【萬物相】ジグザグに進む高速艇
1975年、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)は、自主国防を掲げて韓国型高速艦事業を指示した。当時は設計能力すらきちんと備わっていない状態だったが、米国企業の支援を受け、5年後の1980年に韓国型高速艦「蔚山」が誕生した。しかし、設計上の欠陥による亀裂のため、何度も修理しなければならなかった。2002年には17億ウォン(現在のレートで約1億2560万円、以下同)を投じ、船体を大々的に補強した。
10年以上かけて開発された韓国独自の重魚雷「白鮫」は、2000年に韓国海軍へ実戦配備された。数年後、海軍は「白鮫」に深刻な欠陥があるとして、メーカーに損害賠償を求めた。900億ウォン(約66億円)を投じた魚雷は、試験発射すると、目標に命中する前に爆発してしまったり、目標に当たっても爆発しなかったりした。海軍は、乗組員118人全員が死亡したロシアの原子力潜水艦クルスクのように、艦内で魚雷が爆発する恐れがあると判断した。海軍は、「白鮫」のかわりに輸入魚雷を運用した。
09年、950億ウォン(約70億円)をかけた最新鋭の高速艦「尹永夏(ユン・ヨンハ)」が、西海(黄海)の最前線に配備された。140キロ離れた敵艦を攻撃できる対艦ミサイル「海星」を搭載し、最大で時速74キロまで出せる。水を噴き出して推進力を得るウォータージェット推進方式も採用された。おかげで、漁民が張った漁網に引っ掛かることはなく、水深が浅くても高速で動ける。しかし、実戦配備前に61件、実戦配備後2カ月間で95件の「改修」を行わなければならなかった。昨年11月の大青海戦のときも、尹永夏は鎮海で修理中だった。
高速ミサイル艇2番艇の韓相国(ハン・サングク)が、まっすぐ進めずジグザグに走るという深刻な欠陥を抱えていることが判明し、防衛事業庁が海軍への引き渡しを保留しているという。韓国製ウォータージェット推進器に問題があるというわけだ。尹永夏には、外国と技術提携した推進器を積んだが、韓相国から7番艇の玄時学(ヒョン・シハク)までの6隻は韓国製の推進器を積んでいる。
K1戦車の砲身が破裂し、新型装甲車K21が水に沈んで下士官が死亡…。韓国製兵器の欠陥があちこちで持ち上がっている。いずれも、お披露目のときには「最強」「最新鋭」という修飾語が付いた兵器だ。納入契約から検収まで、開発の過程に問題がなかったかどうか、細かく振り返る必要がある。2016年までに計2兆4000億ウォン(約1773億円)を投じて作る高速艇がジグザグに進むようでは、韓国国民はどう思うだろうか。
趙正薫(チョン・ジョンフン)論説委員