■9/29放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”
尖閣事件船長釈放の驚きの真相・官邸と検察の間で一体何が?水面下の緊迫の攻防を青山がズバリ!
検察の間では、大林検事総長を除き、「船長釈放は許せない」という声が渦巻いているそうです。
もちろん船長釈放を主導したのは官邸で、「ニューヨークにいる間に解決してくれ」と菅首相から伝えられた仙谷官房長官は、柳田法務大臣を呼び、「このままでは指揮権を発動せざるを得なくなる可能性もあるが、それでいいのか?」。
また、28日あたりから中国が急に「軟化」した理由とは?
コーナー本編は間投詞(「あの」「その」など)や言い直しもできるだけ再現しました。但し、細かい相づちなどは支障のない範囲でカットしています。
尖閣事件船長釈放の驚きの真相・官邸と検察の間で一体何が?水面下の緊迫の攻防を青山がズバリ!
検察の間では、大林検事総長を除き、「船長釈放は許せない」という声が渦巻いているそうです。
もちろん船長釈放を主導したのは官邸で、「ニューヨークにいる間に解決してくれ」と菅首相から伝えられた仙谷官房長官は、柳田法務大臣を呼び、「このままでは指揮権を発動せざるを得なくなる可能性もあるが、それでいいのか?」。
また、28日あたりから中国が急に「軟化」した理由とは?
コーナー本編は間投詞(「あの」「その」など)や言い直しもできるだけ再現しました。但し、細かい相づちなどは支障のない範囲でカットしています。
内容紹介ここから____________________________
■尖閣諸島漁船衝突事件 中国外務省報道官、日本との関係改善を模索する姿勢示す(FNN9/28)
■中国レアアース輸出手続き停止問題 通関手続きの一部が再開か(FNN9/29)
■中国レアアース輸出手続き停止問題 大畠経産相、補正予算で備蓄要求する考え(FNN9/29)
■中国漁船衝突事件受け、国家主権について考える超党派議員連盟発足のための準備会合へ(FNN9/29)
山本浩之
「ま、ここへ来て、態度に、姿勢に、変化が出てきた中国なんですけれども、これについては青山さん、どういうふうにご覧になりますか」
青山繁晴
「これは、日本が船長釈放したから、軟化してきたっていうふうに、受け止めてはいけないと思ってます。これはあの、アメリカはですね、あの、日米安保条約第5条、つまり、日本の統治下にある地域に、危機があったら、もし日本の要請があったらアメリカ軍も動きますよっていう、ま、趣旨なんですけど、尖閣諸島はそれに含まれますということ言いましたね。で、それプラス、でも、日本は早期に解決しなさいよと、してくれよということを、ま、言ったんですね。これ実は中国に対しても言ってるんですよ。ええ。だから、日本が船長釈放したから中国は態度を軟化させてきたように見えるんじゃなくて、その、アメリカにそろそろいい顔しないと、今の現状では、アメリカ軍が本気になったら中国は全く対抗できませんし、それから中国は、ま、だんだん世界の孤児になりつつあって、その、中国も要するに世界経済の中で生きてるだけですから、一人では生きられないから、日本に対してじゃなくて、その、アメリカと世界全体に対して、軟化させ始めたんだと、船長釈放のおかげじゃないという現実を僕らしっかり見る必要があると思いますね」
山本浩之
「なるほど。えー、緊張する日中関係なんですけれども、もちろん今日の青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーでは、詳しくこの問題について解説をしていただきたいというふうに思います」
青山繁晴
「はい。ま、あの、今日は、最初、実はちょっと僕、胸がえぐられる思いなんですけれども、あの、わずか1週間前なんで、あの、このスタジオにいるスタッフも、それから視聴者の方もちろん、ご記憶の通り、僕は先週のこのコーナーで、もしもこの船長を起訴できないようなことがあったら、日本の民主主義は死に瀕しますと、いうことをあえて申したわけですけど、ま、正直その時、まさかこういう処分保留のまま釈放ってことは僕も想像もしなかったんです。で、その、わずかあとの先週金曜日に、えー、船長の釈放ってことが起きてしまいまして、わずかそれから、まだ1週間経ってないわけですけど、何かこう、この国、あるいは世の中が変わってしまったような感じするぐらい、その、大きな衝撃だったですよね。で、こういう時にこそやっぱり僕ら大事なのは、主権者として大事なのは、その事実を、フェアな事実をあくまで踏まえるってことなんで、今日はその、事実は何だったかっていうことを、一番その、軸にしたいんです。で、その上で今日のキーワードはこれです(フリップ出す)」
山本浩之
「『中国の誤算』」
青山繁晴
「はい。これずっと、もうとにかく日本は負けたんだと、中国にやられてしまったという、この世の中の雰囲気になってるし、中国自身も勝った勝ったと今まで言ってるんですが、いや、それだけですか、実は中国も大きな誤算を犯していますよというお話も、えー、一緒にやりたいと思います」
山本浩之
「はい。えー、ではコマーシャルを挟んで青山さんの解説です」
(いったんCM)
山本浩之
「尖閣諸島沖で発生した中国漁船の衝突事件。船長釈放に至るまで、一体何があったのか。まずはそこからお願いしたいと思います。よろしくお願いします」
青山繁晴
「はい。ここにまあ、日本で犯罪を犯したままの、この船長がVサイン出してる写真があって、皆さんカーッと来るでしょうけど、カーッと来るよりも、やっぱりほんとは何があったのかを、僕らはこの国の主人公として、主権者として、ほんとに知ることが今、一番大事だと思います。その上で、一番最初に皆さんに知っていただきたい、報道されざる事実をまず申しますと、実は検察の中で、この船長の釈放に賛成の人っていうのは、僕が知る限りは、僕が知る限りは、一人しかいないんですよ」
村西利恵
「一人?」
青山繁晴
「全検察の中で。ま、もちろん僕は全検事に会ったわけじゃありませんよ。あるいは副検事も含めて会ったわけじゃないけど、少なくとも首脳陣、幹部と言われる中で、賛成という人は一人しかいない。それ誰かというと、岡安ちゃん、誰ですか?」
岡安譲
「えー?!それは長官ですか?」
青山繁晴
「はい。久しぶりに来ましたが、えー、検察には長官て人はいなくて、でも言いたいことは分かる。トップ、つまり、検事総長ですね。大林宏さんて検事総長、は、えー、この決断を下したから賛成なんですけれども、実はそのすぐ下から、ずーっと下に、若手検事に至るまでですね、これ許せないっていう声が、検察の中に実は渦巻いてるわけですよ。表に出てきてませんけれども」
村西利恵
「出てきてませんね」
青山繁晴
「はい。従って、その僕の取材の手がかり、きっかけの一つは、その、検察の中の、良心にかけて、本当のことを明らかにしたいっていう人々です。一人ではありません。で、さらにどれだけだとあの、一方通行になりますから、実は現職閣僚も含めて、僕なりの確認作業をいたしました。それを踏まえて、えー、しっかり見ていただきたいと思うんですが、まず今までの事実経過を見ましょう」
村西利恵
「船長の拘置の延長が決定した19日から、釈放が決まった24日までの動きです」
青山繁晴
「はい。これ皆さん、これあえてこの前(19日より前)が抜いてありますよね。つまりご記憶の通り、9月の8日にこの船長を逮捕いたしました。で、それがどうして抜けてるかというとですよ、つまり、9月8日からこの最初の拘置期限が切れるまでの(19日までの)、この間と、それからあとが、全然、世界が違ってしまったということなんですよね。で、実は、この、日本が、えー、日本ていうか日本の、司法が、拘置延長を決めるまでは、明らかに中国は、もうこの拘置延長なくて釈放されると思ってたわけです。で、それは、この船長のところに、実は毎日、えー、中国の大使館員と領事館員がやってきて、えー、いろんな相談をしてたと。例えば、その、弁護士もお断りする、それから全面否認をするってことをやってたわけですね。だからあの、日本人が、ま、捕まってる4人の日本人の方々が、やっと領事と2回目に会えるっていうのは、そういう意味からも極めてバランスを失しているわけですけれども。話戻しますとね、その、日本はその様子を見てて、要するにあくまで否認をしてですよ、この船長が、そして弁護士もつけないんだったら、まず略式起訴ってのはできないんですよ。略式起訴って基本的には本人が容疑を認めた上で略式になるわけですからね。すると、起訴か不起訴しかないわけですけど、その不起訴っていうことは、あの、ここにちょっとだけ写真載ってますけど、前原外務大臣が言ってる通り、ビデオ観れば一目瞭然で、意図的にぶつけてきたわけですから、不起訴はないという判断に至って、すなわちこの時点では何のために拘置延長したかというと、えー、皆さん、出してくれますか、はい」
村西利恵
「この19日の拘置延長が決まった段階で、那覇地検と福岡高検の判断で『正式起訴』を決めていた」
青山繁晴
「はい。皆さんこれ、あれっと思われる人いらっしゃるでしょう?つまりずっとこのあとの24日、釈放決定したのは那覇地検が発表したじゃないですか。ところがそうじゃなくて、実はこの拘置延長する時には、今言ったような事情で、もうこれは正式起訴、つまり裁判をやるしかないと決めていた。だから、この容疑者の人権のためにも拘置延長したんですよ。言い分をしっかり聞かなきゃいけない。弁護士もついてないから、本人からちゃんと話も聞かなきゃいけないし、裁判やる以上は、その証拠も、もうきっちり固めなきゃいけないってことで、拘置延長して、拘置延長して、この意思を、那覇地検と福岡高検、これ那覇地検の上が福岡高検になるわけですが、この一番上は最高検になるわけですね。その最高検に報告もしてて、その時は、ま、はっきり申すと検事総長以下、えー、実は納得するっていうか、反対がなかったんですよ。だからこの時の検察の意思はそうだったわけです。ところがですよ、この直後から、中国の態度がガラリと変わったわけですよ。ね。それはどうしてかというと、拘置延長するってことに中国も気がついたわけです。中国は、中国の普通の国民だけじゃなくて、意外にも政府当局者も、日本の民主主義や司法制度がよく分からないわけです、本当のところは。僕、今まで接してきた中国の当局者からもそういう印象を受けてます。やっぱり、本来司法というのは政府の言う通りになるはずだというイメージがあって、どうしてもこういう、検察だ裁判だってその、そこが決定していくというのが分かんないわけです」
村西利恵
「自分たちの概念にないわけですもんね」
青山繁晴
「ところがこの拘置延長があって、実は日本人の弁護士にもかなり取材したようで、領事館員や大使館員が。ということは、これ裁判やるのかと。裁判やったら船長がその、公判廷に立たされるんだと。ということは延長した、ほんとは29日まで延長あるわけですけど、それだけじゃなくて、初公判が始まるまで拘留されてですよ、いや、すみません、拘置されて、そして初公判の法廷にこうやって船長が立つのかと。Vサインじゃなくて。そうするとこれは日本の領土だってことが国際社会に、領土領海ってことが国際社会にアピールされるから、それ避けなきゃいけないんで、中国はそれまでやや柔軟な態度からものすごい強硬にいきなり変わったんですよ」
山本浩之
「船長の人権とかそういうこっちゃなかったわけですね、つまりは」
青山繁晴
「その通り。船長の人権じゃなくて、あくまで中国の国益を考えてやったわけですよ。で、そりゃまあ、あの、中国だけじゃないんですけどね、そういう動きは。そして、だからこのわずか2日後に、それまで日本が想像してなかった、温家宝首相が即時釈放を急に要求することになった。で、これに驚いたってこと自体が、皆さんほんとはこれ、僕たち怒らなきゃいけなくてですね、それまでまさか総理大臣が出てこないと思ってたんですよ、日本側は。しかし日本側は菅総理以下がこの問題に取り組んでたわけでしょ。ということは、日本は、総理と総理が対等じゃないってことですか。日本は総理大臣が一生懸命やってて、中国はもっと下がやってて、それでいいんだというのが、ここにあったわけでしょ、この間に(21日までの間に)。そして、いわば中国の首相が出てきたら大慌てしたわけですよ。ということは、日本の総理から見たら上に扱ってるようになるから、これ自体、非常に間違ったメッセージを国際社会、あるいは中国に発したことになるんですが、これで驚いてですね、実はその、日本側が、あの、ま、はっきり言うと慌てたわけです。特に官邸が慌てた。慌てたために、その翌日に迫っていた渡米の時に何があったかというと、こうです」
村西利恵
「菅総理は、訪米前に『ニューヨークにいる間に解決してくれ』と、仙谷官房長官に伝えたと」
山本浩之
「へえー」
青山繁晴
「はい。これ(モニターの「政府高官」)はですね、あの、もちろん一人ではありません。で、この件は意外にたくさんの政府当局者が知ってます。で、これあの、ま、菅さんらしいなと僕は思うんですけども、言ってるようで、何も言ってないようで、言ってるんですよ。というのは、例えば船長釈放しろとかですよ、ね」
一同
「そうか…」
青山繁晴
「あの、例えばあの、極端な話、指揮権発動しろとかいうようなことは一切言ってないわけじゃないですか」
村西利恵
「具体的には言ってませんね」
青山繁晴
「さらに温家宝さんとニューヨークで会いたいとも言ってないわけですよ。しかしこれを受け取ったその、仙谷さん、それから仙谷さんを支えるその高官たち、スタッフたちは、みんなはこれはどういう意味かというとですよ、この、自分がニューヨークにいる間に、つまり25日帰るはずだから、24日ぐらいまでに、24日ぐらいまでに釈放しろと、してくれって意味だなあと思い、それはどうしてそうやって急ぐのかというと、同じニューヨークに温家宝さんが行くんだから、そこで、その日中首脳会談やりたいよと、いうふうに受け取ったわけですよ」
山本浩之
「はいはい…」
青山繁晴
「で、これで、その、いわばお尻が決まってしまった、事実上24日までに決めなきゃいけないってことに決まってしまったっていう面があるんですね。で、皆さんこれ(時系列の表)見ていただくとですよ、ちょうどこの23日に、例のフジタの4人の方々が拘束された。これほんとは20日から拘束されてたんですが、23日に、わざわざ中国の国営通信社の新華社が、予告までして、日本人を調べてるって報道をこれからやりますよと(笑)、僕は元共同通信ですから、新華社の人たちも昔から知ってますけど、そんな予告報道って生まれて初めて聞いたんですよ」
一同
「うーん」
青山繁晴
「それまでわざわざやって、23日に、この、4人を捕まえたよっていうのをですね、わざわざ公表したわけですね、中国は。そして24日未明、これは日本でも報道されて、そして例のレアアースの、事実上禁輸状態にしてるっていうのも、もう少し前から始まってたけども、明らかになったのはこのあたりなんですよ。そうするとですよ、この、その人命に関わることと、それからレアアースの禁輸、つまりレアアースが入ってこなかったら日本の誇るハイテク製品が作れないと、こういう大きな危機、命の危機と経済の危機があったから釈放になったかに見えるじゃないですか」
岡安譲
「見えますね」
青山繁晴
「これははっきり言うと、からくりなんですよ。これが上手く弁明に使われてると、いうのが、こう実態だと、言わざるを得ないと思います。その証拠として、皆さん、那覇地検の会見の内容をちょっと見て下さい」
村西利恵
「那覇地検の鈴木次席検事は24日、会見で、『当庁は本日、公務執行妨害容疑で拘置していた中国人船長を、処分保留のまま釈放することを決定した』。中略します。『中国人船長の身柄を拘置したまま、捜査を継続した場合の、わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した』と」
青山繁晴
「はい。この24日の、午後2時半頃だったと思いますけど、この那覇地検の鈴木次席検事が発表した時には、僕も本当にびっくりしたですよ。しかしその上でですね、皆さんにまず、この会見で申しておきたいのは、この文章はこの那覇地検が作ったものではありません。これは結論から申しますと、さっき申しました大林宏検事総長を含め、検察のトップのところで作ったものを、那覇地検が、これも、これは僕の責任でこの言葉使いますが、無理やり読まされただけであって」
村西利恵
「無理やり」
青山繁晴
「那覇地検が作ったものではありません。そして、この、全体を通じてですね、まず驚くのは、その、僕も若い頃は司法記者でしたが、その、検察はいかなる事件があっても、発表する時には、法と証拠に基づいて、この処分決定をいたしましたと、言うんですよ。ところが全文の中に、法と証拠ってのが、出てこないんですよ。ということは何を言おうとしてるかというと、法に基づいてません、証拠にも基づいてませんってこと言ってるわけですよ」
一同
「ああー」
青山繁晴
「ね。で、そのかわりにこういう後ろの言葉が入ってくるんですが、その前にですね、この処分保留っていうのも、これ理屈から言うと当たり前のようにも見えるんですよ。つまり、処分保留ってやり方は実際はあります。例えばその、容疑者が病気になったりした時は、とりあえず釈放して病院に入れると。で、処分は、つまり起訴するのか不起訴にするのかはあとで決めますっていうのあるんですよ。ところが今回の意味はそうじゃない。何かというとですよ、検察庁の本当の仕事っていうのは、ここに書いてあるように日中関係を考えるとかですよ、国民への影響を考えるのが仕事じゃなくて、あくまでも送られてきた容疑者を、どう処分するのか決めるんですよ。その、今、問題になってる特捜事件は別として、普段は、送られてくるわけですよ、その容疑者が、その容疑付きで。今回も、海上保安庁からですよ、この船長の身柄ごと、送検されてきた、検察庁に送られてきたんですね。その処分、起訴か不起訴か決めるのが仕事なんだけど、それ、できませんでしたと。本来の仕事をやらせてもらえなかったと言ってるわけですよ」
一同
「はあー」
青山繁晴
「で、その上で、その理由として、国民への影響と今後の日中関係、だから、法と証拠じゃなくて、国民への影響と今後の日中関係っていうように、言葉置き換わってんですが、この、今後の日中関係の方からまず見たいんですが、どうしてこういう言葉が、えー、いわば、あの、検察のトップによって盛り込まれたかというと、こういう事実経過があるからです。出して下さい」
村西利恵
「『このままでは指揮権を発動せざるを得なくなる可能性もあるが、それでいいのか?』」
青山繁晴
「はい。この言葉なんですが、ここに書かれてる通り、仙谷官房長官が、2度以上にわたって柳田法務大臣を呼んで、仙谷さんから柳田さんに言い渡した言葉なんですよ。で、これも、さっきの菅さんの時とちょっと似てますけど、なかなか、したたかというか巧妙というか、ほんとは姑息と言うべき言い方であって、指揮権発動すると命ずるとも言ってないし、指揮権発動してくれないかって法務大臣に相談もしてないわけですよ。それから、船長釈放しろとも言ってないわけですよ。このままでは、指揮権を発動せざるを得なくなる可能性もあるが、それでもいいのかと言ってるだけで、ね。でも柳田さんは当然、これは、あの、タイミングが24日よりあとにずれていったりするとですよ、指揮権を発動、法務大臣が、検事総長に対してやって、船長を釈放しなきゃいけないようになんのかなあ、これはえらいことだなあと思うでしょ?ね。思いますよね。思う時に、そこまでは誰でもそうなんですが、これ、はっきり言うと、毅然とした法務大臣なら、これ押し返すはずですよ。ね。法務・検察預かってんですから。ちょっと待って下さいよと押し返すはずが、スコーンと大林宏検事総長に下ろしたんですよ。さて、その上で指揮権発動って何なのか、念のために見ましょう。はい、出して下さい」
青山繁晴
「はい。ここにちょっとずらっとこう文字が並んでますが、あの、分かりやすく言いますからね。検察庁法、当然、全部法律ですから、検察庁法の中にこういう定めがあります。まず最初はですね、法務大臣は、検察官を一般的に指揮監督できる。それは当たり前ですよね。検察庁っていうのは準司法機関、準ってのは準ずるって意味です、純粋じゃなくてね。で、準司法機関であると同時に、行政機関でもあるんですよ。だから法務大臣が一般的には指揮監督できますよと。但し、それぞれの事件の取り調べ、あるいは処分、つまり起訴するのか不起訴については、検事総長だけを指揮できるって書いてるわけですよ。これを指揮権発動って言うんですね。つまりこれは何を言ってるかというと、一般的なことじゃなくて、例えば政治家の取り調べ方法とか、政治家の起訴不起訴については、その、検事総長にしか指揮できないよと。つまり検事総長の意思に任されてるよって意味でもあるわけですよ。で、従って、伊藤栄樹(いとうしげき)さんっていう、『人間は死んだらゴミになる』(『人は死ねばゴミになる』)っていう有名な本を書いた、もう亡くなりましたけど、その検事総長は、指揮権発動された時は、検事総長には3つの道があるとも言ってんですよ。その通りやるのか、その通りやらないのか、それとも、自分が辞めて抗議するのか、3つやり方があると言ってるんですが、ということは、これフェアに言うと、下ろしてきたことだけが問題じゃなくて、この大林検事総長がどういう判断をなさったのかっていうのが、問われなきゃいけないですね」
山本浩之
「そうですね」
青山繁晴
「それは、実はこうです。はい、出して下さい」
村西利恵
「検察のまず内部では、『あえて指揮権を発動させるべきだ。これは強硬論ではない』という声があった」
青山繁晴
「はい。声があったとは、今は村西さんが柔らかく言ってくれたんですが、僕の知る限り、これはあくまでも僕の責任ですけれども、大林さん以外の他の方は、皆そうだったと、僕は取材の結果、えー、ほぼ確信する、ほぼじゃない、確信するに至ったんですよ。で、これは強硬論じゃないってのが大事なところでですよ。今、皆さん、検察庁法第14条で見ていただきましたね。難しいなと思いながら、皆さんも頑張って見ていただいたと思うんですけど、ということは、ちゃんと指揮権発動は法律の中に書いてあるんですよね。だから、政府としてですよ、これもうやむを得ないと、だから指揮権発動しますと、この件はとりあえず船長を釈放して、処分あとで決めようと、いう指揮権をやると、いうことを、国民と世界に示したならば、何とか司法は、その、フェアネスと独立が保たれるんですよ。何でかというと、法律の枠内ですから」
一同
「うん」
(下に続く)
・「アンカー」尖閣事件船長釈放の真相と中国の誤算 - ぼやきくっくり(2010年9月30日)
・ここヘンJAPAN - 公式サイト
■尖閣諸島漁船衝突事件 中国外務省報道官、日本との関係改善を模索する姿勢示す(FNN9/28)
■中国レアアース輸出手続き停止問題 通関手続きの一部が再開か(FNN9/29)
■中国レアアース輸出手続き停止問題 大畠経産相、補正予算で備蓄要求する考え(FNN9/29)
■中国漁船衝突事件受け、国家主権について考える超党派議員連盟発足のための準備会合へ(FNN9/29)
山本浩之
「ま、ここへ来て、態度に、姿勢に、変化が出てきた中国なんですけれども、これについては青山さん、どういうふうにご覧になりますか」
青山繁晴
「これは、日本が船長釈放したから、軟化してきたっていうふうに、受け止めてはいけないと思ってます。これはあの、アメリカはですね、あの、日米安保条約第5条、つまり、日本の統治下にある地域に、危機があったら、もし日本の要請があったらアメリカ軍も動きますよっていう、ま、趣旨なんですけど、尖閣諸島はそれに含まれますということ言いましたね。で、それプラス、でも、日本は早期に解決しなさいよと、してくれよということを、ま、言ったんですね。これ実は中国に対しても言ってるんですよ。ええ。だから、日本が船長釈放したから中国は態度を軟化させてきたように見えるんじゃなくて、その、アメリカにそろそろいい顔しないと、今の現状では、アメリカ軍が本気になったら中国は全く対抗できませんし、それから中国は、ま、だんだん世界の孤児になりつつあって、その、中国も要するに世界経済の中で生きてるだけですから、一人では生きられないから、日本に対してじゃなくて、その、アメリカと世界全体に対して、軟化させ始めたんだと、船長釈放のおかげじゃないという現実を僕らしっかり見る必要があると思いますね」
山本浩之
「なるほど。えー、緊張する日中関係なんですけれども、もちろん今日の青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーでは、詳しくこの問題について解説をしていただきたいというふうに思います」
青山繁晴
「はい。ま、あの、今日は、最初、実はちょっと僕、胸がえぐられる思いなんですけれども、あの、わずか1週間前なんで、あの、このスタジオにいるスタッフも、それから視聴者の方もちろん、ご記憶の通り、僕は先週のこのコーナーで、もしもこの船長を起訴できないようなことがあったら、日本の民主主義は死に瀕しますと、いうことをあえて申したわけですけど、ま、正直その時、まさかこういう処分保留のまま釈放ってことは僕も想像もしなかったんです。で、その、わずかあとの先週金曜日に、えー、船長の釈放ってことが起きてしまいまして、わずかそれから、まだ1週間経ってないわけですけど、何かこう、この国、あるいは世の中が変わってしまったような感じするぐらい、その、大きな衝撃だったですよね。で、こういう時にこそやっぱり僕ら大事なのは、主権者として大事なのは、その事実を、フェアな事実をあくまで踏まえるってことなんで、今日はその、事実は何だったかっていうことを、一番その、軸にしたいんです。で、その上で今日のキーワードはこれです(フリップ出す)」
山本浩之
「『中国の誤算』」
青山繁晴
「はい。これずっと、もうとにかく日本は負けたんだと、中国にやられてしまったという、この世の中の雰囲気になってるし、中国自身も勝った勝ったと今まで言ってるんですが、いや、それだけですか、実は中国も大きな誤算を犯していますよというお話も、えー、一緒にやりたいと思います」
山本浩之
「はい。えー、ではコマーシャルを挟んで青山さんの解説です」
(いったんCM)
山本浩之
「尖閣諸島沖で発生した中国漁船の衝突事件。船長釈放に至るまで、一体何があったのか。まずはそこからお願いしたいと思います。よろしくお願いします」
青山繁晴
「はい。ここにまあ、日本で犯罪を犯したままの、この船長がVサイン出してる写真があって、皆さんカーッと来るでしょうけど、カーッと来るよりも、やっぱりほんとは何があったのかを、僕らはこの国の主人公として、主権者として、ほんとに知ることが今、一番大事だと思います。その上で、一番最初に皆さんに知っていただきたい、報道されざる事実をまず申しますと、実は検察の中で、この船長の釈放に賛成の人っていうのは、僕が知る限りは、僕が知る限りは、一人しかいないんですよ」
村西利恵
「一人?」
青山繁晴
「全検察の中で。ま、もちろん僕は全検事に会ったわけじゃありませんよ。あるいは副検事も含めて会ったわけじゃないけど、少なくとも首脳陣、幹部と言われる中で、賛成という人は一人しかいない。それ誰かというと、岡安ちゃん、誰ですか?」
岡安譲
「えー?!それは長官ですか?」
青山繁晴
「はい。久しぶりに来ましたが、えー、検察には長官て人はいなくて、でも言いたいことは分かる。トップ、つまり、検事総長ですね。大林宏さんて検事総長、は、えー、この決断を下したから賛成なんですけれども、実はそのすぐ下から、ずーっと下に、若手検事に至るまでですね、これ許せないっていう声が、検察の中に実は渦巻いてるわけですよ。表に出てきてませんけれども」
村西利恵
「出てきてませんね」
青山繁晴
「はい。従って、その僕の取材の手がかり、きっかけの一つは、その、検察の中の、良心にかけて、本当のことを明らかにしたいっていう人々です。一人ではありません。で、さらにどれだけだとあの、一方通行になりますから、実は現職閣僚も含めて、僕なりの確認作業をいたしました。それを踏まえて、えー、しっかり見ていただきたいと思うんですが、まず今までの事実経過を見ましょう」
村西利恵
「船長の拘置の延長が決定した19日から、釈放が決まった24日までの動きです」
青山繁晴
「はい。これ皆さん、これあえてこの前(19日より前)が抜いてありますよね。つまりご記憶の通り、9月の8日にこの船長を逮捕いたしました。で、それがどうして抜けてるかというとですよ、つまり、9月8日からこの最初の拘置期限が切れるまでの(19日までの)、この間と、それからあとが、全然、世界が違ってしまったということなんですよね。で、実は、この、日本が、えー、日本ていうか日本の、司法が、拘置延長を決めるまでは、明らかに中国は、もうこの拘置延長なくて釈放されると思ってたわけです。で、それは、この船長のところに、実は毎日、えー、中国の大使館員と領事館員がやってきて、えー、いろんな相談をしてたと。例えば、その、弁護士もお断りする、それから全面否認をするってことをやってたわけですね。だからあの、日本人が、ま、捕まってる4人の日本人の方々が、やっと領事と2回目に会えるっていうのは、そういう意味からも極めてバランスを失しているわけですけれども。話戻しますとね、その、日本はその様子を見てて、要するにあくまで否認をしてですよ、この船長が、そして弁護士もつけないんだったら、まず略式起訴ってのはできないんですよ。略式起訴って基本的には本人が容疑を認めた上で略式になるわけですからね。すると、起訴か不起訴しかないわけですけど、その不起訴っていうことは、あの、ここにちょっとだけ写真載ってますけど、前原外務大臣が言ってる通り、ビデオ観れば一目瞭然で、意図的にぶつけてきたわけですから、不起訴はないという判断に至って、すなわちこの時点では何のために拘置延長したかというと、えー、皆さん、出してくれますか、はい」
村西利恵
「この19日の拘置延長が決まった段階で、那覇地検と福岡高検の判断で『正式起訴』を決めていた」
青山繁晴
「はい。皆さんこれ、あれっと思われる人いらっしゃるでしょう?つまりずっとこのあとの24日、釈放決定したのは那覇地検が発表したじゃないですか。ところがそうじゃなくて、実はこの拘置延長する時には、今言ったような事情で、もうこれは正式起訴、つまり裁判をやるしかないと決めていた。だから、この容疑者の人権のためにも拘置延長したんですよ。言い分をしっかり聞かなきゃいけない。弁護士もついてないから、本人からちゃんと話も聞かなきゃいけないし、裁判やる以上は、その証拠も、もうきっちり固めなきゃいけないってことで、拘置延長して、拘置延長して、この意思を、那覇地検と福岡高検、これ那覇地検の上が福岡高検になるわけですが、この一番上は最高検になるわけですね。その最高検に報告もしてて、その時は、ま、はっきり申すと検事総長以下、えー、実は納得するっていうか、反対がなかったんですよ。だからこの時の検察の意思はそうだったわけです。ところがですよ、この直後から、中国の態度がガラリと変わったわけですよ。ね。それはどうしてかというと、拘置延長するってことに中国も気がついたわけです。中国は、中国の普通の国民だけじゃなくて、意外にも政府当局者も、日本の民主主義や司法制度がよく分からないわけです、本当のところは。僕、今まで接してきた中国の当局者からもそういう印象を受けてます。やっぱり、本来司法というのは政府の言う通りになるはずだというイメージがあって、どうしてもこういう、検察だ裁判だってその、そこが決定していくというのが分かんないわけです」
村西利恵
「自分たちの概念にないわけですもんね」
青山繁晴
「ところがこの拘置延長があって、実は日本人の弁護士にもかなり取材したようで、領事館員や大使館員が。ということは、これ裁判やるのかと。裁判やったら船長がその、公判廷に立たされるんだと。ということは延長した、ほんとは29日まで延長あるわけですけど、それだけじゃなくて、初公判が始まるまで拘留されてですよ、いや、すみません、拘置されて、そして初公判の法廷にこうやって船長が立つのかと。Vサインじゃなくて。そうするとこれは日本の領土だってことが国際社会に、領土領海ってことが国際社会にアピールされるから、それ避けなきゃいけないんで、中国はそれまでやや柔軟な態度からものすごい強硬にいきなり変わったんですよ」
山本浩之
「船長の人権とかそういうこっちゃなかったわけですね、つまりは」
青山繁晴
「その通り。船長の人権じゃなくて、あくまで中国の国益を考えてやったわけですよ。で、そりゃまあ、あの、中国だけじゃないんですけどね、そういう動きは。そして、だからこのわずか2日後に、それまで日本が想像してなかった、温家宝首相が即時釈放を急に要求することになった。で、これに驚いたってこと自体が、皆さんほんとはこれ、僕たち怒らなきゃいけなくてですね、それまでまさか総理大臣が出てこないと思ってたんですよ、日本側は。しかし日本側は菅総理以下がこの問題に取り組んでたわけでしょ。ということは、日本は、総理と総理が対等じゃないってことですか。日本は総理大臣が一生懸命やってて、中国はもっと下がやってて、それでいいんだというのが、ここにあったわけでしょ、この間に(21日までの間に)。そして、いわば中国の首相が出てきたら大慌てしたわけですよ。ということは、日本の総理から見たら上に扱ってるようになるから、これ自体、非常に間違ったメッセージを国際社会、あるいは中国に発したことになるんですが、これで驚いてですね、実はその、日本側が、あの、ま、はっきり言うと慌てたわけです。特に官邸が慌てた。慌てたために、その翌日に迫っていた渡米の時に何があったかというと、こうです」
村西利恵
「菅総理は、訪米前に『ニューヨークにいる間に解決してくれ』と、仙谷官房長官に伝えたと」
山本浩之
「へえー」
青山繁晴
「はい。これ(モニターの「政府高官」)はですね、あの、もちろん一人ではありません。で、この件は意外にたくさんの政府当局者が知ってます。で、これあの、ま、菅さんらしいなと僕は思うんですけども、言ってるようで、何も言ってないようで、言ってるんですよ。というのは、例えば船長釈放しろとかですよ、ね」
一同
「そうか…」
青山繁晴
「あの、例えばあの、極端な話、指揮権発動しろとかいうようなことは一切言ってないわけじゃないですか」
村西利恵
「具体的には言ってませんね」
青山繁晴
「さらに温家宝さんとニューヨークで会いたいとも言ってないわけですよ。しかしこれを受け取ったその、仙谷さん、それから仙谷さんを支えるその高官たち、スタッフたちは、みんなはこれはどういう意味かというとですよ、この、自分がニューヨークにいる間に、つまり25日帰るはずだから、24日ぐらいまでに、24日ぐらいまでに釈放しろと、してくれって意味だなあと思い、それはどうしてそうやって急ぐのかというと、同じニューヨークに温家宝さんが行くんだから、そこで、その日中首脳会談やりたいよと、いうふうに受け取ったわけですよ」
山本浩之
「はいはい…」
青山繁晴
「で、これで、その、いわばお尻が決まってしまった、事実上24日までに決めなきゃいけないってことに決まってしまったっていう面があるんですね。で、皆さんこれ(時系列の表)見ていただくとですよ、ちょうどこの23日に、例のフジタの4人の方々が拘束された。これほんとは20日から拘束されてたんですが、23日に、わざわざ中国の国営通信社の新華社が、予告までして、日本人を調べてるって報道をこれからやりますよと(笑)、僕は元共同通信ですから、新華社の人たちも昔から知ってますけど、そんな予告報道って生まれて初めて聞いたんですよ」
一同
「うーん」
青山繁晴
「それまでわざわざやって、23日に、この、4人を捕まえたよっていうのをですね、わざわざ公表したわけですね、中国は。そして24日未明、これは日本でも報道されて、そして例のレアアースの、事実上禁輸状態にしてるっていうのも、もう少し前から始まってたけども、明らかになったのはこのあたりなんですよ。そうするとですよ、この、その人命に関わることと、それからレアアースの禁輸、つまりレアアースが入ってこなかったら日本の誇るハイテク製品が作れないと、こういう大きな危機、命の危機と経済の危機があったから釈放になったかに見えるじゃないですか」
岡安譲
「見えますね」
青山繁晴
「これははっきり言うと、からくりなんですよ。これが上手く弁明に使われてると、いうのが、こう実態だと、言わざるを得ないと思います。その証拠として、皆さん、那覇地検の会見の内容をちょっと見て下さい」
村西利恵
「那覇地検の鈴木次席検事は24日、会見で、『当庁は本日、公務執行妨害容疑で拘置していた中国人船長を、処分保留のまま釈放することを決定した』。中略します。『中国人船長の身柄を拘置したまま、捜査を継続した場合の、わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した』と」
青山繁晴
「はい。この24日の、午後2時半頃だったと思いますけど、この那覇地検の鈴木次席検事が発表した時には、僕も本当にびっくりしたですよ。しかしその上でですね、皆さんにまず、この会見で申しておきたいのは、この文章はこの那覇地検が作ったものではありません。これは結論から申しますと、さっき申しました大林宏検事総長を含め、検察のトップのところで作ったものを、那覇地検が、これも、これは僕の責任でこの言葉使いますが、無理やり読まされただけであって」
村西利恵
「無理やり」
青山繁晴
「那覇地検が作ったものではありません。そして、この、全体を通じてですね、まず驚くのは、その、僕も若い頃は司法記者でしたが、その、検察はいかなる事件があっても、発表する時には、法と証拠に基づいて、この処分決定をいたしましたと、言うんですよ。ところが全文の中に、法と証拠ってのが、出てこないんですよ。ということは何を言おうとしてるかというと、法に基づいてません、証拠にも基づいてませんってこと言ってるわけですよ」
一同
「ああー」
青山繁晴
「ね。で、そのかわりにこういう後ろの言葉が入ってくるんですが、その前にですね、この処分保留っていうのも、これ理屈から言うと当たり前のようにも見えるんですよ。つまり、処分保留ってやり方は実際はあります。例えばその、容疑者が病気になったりした時は、とりあえず釈放して病院に入れると。で、処分は、つまり起訴するのか不起訴にするのかはあとで決めますっていうのあるんですよ。ところが今回の意味はそうじゃない。何かというとですよ、検察庁の本当の仕事っていうのは、ここに書いてあるように日中関係を考えるとかですよ、国民への影響を考えるのが仕事じゃなくて、あくまでも送られてきた容疑者を、どう処分するのか決めるんですよ。その、今、問題になってる特捜事件は別として、普段は、送られてくるわけですよ、その容疑者が、その容疑付きで。今回も、海上保安庁からですよ、この船長の身柄ごと、送検されてきた、検察庁に送られてきたんですね。その処分、起訴か不起訴か決めるのが仕事なんだけど、それ、できませんでしたと。本来の仕事をやらせてもらえなかったと言ってるわけですよ」
一同
「はあー」
青山繁晴
「で、その上で、その理由として、国民への影響と今後の日中関係、だから、法と証拠じゃなくて、国民への影響と今後の日中関係っていうように、言葉置き換わってんですが、この、今後の日中関係の方からまず見たいんですが、どうしてこういう言葉が、えー、いわば、あの、検察のトップによって盛り込まれたかというと、こういう事実経過があるからです。出して下さい」
村西利恵
「『このままでは指揮権を発動せざるを得なくなる可能性もあるが、それでいいのか?』」
青山繁晴
「はい。この言葉なんですが、ここに書かれてる通り、仙谷官房長官が、2度以上にわたって柳田法務大臣を呼んで、仙谷さんから柳田さんに言い渡した言葉なんですよ。で、これも、さっきの菅さんの時とちょっと似てますけど、なかなか、したたかというか巧妙というか、ほんとは姑息と言うべき言い方であって、指揮権発動すると命ずるとも言ってないし、指揮権発動してくれないかって法務大臣に相談もしてないわけですよ。それから、船長釈放しろとも言ってないわけですよ。このままでは、指揮権を発動せざるを得なくなる可能性もあるが、それでもいいのかと言ってるだけで、ね。でも柳田さんは当然、これは、あの、タイミングが24日よりあとにずれていったりするとですよ、指揮権を発動、法務大臣が、検事総長に対してやって、船長を釈放しなきゃいけないようになんのかなあ、これはえらいことだなあと思うでしょ?ね。思いますよね。思う時に、そこまでは誰でもそうなんですが、これ、はっきり言うと、毅然とした法務大臣なら、これ押し返すはずですよ。ね。法務・検察預かってんですから。ちょっと待って下さいよと押し返すはずが、スコーンと大林宏検事総長に下ろしたんですよ。さて、その上で指揮権発動って何なのか、念のために見ましょう。はい、出して下さい」
青山繁晴
「はい。ここにちょっとずらっとこう文字が並んでますが、あの、分かりやすく言いますからね。検察庁法、当然、全部法律ですから、検察庁法の中にこういう定めがあります。まず最初はですね、法務大臣は、検察官を一般的に指揮監督できる。それは当たり前ですよね。検察庁っていうのは準司法機関、準ってのは準ずるって意味です、純粋じゃなくてね。で、準司法機関であると同時に、行政機関でもあるんですよ。だから法務大臣が一般的には指揮監督できますよと。但し、それぞれの事件の取り調べ、あるいは処分、つまり起訴するのか不起訴については、検事総長だけを指揮できるって書いてるわけですよ。これを指揮権発動って言うんですね。つまりこれは何を言ってるかというと、一般的なことじゃなくて、例えば政治家の取り調べ方法とか、政治家の起訴不起訴については、その、検事総長にしか指揮できないよと。つまり検事総長の意思に任されてるよって意味でもあるわけですよ。で、従って、伊藤栄樹(いとうしげき)さんっていう、『人間は死んだらゴミになる』(『人は死ねばゴミになる』)っていう有名な本を書いた、もう亡くなりましたけど、その検事総長は、指揮権発動された時は、検事総長には3つの道があるとも言ってんですよ。その通りやるのか、その通りやらないのか、それとも、自分が辞めて抗議するのか、3つやり方があると言ってるんですが、ということは、これフェアに言うと、下ろしてきたことだけが問題じゃなくて、この大林検事総長がどういう判断をなさったのかっていうのが、問われなきゃいけないですね」
山本浩之
「そうですね」
青山繁晴
「それは、実はこうです。はい、出して下さい」
村西利恵
「検察のまず内部では、『あえて指揮権を発動させるべきだ。これは強硬論ではない』という声があった」
青山繁晴
「はい。声があったとは、今は村西さんが柔らかく言ってくれたんですが、僕の知る限り、これはあくまでも僕の責任ですけれども、大林さん以外の他の方は、皆そうだったと、僕は取材の結果、えー、ほぼ確信する、ほぼじゃない、確信するに至ったんですよ。で、これは強硬論じゃないってのが大事なところでですよ。今、皆さん、検察庁法第14条で見ていただきましたね。難しいなと思いながら、皆さんも頑張って見ていただいたと思うんですけど、ということは、ちゃんと指揮権発動は法律の中に書いてあるんですよね。だから、政府としてですよ、これもうやむを得ないと、だから指揮権発動しますと、この件はとりあえず船長を釈放して、処分あとで決めようと、いう指揮権をやると、いうことを、国民と世界に示したならば、何とか司法は、その、フェアネスと独立が保たれるんですよ。何でかというと、法律の枠内ですから」
一同
「うん」
(下に続く)
・「アンカー」尖閣事件船長釈放の真相と中国の誤算 - ぼやきくっくり(2010年9月30日)
・ここヘンJAPAN - 公式サイト
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