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便数維持し運航再開 事業引き継ぐ防予フェリー
2010年10月1日(金)掲載
国の高速道路料金割引の影響を受け民事再生手続きに入っている防予汽船から柳井−松山市間のフェリー事業を引き継く防予フェリー(本社・柳井市)は30日、山口地裁などの事業譲渡手続きが終わり、10月1日から同フェリーを運航すると発表した。同社は従来通りの運航便数を維持し、「山口、愛媛県を結んで交流を促進する仲人役を果たしたい」と航路運営方針を明らかにした。

同社の仁田一郎会長と瀬尾典利社長らが柳井市役所で会見。同社によると山口地裁からフェリー事業の譲渡許可を今月27日に取得。中国運輸局から新会社の運航許可も同28日に下りた。従業員は防予汽船の船員37人のうち35人と陸上事務者12人のうち10人を再雇用した。

運航便数は平日13往復(うち周防大島町伊保田港寄港が4往復便)、土、日曜日が12、13往復でこれまで通り。運賃はこれまでの割引料金を引き継ぎ、同乗者割引の1人目3千円、2人目無料を、すべて2千円にする。

航路の引き継ぎに際し、仁田会長は「山口、愛媛県を結ぶ唯一のフェリー航路と雇用の維持を最優先にした。フェリーは港と港を結ぶ仲人役。山口、愛媛県いいところを紹介し、両地域の活性化に貢献したい。来年の山口国体にはスポーツ交流の割引を検討したい」と話した。

国の高速道路料金無料化に関し、仁田会長は「車を持たない高齢者が増える中でその無料化で影響を受けるフェリー会社などを考慮して国は早く交通ビジョンを示してほしい。フェリーは二酸化炭素を出さないのでフェリー利用でエコポイントの活用も要望したい」と語った。

昨年10月、民事再生手続きに入った防予汽船は当初、自力再生を目指していたが、国の高速道路料金無料化などの交通ビジョンが不透明なため、今後10年間の再生計画策定は困難として新会社、防予フェリーへのフェリー事業譲渡に転換した。防予フェリーは防予汽船の事実上の親会社、瀬戸内海汽船(本社・広島市)が100%出資(資本金3千万円)で8月26日に設立。防予汽船は事業譲渡資金などを弁済原資にして負債を清算し、解散する予定。
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