妻を包丁で刺し殺したとして、殺人罪に問われた足利市家富町、無職、店部(たなべ)正昭被告(66)の裁判員裁判の判決公判が1日、宇都宮地裁で開かれ、井上豊裁判長は懲役14年(求刑・同16年)を言い渡した。
判決によると、店部被告は3月18日午前5時ごろ、自宅で妻サワさん(当時74歳)の背中を包丁(刃渡り約17センチ)で2回突き刺すなどして殺害した。
井上裁判長は判決で、事件の動機になった同被告の借金に対するサワさんの小言について、同被告がパチンコによる借金を重ねていた事実を挙げ「被害者が嫌みを言うことは当然。現実に向き合う努力をすれば同被告が追い詰められることはなかった」と指摘。「動機は短絡的で身勝手」と非難した。
判決後の裁判員会見で裁判員1番の男性会社員は「被告はこれから服役し、家族はそれを支えていく。簡単に『(役目を)終えた』とは言えない」と話した。【岩壁峻】
毎日新聞 2010年10月2日 地方版