沖縄の海兵隊の一部をグアムに移転する計画をめぐり、アメリカ政府が最初に進めようとしていた下水処理施設の拡張工事が、日本側の融資の決定が下りないために遅れることが確実となり、今後、日米間の火種となる可能性も出ています。
沖縄の海兵隊8000人のグアムへの移転計画は、およそ100億ドル(日本円にして8300億円余り)の費用を、日本側が6割、アメリカ側が4割負担して、2014年までに完了させることで、日米両政府が合意しています。アメリカ国防総省は、移転に伴って必要になる下水処理施設の拡張工事の予算を確保するとともに、日本側に対し、日本の割り当て分の融資を速やかに行うよう求め、アメリカの会計年度末に当たる先月30日ぎりぎりまで調整を続けてきました。しかし、日本側は、この施設の運営がずさんで、融資した資金を回収できる見通しが立たないとして、期限までに融資の決定を下さず、アメリカ政府が海兵隊の移転に向け、最初に進めようとしていた工事が遅れることが確実となりました。日米の外交筋によりますと、アメリカ側は「日本側の融資の決定がなければアメリカ側も予算を執行できず、新年度の予算についても議会で大幅に削減され、計画の遅れを招く」として、日本側に政治的決断を迫っていたということで、この問題が、今後、日米間の火種となる可能性も出ています。