギー資源の獲得以外に、国内の在庫商品の処理も隠された理由だ。

 成長の裏で中国経済を蝕んでいるのが過剰生産の結果、売れ残った大量の在庫商品である。市場に出せない商品の一部は、これまでは北朝鮮などに流れていた。

 日本在住のある北朝鮮関係者によると、「左右サイズの違う靴やデザインが前と後ろが逆のTシャツなど、不良製品が国内に流れ込んでいる。毒食品も例外ではない。すでに相当数の死者が出ていて、政府から中国食品に注意するように通達が出ている」という俄には信じ難い話まである。

 実はアフリカも過剰生産のはけ口にされている。中国国家発展改革委員会の国際協力センター国際経済研究室が作成したレポートはいう。「アフリカはメイドインチャイナの理想的な市場であり、今後の海外投資のホットスポットになる」。アフリカは「7億もの人口があり、軽工業製品や家電、パソコンなどの需要は膨大であり、中国投資家にとって無視できない巨大市場になる」と。

 そして、その理由が興味深い。「わが国の製造業はすでに生産過剰と薄利の時代に突入している。この市場を確保しなければならない」。

 実際、安価な中国製品の大量流入で、アフリカの企業に倒産や閉鎖が相次いでいる。家電のハイアール、パソコンのレノボなど中国版多国籍企業もアフリカ市場に対する熱い視線を注いでいる。7億の市場と中国以下の人件費で雇える労働力が魅力なのだ。

 援助はそのために実行される。これは過去中国が非難して止まなかった「帝国主義」の行動と論理である。危機感を高めたアメリカは「米アフリカ軍」を創設し、日本は対アフリカ援助を2倍に増やした。アフリカにおける「新帝国主義」の覇権争いが始まったのである。

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