WBA・Sバンタム級タイトルマッチ(2日、東京・後楽園ホール)WBAの立会人が「ビッグ・アップセット(大番狂わせ)」とつぶやいたほどの勝利。李冽理のほおには涙が伝った。「人生のすべてを懸けてリングに上がった。感無量です」と声を震わせた。
4年間負けなしのプーンサワットに比べて実績はなく、下馬評は圧倒的に挑戦者不利だった。世界初挑戦の28歳はそれを承知の上で無謀な攻めに出ず、頭脳と体力を駆使して闘った。
猛進してくる王者に対し、左ジャブを突き刺して距離を図った。接近戦になれば右アッパー、右ストレート、左フックをまとめ打ちし、主導権を握った。大きなヤマ場はつくれなかったが、フルラウンドを闘い抜いて「自分の体力に誇りを持っている」と胸を張った。動かし続けた両足裏の皮はずるむけになり、激しく出血していた。
同じ在日3世として世界スーパーフライ級王座に就いた徳山昌守氏にあこがれ、プロ入りの際にも後押しされた。観戦した徳山氏から祝福を受けて「やりました」と感謝を述べた。
在日韓国人という側面が注目されることが多かったが、今後は世界チャンピオンとしての期待を背負う。「これからが再スタートだと思う」と先を見据えた。