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乳がん「切らずに治す」は限定的に 乳癌学会が警鐘(1/2ページ)

2010年10月3日3時4分

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 乳がんを「切らずに治せる」と広まっている「ラジオ波」でがんを焼く手術について、日本乳癌(にゅうがん)学会は「がんが取りきれない恐れがあり、長期的な成績もわからない」として、対象患者を限定するなど、研究段階の治療である臨床試験として実施するよう会員に通知した。通知に強制力はないが、悪質例は対応を検討するという。

 この療法は「ラジオ波熱凝固療法」と呼ばれる。7〜8年前から広がっているが、公的医療保険は適用されていない。直径数ミリの針を乳輪付近から刺し、高周波電流を流して患部を熱してがんを焼く。治療は通常30分以内で済み、日帰り手術が可能だ。

 しかし現在の早期乳がんの標準治療は切除手術。ラジオ波だと、切ったがんの周囲の細胞を調べ、取りきれたかどうかの確認検査ができない。

 ラジオ波手術後、再発した患者を診た会員からの指摘が相次ぎ、日本乳癌学会は今年、一定の治療水準にある認定施設831カ所にアンケートした。その結果、29カ所で約1千人が治療を受けていた。うち9カ所は臨床試験以外の自由診療で行っていた。

 国立がん研究センター中央病院など5施設は臨床試験として、乳がんの大きさが3センチ以下の患者にラジオ波手術をした。その結果、38人中6人に取り残しが確認され、今年度から対象を1センチ以下のがんの患者に絞り、定期的に再発の確認などをしている。

 一方、症例数が約600人と最も多い東京都内のクリニックでは32万円の自由診療で、希望があれば腫瘍(しゅよう)が3センチ以上でも手術している。「臨床試験だと症例が限られ、今後も自由診療で続ける」という。再発率は通常の手術と同じ5〜10%程度というが、2割近い患者については術後の経過が把握できていない。

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