日米中の為替戦争、アジア全体に飛び火(下)

 新興国通貨が相次いで上昇したのは、景気低迷にあえぐ欧米に比べ、アジア各国が相対的に高成長を続けているためだ。新興国の株価は上昇を続け、世界から資金が流入している。さらに、輸出競争力を維持するため、米中が自国通貨を安値で維持しようとしているほか、日本が円高阻止に動いている影響もある。日本は8月30日に円高対策を発表したのに続き、9月15日には2兆円規模の為替介入を実施。これを契機として、新興国の通貨が急騰した。米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策を改めて発表した上、オバマ米大統領が9月23日、訪米した温家宝首相に人民元切り上げを直接要求したことから、ドル安が続いている。このため、ウォンは過去1カ月で4.5%上昇した。

介入も効果なし

 米ウォール・ストリート・ジャーナル、英フィナンシャル・タイムズなどのメディアは、韓国、シンガポール、タイ、インドネシア、インド、フィリピンの中央銀行が9月29日に一斉に為替市場に介入したとみられると報じた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、インドネシア中央銀行が5000万ドルのドル買いを行ったにもかかわらず、ルピアの上昇を阻止できなかったと伝えた。海外メディアは日本政府による為替介入の発表が各国に介入の口実を与えたと分析している。

 実際にブラジル政府は、レアル高を防ぐため、為替介入の方針を公表した。同国のマンテガ財務相は9月27日、ドル買いと資本フローに対する課税強化を検討していると語った。

 しかし、各国の為替介入にもかかわらず、当面の間はドル安基調が続くとの見方が優勢だ。米国が報復関税法案を通過させるほど、ドル安を維持する強い意志を示しているためだ。韓国開発研究院のイ・ハンギュ研究委員は、「各国が為替市場に介入するのは、自国通貨の上昇ペースを調節することが目的で、ドル安基調を反転させるのは困難だ」と指摘した。

金起弘(キム・ギホン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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