【ソウル大澤文護】春まで食べるキムチを一度に漬ける、朝鮮半島の初冬の風物詩「キムジャン」(11~12月)の季節を前に、韓国で原料となる白菜などの野菜価格の暴騰が続いている。今夏の猛暑や豪雨の異常気象による作付面積減少、生育不良が原因で、「キムチ不足」を憂慮する韓国農林水産食品省は1日、白菜の作付面積拡大や中国からの輸入拡大などの対策をとると発表した。
朝鮮日報によると、8月まで1株4300ウォン(約315円)程度だった白菜の小売価格は、9月27日に史上最高の1万3800ウォン(約1013円)を記録。その後も1万ウォン前後の高値が続いている。
韓国メディアは「農産物価格ショックと呼べるほどの状況」と市民生活への影響を憂慮。李明博(イ・ミョンバク)大統領も、青瓦台(大統領府)厨房(ちゅうぼう)責任者に白菜の代わりにキャベツのキムチを食卓に出すよう指示したという。
韓国政府はキムジャンの時期に、白菜などの野菜価格が再急騰したり、高止まりする可能性があるとみて、業者の出荷調整や価格談合への取り締まりを強化する方針を明らかにしている。
しかし、聯合ニュースによると、毎年、低所得家庭向けにキムチを漬け、提供している市民団体などから「白菜が高すぎる。今年はキムジャンができるかどうか分からない」との声が既に上がっているという。
毎日新聞 2010年10月2日 10時30分(最終更新 10月2日 10時59分)