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がん化しにくいiPS細胞 RNA使った新手法…ハーバード大チーム
【ワシントン=山田哲朗】様々な組織の細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を、安全に効率よく作り出す新手法をハーバード大医学部のデリック・ロッシ博士らが開発し、30日の科学誌「セル・ステムセル」で発表した。
iPS細胞は、皮膚細胞などのDNAに、受精卵に近い状態に戻す「初期化」のカギを握る遺伝子を組み込んで作られる。その際、ウイルスなどを「運び屋」として使うのが一般的だが、ウイルスではDNAを傷つけ、がん化する危険が残るのが問題だった。
研究チームは、DNAが、細胞内でたんぱく質を作る時に伝令として働くリボ核酸(RNA)に着目。ウイルスの代わりに、合成した伝令RNAを細胞に入れ、狙った4種のたんぱく質を作らせた。遺伝子を改変しないため、がん化の恐れが少なく、従来の手法より速く効率的にiPS細胞が作製できた。筋肉細胞にかかわるRNAを導入して、iPS細胞から筋肉細胞を作ることにも成功したという。ロッシ博士は「改造したRNAがこれほど機能するとは期待していなかった。iPS細胞作製の主流になる可能性がある」としている。
(2010年10月2日 読売新聞)
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