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かのこちゃんとマドレーヌ夫人
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★★★★
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ぜのぱす/現代版、我が輩は猫である、大人のための童話としても最高!
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『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』、私にとっての2作目の万城目作品である。前回読んだ『鴨川ホルモー』とは、また、趣を異にした、新たなマキメ・ワールドが展開していた。主人公の一人は、かのこちゃん、小学校一年生の女の子。もうひとりは、マドレーヌ夫人、因に旦那は、玄三郎。かのこちゃん一家と共に暮らしています。あっ、夫人は猫で、旦那は犬です。ま、敢えて云えば、現代版『我が輩は猫である』と云えなくもない。幸い
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鼓動を聴いて
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のはら そらこ/心が澄みわたる作品
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心の洗われる作品だった。ニューヨークの女性弁護士ユリアの父親は、4年前に失踪した。父親はビルマからの移民で、有能な弁護士だった。ユリアは、父親を行方を求めて、ビルマのカローへやってくる。そして、茶店に入ると、ビルマ人の男が話かけてきた。男は、名をウ・バと名のり、ユリアも父親も知っていて、ユリアを4年間待っていたという。そして、ある物語を語りだす。それは、幼くして視力を失った少年ティムと、生まれつき
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告白
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★★★★★
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真愛/本当の「告白」は。
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この本が発売され「本屋大賞」「このミステリーがすごい」等様々なランキングに入っているのに賛否両論の書評が気になり読むか否か迷っているうちに文庫化されました。個人的総評を先に述べると、今まで読んだ酷評程酷くはない、と言う感想でした。後味の悪さはもやもや感に近く、個人的には騒ぎ立てる程の内容ではない、逆に少し緩いとさえ思いました。あくまで個人的です。話題とされた一文、「愛美は死にました。しかし事故では
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黙禱の時間
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★★★★★
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星落秋風五丈原/Stella by sea light~海影のステラ~
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この物語は、学生クリスティアンが、英語教師シュテラの追悼式に参加する「現在」と、彼とシュテラが過ごしたひと夏の思い出「過去」が交錯して描かれる。不幸な海の事故で重傷を負い、亡くなってしまったシュテラとクリスティアンは恋愛関係にあった。うすうす感づいていた校長や彼女の同僚教師から、追悼式で何か述べるように、と言われるが、クリスティアンは断る。その理由は「過去」が語られることによって明らかになる。語り
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深川駕籠
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★★★★
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toku/足の速さに自信を持つ駕籠舁きが、プライドをかけて競う賭けを中心に描いた時代小説。
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人は、ちょっとした意地の張り合いから争いに発展することがある。それが矜持の強い江戸っ子であればなおさらで、己のプライドを守るべく、相手に負けまいとする。この作品では、足の速さに自信を持つ駕籠舁き新太郎と尚平の二人が、己のプライドをかけて競う賭けを中心に描いた時代小説。ただの口論から、メンツを立てるための賭け、運を天に任せる賭けまで、さまざまな経緯で到る賭け。当然すんなりと賭けが進むわけもなく、邪魔
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妄想銀行
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★★★★
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toku/星新一の32の妄想を保管する妄想銀行。
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人々がかかえる不要な妄想を吸収し、保管する『妄想銀行』妄想銀行に保管されたさまざまな妄想は、カプセルに詰め込み、内服することでその妄想を取り入れることができるのだ。役になりきれない劇団員にはその人物だと思いこんだ妄想カプセルを、反省のない犯罪者には罪を犯したと悩む妄想カプセルを。本書は星新一のさまざまな妄想が詰め込まれた妄想銀行。内服の際には妄想に取り憑かれないようご注意ください。【半人前】エヌ氏
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万能鑑定士Qの事件簿 5
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★★★★
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ひろし/ここまでの最高傑作だと思う。
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Qシリーズもはや5作目になるが、5作目にして本作品が最高に面白かった。舞台をフランスに移した事で物語に広がりが感じられたし、お得意の豆知識が前に出すぎず物語に良く馴染んで、とても効果的に使われていた。また歴史あるフランスという国の代表する食文化、フォアグラを物語の真ん中に持ってくる事で作品に重厚感が生まれ、その重厚感がこれまでの作品とは一線を隔した感がある。それから莉子が事件を解決して行く中で、異
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悪徳の都 上
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よっちゃん/最近、ぜひ読みたいと惹かれる新刊が出てこない。そうなると通勤電車で退屈をもてあますことになる。なにせ乗車時間片道1時間半なのだ。ひとそれぞれだが時間つぶしには最適なジャンルがある。いまさら携帯電話のゲームに夢中になる厚かましさはない。ゲームなら小説のゲーム。私にとってのそれは理屈抜きでスピード感を味わえる冒険活劇小説である。
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1999年から2000年にかけてスティーヴン・ハンターの『ブラックライト』『極大射程』『狩りのとき』『魔弾』。当時刊行するたびにベストセラーになったボブ・スワッガーシリーズがあって私も続けざまに楽しませていただいた。当時としては、これまでにはないスタイルのハードバイオレンスだという記憶が残る。ただシリーズものにつきもののマンネリ化で、度重なればいい加減にうんざりするのもでてくる。2001年、そんな
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血と骨 下
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★★★★★
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yukkiebeer/900ページ超の暴力を前にたじろぐ長編小説
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物語の端緒は1930年代。済州島から大阪へと渡り、蒲鉾工場で働く魁偉の金俊平は極道からも恐れられる猛悪な男だった。家族や親せき、複数の妾や在日同胞までを暴力によって支配し続けたこの男の壮絶な生涯を描く。上下巻合計で900ページ超の長編小説。感情のおもむくまま理屈の通らない乱暴狼藉を周囲にほとばしらせて生きる金俊平。梁石日の圧倒的な筆力が作り上げた怪人ですが、モデルにしたのは作者自身の父親とのこと。
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小さいおうち
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★★★★
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yukkiebeer/第143回 直木賞受賞作品
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昭和初年、東北から東京へと女中奉公に出たタキ。奉公先は赤い三角屋根の家に暮らす3人家族の平井家だった。やがて日本が戦争に呑み込まれていく中でタキが垣間見た、家族の日々を回想した物語。日中戦争時以降の平井家の暮らしぶりとしてこの小説の中で描かれる様子は、タキの手記を現在の目で見る甥の息子・健史が訝るように、戦争を知らない世代にとっては日本史の教科書でわずかな紙幅で記される戦闘・戦場の様子とは縁づいて
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告白
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★★★★★
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yukkiebeer/「文筆の荒法師」が描く怒涛の840ページ!朝日新聞 ゼロ年代の50冊第3位
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江戸末期に河内に生まれた城戸熊太郎は子どもの頃からあふれるような思考と口に出す言葉とが合一することのないことに思い悩みながら育った。長じて博打に興じるばかりの生活を送るようになるが、明治26年、妻お縫が男と通じたことをきっかけに、舎弟の弥五郎とともにその男の一族郎党10人を次々と殺害するに至る。「河内十人斬り」に歌われた史実をもとに描く840ページの大長編小説。町田康に付された「文筆の荒法師」とい
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クルンバーの謎
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SlowBird/ロンドン、エジプト、アフガニスタン
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コナン・ドイル作品集の第3巻は、東洋を題材にした怪奇小説を集めている。なんか、東洋から来る人は不思議だと思われていたらしい。2編はエジプトのミイラに関するもの。それからアフガニスタンに近いインド。最も長い「クルンバーの謎」もインドの仏教僧に関わる話。「血と石の秘儀」だけが、ウェールズ奥地の秘儀の恐怖となっている。細かいことは抜きにして、とにかくアジアには古代からの秘められた叡智が息づいていて、ヨー
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悪夢のエレベーター
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★★★★
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みす・れもん/頭を柔らかくしたいときに素直に楽しめるコメディサスペンス
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難しい本に疲れたときにはこういう本が読みたくなる。馬鹿馬鹿しくて、しょーもないけれど、何故か一気に読んでしまう小説。設定自体にリアリティはない。それは確か。でも、テンポがいいんだな。著者は脚本家でもあるとのことだけれど、そうだな、コミカルな舞台を見ている感じ。内容はコミカルどころではないんだけど(苦笑)。いくつかの視点で描かれる物語。1つめはバーテンダーの小川順の視点。職場の飲み会で酔いつぶれた女
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卒業
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★★★
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みす・れもん/みんな何から「卒業」したのだろう
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2度目の読了。もちろん犯人は覚えている。しかしトリックについては全く記憶になかった。特に2つめの変死事件。これについては茶道の儀式である「雪月花之式」というものが絡んでおり、これがまたカードトリックのように複雑なのだ。ノート片手にミステリを読む気にはなれなかったので、このトリックの解読は探偵役である加賀恭一郎氏にお任せした。そう、このミステリは今をときめく加賀恭一郎刑事の初登場作品なのである。彼が
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螺旋
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★★★★★
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みーちゃん/六本指の人間て、最近の小説によくでてきますが、実際のところ、どうなんでしょう? で、この探索行、かなりドジな男の行動で笑えます。深いお話なのに楽しい、これは珍しいことです。小説好きにはお薦めの一冊。
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書店で見かけて気になって仕方のない本でした。理由は二つ。一つはタイトルです。私、「螺旋」という字に弱いんです。もう見ただけで目の前に渦が迫ってきます。螺旋、で小説といえば、加納朋子の『螺旋階段のアリス』、清水義範『二重螺旋のミレニアム』であり、安東能明の『螺旋宮』でもあるんですが、私にとって気になるのは海堂尊『螺旋迷宮』でしょうか、未読なんです。そういえば椎名誠の『ドス・アギラス号の冒険』に登場す
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向田邦子全集 9
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★★★★
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みーちゃん/ほとんどが共感できるのですが、テレビドラマの脚本と、詩人のイメージには納得できません。趣味の問題で★一つ減じました。ま、そんなことしなくてもいいんですが・・・
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何故か、というより著者の死により読む機会を失っていた向田邦子の作品ですが、新装なった全集で直実に読み続けてきました。今回はなかなか素敵なサブタイトル「夜中の薔薇」がついています。もうこれだけで、中井英夫の名前が脳裏を過ぎり、さぞかし耽美的な、男と女の恋愛がテーマとなった内容だと思い込んだのですが、開けてびっくり玉手箱。なんとタイトルは、「童は見たり野中の薔薇」を「童は見たり夜中の薔薇」だと思い込ん
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マドンナ・ヴェルデ
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★★★★★
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みーちゃん/日本での代理母の扱いって、実際どうなっているのか、マスコミは芸能人が絡んだときだけ報道するので、その後が分かりません。でも、分かるんです、産みの親の存在の重さ。種の問題じゃあない・・・
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娘たちに、どう、読む?と確認すると、必ず「読む!」と返事が来る作家が何人かいます。村上春樹、小川洋子、椎名誠、西尾維新、宮部みゆき、伊坂幸太郎、桜庭一樹、そして海堂尊。海堂については、近々、彼の既刊を全て読み終わると思いますが、それほどに評判がいいわけです。ただし、これは娘二人にも言えることですが、あ、この人はあの小説に出てきた、と前後の関係がすぐにわかることは稀です。それは、海堂が東城大・帝華大
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堂場警部補の挑戦
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★★★★
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みーちゃん/タイトルだけみれば、なんとなく堂場瞬一を思い出すんですね。ドーバーは思い浮かばなかった。時代は変わった、っていうか。それと、私、倒叙ものだと、犯人に感情移入しちゃうんで苛ついて楽しくない・・・
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もうしわけありません、このカバー、読み解けません。まず中央上の楕円のなかのものがなんだか分かりません。犬?猫?それとも気持ちの悪いもの?眼を近づけると粒子ばかり目立ってなんだか分かりません。遠目だと、やっぱり分からない。それとです、カバー中央に少し明るい緑色で描かれている文字というか数字はなんでしょう。24?それとも4?数字じゃない?降参です、装幀の岩郷重力+WONDERWORKZ。さん・・・それ
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乾隆帝の幻玉
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★★★★
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みーちゃん/乾隆帝、っていうのがいいかな、なんて思います。でも、お話のほうは少しも楽しくない。夢のあるお宝冒険譚だと思っていたら、ただただ人間の欲望が渦巻くだけの世界。しかも、船戸与一作品にみる突き放したところもない、なんとなく中途半端な悲劇譚。ま、中国らしいっちゃあ、らしいんですけど・・・
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タイトルを見ただけで面白そうだ、と思った本がこれ。ただし、あまり騒がれた様子がありません。やはり著者が日本人ではない、というのが足を引っ張ったのでしょうか。そういう意味で深津真也の絵は、いかにも中国の骨董を扱った小説にふさわしいものですが、全体の雰囲気は野暮ったいといっていいかもしれません。私などは好きなのですが、一般受けするデザインかどうか。コミックスに似合うような気がします。装幀は中央公論新社
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いかずち切り
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★★★
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みーちゃん/結局、ヤクザ礼賛ですか。ま、ここまで旧弊なことを讃えるっていうのも一つの見識ではあるんでしょう。そう考える日本人も、かなりいます。特に、夫婦別姓反対、子無きは家を去れ、女は家庭に入っていればいいんだ、まるでイスラム原理主義者、いや自民党支持者? そういう人にはお薦め、でも普通の人には薦めません、またかの一冊、残念無念・・・
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一時期は夢中になって読んでいたのに、あるときを境にほとんど読まなくなってしまった作家が何人かいます。逆に、今まで敬遠していたのに、ある作品をきっかけにのめり込む作家もいて、バランスはそれなりに取れてはいるのでしょうが、何かひっかかる。だから、そうして縁遠くなった作家の新作が素敵な装丁で出たりすると、気になって仕方がなくてついつい手を差しのべたりしてしまいます。この本もそうした一冊で、野中深雪の装丁
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通勤電車でよむ詩集
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★★★★
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月乃春水/通勤電車で詩情(ポエジー)補充。41篇の詩のアンソロジー。解説と詩人略歴がうれしい。
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「次の駅までもう一篇。足りないのは、詩情(ポエジー)だった」という帯文に惹きつけられました。41篇の古今東西の名詩が、「朝の電車」「昼の電車」「夜の電車」と3章に分かれて並んでいます。◇朝の電車うたをうたうときまど・みちおフェルナンデス石原吉郎イタカコンスタンディノス・ペトルゥ・カヴァフィス少女と雨中原中也緑豊原清明胸の泉に塔和子宇宙を隠す野良犬村上昭夫森の奥ジュール・シュペルヴィエルいつ立ち去っ
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自分だけの一冊
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★★★★★
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月乃春水/読むのみならず、編む愉しさを伝授する特別講義。そこで編んでみました『マイ・アンソロジー』。選ぶおもしろさを実感!
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直木賞受賞の人気作家にしてアンソロジーの名手、高校の国語教師の経験もある北村薫さんが2009年に新宿の朝日カルチャーセンターで行った『アンソロジーの楽しみ』講座を完全再録したものです。アンソロジーとは、ある意図のもとに集められた作品集。この講座の中でも、北村さんは「アンソロジーはも選者の個性を読むもの」(P164)、≪なるほど、こんに作品があるのか≫あるいは、≪こんな配列があるのか≫と膝を打つのが
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ズルい言葉
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★★★
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月乃春水/ついつい使いがちな「ズルい言葉」。「え?」な気分の採集標本。あなたはどう思う?
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ついいつい使いがちな責任逃れ語、曖昧語、紋切り語がずらりと45個。『広告』『料理通信』『ランティエ』と、それぞれ違うジャンルの雑誌に掲載された、酒井順子さんによる言葉に関するエッセイ集です(掲載順はシャッフルされています)。暑いあとは若い人にある意味いまどこ?ウチおいしいオーラおかわりいかが?お砂糖、いくつ?お薦めは?おバカ会費はいくら?蟹食べてると……嫌いじゃないごちそうさまでしたご予算は?コラ
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イソップのお話
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★★★★
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kumataro/人を信じない。
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イソップのお話河野与一編訳岩波少年文庫短文の寓話(ぐうわ、たとえ話)が300ページ続きます。いっきに読むのはつらい。ひとつひとつの教訓めいたお話は、本来もっと長いのでしょう。要点が記されている本と解釈しました。登場するのは、動物、神さま、人間で、動植物については擬人化されています。オオカミ、キツネ、子ヒツジ、ライオン、犬などがよく出てきます。16ページにある肉棒をくわえた犬が橋の上から川面を見てい
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車谷長吉全集 第2巻
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★★★★★
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あまでうす/「魂の料理人」は、今日もおのれの臓物を原稿用紙になすりつける
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車谷長吉は独断と偏見の人である。「女性の存在理由は男に向かって股を開くことにしかない」と言いきってはばからない。車谷長吉はど阿呆の人である。大概の作家や評論家は自分がそうとうの叡智の人であるとうぬぼれているから、それがおのずと文章や人となりに出てきて嫌みであるが、この人には珍しくそれがないから、あれほど突き抜けた文になるのである。車谷長吉は厭世の人である。生まれながらの蓄膿症の苦しみに耐えながらこ
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現代人は救われ得るか
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★★
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あまでうす/「けして」「けして」と連発するのは、あまり趣味が良いとは言えませんね。
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著者は私のように粗放な脳味噌の持ち主と違って、おそらく非常に頭のいい人なのでしょう。華麗なレトリックを凝らした超絶的美文と該博な知識と教養を、これでもか、これでもか、とみせびらかすように駆使して、それでなくとも分かりにくい論旨を頭の悪い読者のために懇切丁寧に噛み砕くのではなく、もっともっと難解にして、さあどうだ。これでも食らえ。と投げてよこします。―江藤淳と江國香織を対置した時、江國の方がはるかに
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制服捜査
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★★★★★
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yjisan/『踊る大捜査線』より深い闇
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道警不祥事をめぐる一斉配置転換のあおりで、強行犯係の捜査員から一転、単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の川久保。一見すると平和で健全な田舎町で起こる微かな異変に、彼の元刑事としての勘が反応した・・・「犯罪発生率、管内最低」の実態は、「犯罪が発生しない」ということではなく、「犯罪が表沙汰にならない」ということだったのだ!川久保は制服警官という立場から、独自の「捜査」(本来は権限外)に乗り出す・・・・
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空飛ぶタイヤ
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★★★★★
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ぶにゃ/とにかく、面白い!
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2002年1月、横浜市内で走行中の大型トレーラーの左前輪が脱落し、歩道を歩いていた母子3人を直撃するという事故があった。この事故で29歳の母親が死亡し、子供2人が怪我をした。三菱自動車による所謂リコール隠しの一線上に起こった事故である。2010年3月、道路運送車両法違反の罪で、最高裁は三菱自動車側の上告を棄却した。また、業務上過失致死傷罪について、一審二審ともに有罪判決を受けた三菱側が、現在上告中
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ゆんでめて
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★★★★★
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萬寿生/ほのぼのとしたゆったりした気分で読める
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五つの短編が年の逆順に書かれている。それが今回の趣向であるが、その仕掛けは全編を読んでのお楽しみ。今回はいままでのお馴染みの他にも新しい妖怪や人物がいろいろ登場する。彼らに絡んで不思議な事件が起こり、それを前回よりも何歳か成長した主人公の病弱若旦那が周囲の協力を得て解決していく。基本的にはこれまでと変らぬ話の流れである。一方情況設定は、花見あり、大雨あり、火事ありと変化にとんでいる。気の優しいちょ
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黒い森
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★★★★★
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mayumi/本の構造はユニークだけど、むしろそれで損している気がします
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前からも後ろからも読めるという本。真中に袋とじがついてます。恋人から「ミステリーツアーの目的地で待っている」というメールをもらって、樹海にはいった主人公。ツアー客は、一人一人と消えて行く。「樹海伝説―騙しの森へ」のスピンオフともいえるだろう。樹海の怖さとか、他人への不信が招く恐怖とか、面白いんだけど、袋とじでなんか興ざめした。切るのが面倒だし、第一綺麗に切れない。せっかくの本が痛んだ感じがして、そ
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虚栄の肖像
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★★★★★
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mayumi/大人になったがゆえに過去の恋の切なさが、胸にせまる
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花師で絵画修復師の佐月の物語。*虚栄の肖像*葡萄と乳房*秘画師異聞かつての恋人の出現で、佐月の過去が垣間見えるのだが、それは、彼と彼の父親との確執の物語を示していて…でも、それが語られることはもうない。北森氏の急逝を悼むばかりだ。花も、絵も儚い。佐月は、それらにかりそめの命を与えている。かりそめしか、与えられない。だから、恋人は彼にあのような形でしか思いを届けられなかったのかもしれない。それは大人
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日高敏隆の口説き文句
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★★★★★
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銀の皿/男も口説く、女も口説く、猫も口説く。さわやかに、口説く。
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追悼文集なのだが、なんというタイトルなのだろう。しかし読んでいくと「なるほどね」と人柄を髣髴とさせるタイトルだったことがわかってくる。不思議に軽やかで明るい追悼文集である。2009年に亡くなった、この日本の動物行動学の先駆者に言葉を寄せた知己は学者ばかりでなく、翻訳家、画家、演奏家、政治家、僧侶と多彩である。表紙は、東京時代御近所だったという安野光雅さんの絵。「子ども時代はこうだったかも」と思わせ
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乳と卵
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★★★★★
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夏の雨/服は脱げても体は脱げない
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体とはまことに困難なものです。ここで体というのは、心と対峙するものとしていいたいわけで、風邪をひいて熱がでたらどんなに心が急いていてもやはり休むしかない、そのようなものとしてとらえてみたい。しかも、それが男の体、女の体ということにでもなれば、どんなに社会的な性差を云々したとしても、やはり男には女の体のことがわからず、女には男の体のいったい何がわかるといえるでしょう。理解はできるでしょう。ただ、理解
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白鯨 上
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★★★★
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ソネアキラ/鯨をめぐる冒険
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名訳の誉れ高い千石英世訳『白鯨』。上巻300ページになってやっと、あのエイハブ船長が出てくる。まさしく異形のもの。『白鯨』というと、エイハブ船長vsモービィ・ディックの対決ってイメージが強いが、どっこい人間と鯨の関わりを多角的に考察していて、ストーリーよりもそちらの方が、読んでいて強くひかれる。それまでは、鯨の文化史やその当時(日本に黒船が来航したあたり)の港町や国籍・人種の異なる船乗りなどが重層
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聖者の行進
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★★★
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みなとかずあき/伊集院大介でなくても、クリスマスでなくても、何かもう少し設定を考えられたようにも思うのだけれど
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伊集院大介シリーズの1冊。「名探偵に届いた死の贈り物」と謳われているが、この話の主人公は『水曜日のジゴロ』に続き伊集院大介シリーズ3回目の登場となる藤島樹としか思えない。前々作『真夜中のユニコーン』では副題に「伊集院大介の休日」となっていたので、本人がほとんど登場しなくても仕方ないかと納得させた。前作『身も心も』の場合は八代俊一シリーズの1冊ということにして、「風俗小説」だと割り切ることにした。で
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神君の遺品
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★★★★
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ドン・キホーテ/目付という要職を利用した徳川家の秘密探し
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上田秀人の描く江戸時代の剣豪小説と将軍の血統を探る幕府の暗闘を描く歴史小説を兼ねたものである。これは2巻の比較的短い部類に入る。主人公は六百石の旗本、鷹垣隼人正(たかがきはやとのしょう)である。突然要職である目付に抜擢されるところから始まる。今回の将軍は生類憐みの令で悪名高い、徳川五代将軍綱吉が登場する。徳川幕府の将軍は家康、秀忠、家光、家綱、綱吉と将軍位が継承されている。継承の条件が長子相続であ
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思い出したくもない人生最悪の96時間
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★★★
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くまくま/フリーライターが巻き込まれる世界的陰謀
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2020年2月14日。音信不通になった弟、明雄の自宅を訪ねたフリーライターの清水シュンジは、射殺体となった弟との再会を果たす。重要参考人として警察の取調べを受け解放された清水のもとに、弟の婚約者を名乗る美女、榊玲子が現れる。彼女からの情報を基に、自分にかけられた疑いを晴らすため、弟の勤めていた会社を訪ねた清水は、再び殺人事件に巻き込まれてしまう。自分が取材中の海上保安庁による臨検中の銃の暴発事故、
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シャティーラの四時間
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★★★★★
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わたなべ/文学によって結晶化された死
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待望の一冊。表題作は1982年九月に起こった西ベイルートのパレスチナキャンプ襲撃虐殺事件に、十年ぶりでレバノンを訪れていたジュネがその知らせを聞いてすぐに駆けつけ(事件の三日後)、四時間の滞在の後パリに帰還、十月一杯をかけて執筆され、翌年一月に「パレスチナ研究誌」に掲載されたルポタージュ。晩年のジュネのルポタージュ全般に共通する、愛と希望と、静かな観察眼と洞察に満ちたきわめて美しいエッセーで、まる
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やすらい花
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★★★★
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わたなべ/持続について
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あいかわらず緩やかに連関した短篇を集めて一冊にしたもので、こういうスタイルは仮往生伝試文から白髪の唄で一時期峠をなして以降の連鎖的な短篇創作とでもいった感じでここ数年持続しているのだが、そもそも作家生活の初期の頃から一貫したモチーフ、たとえば空襲のなかでの群れ、あるいは群れの中での人間と性、そもそも群れとしての男性と女性であるとか、土地の根から外れた男女の新世帯を現代の創世神話のように描くそれ自体
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死者の軍隊の将軍
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★★★★★
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わたなべ/骨まで愛して
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これは傑作だった。カダレは以前いくつか読んで、アルカイックな壮麗さはあるがまあ朴訥とした真面目な作家、というイメージがあったのだが、この長篇は、たしかに素朴な味わいはあるにしても、まったく違った「軽さのエレガンス」の感じられる作風で、非常に楽しんで読めた。物語はいたってシンプル。戦争が済んで20年ほど絶った後に、自国の兵士の遺骨を収集しにきた「将軍」が、「司祭」やアルバニア人の「技師」、また「将軍
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ベイビィ、ワンモアタイム
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★★★★★
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わたなべ/人間の終った後に
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作者は新潮社の女のための官能小説R-18新人賞でデビューした人で、デビュー作も面白かったが、処女長篇となるこの本はさらにシビアな傑作だった。いわゆる「女子アナ」に憧れて上京したが夢果たせず派遣社員になっている二十代後半のヒロインが、日常の不満を芸能人に成り済ました偽ブログを書くことで紛らわしていたのだが、新たな恋人(バンドをやっていて食べ吐きする癖あり)、昔の友人(結婚前の妊婦)などと出会い、再会
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現代インド文学選集 4〈カンナダ〉
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★★★★
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わたなべ/ゆるやかな〈小説の誕生〉
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インド・カンナダ語作家の長編小説。マレナードというのはインド南西部のアラビア海寄りに南北650キロを走る急峻な山岳地帯のことで、雨が多く豊富な動植物とともに森林が人々と共生している。というわけで、その森と密接に関わる村を舞台に、一応の語り手となる主人公が出会う様々なエピソードが最初は緩やかに連関しつつ数珠つなぎになって展開していく、途中から生物学者の偉い先生やその助手で蜜蜂屋の若者、森の案内人など
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古書往來
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★★★★★
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つぶて/古本を買って二度驚く
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先日、由良君美『みみずく偏書記』を新古書店で見つけた際、そのカバー画をどこかで見たような気がしていた。わりと近い記憶のはずだが、思い出せなかった。それから持ち帰った『みみずく偏書記』をつまみ読みしているうちに、古書の本が無性に読みたくなって、半年前に買って積んであった本書をなにげなく開いていると、そこに、『みみずく偏書記』の書影を発見。いそいで「四方田犬彦「先生とわたし」を読む」の一編を読んでみた
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お嬢さん
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★★★★
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きゃべつちょうちょ/ほのぼのしたユーモアのエンタメ系
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不思議な本である。かなり強引なストーリー展開に古めかしさ満載のせりふや描写。それでも、ひっぱる、ひっぱる。三島由紀夫の本にしては、異例の速さで読んでしまった。「健全で幸福な家庭」のお嬢さまであるかすみは、ふとしたことをきっかけに、父親の部下である沢井に心を惹かれる。その惹かれる理由というのが、なんともお嬢さまらしすぎて、笑ってしまう。そしてトントン拍子に、かすみは沢井と結婚するが・・・。話がぐっと
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ゲート 1
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★★★★★
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にい/強いぞ自衛隊
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ファンタジー世界の設定はオーソドックスだが、自衛隊の描写が細かく面白い結構殺伐とした部分もありますが、全体的に軽いノリで読みやすいですヲタク主人公というわりに、そっち方面の描写はそれほど濃くはなく、話の導入と要所要所のつなぎ程度姫様の腐女子化はさすがにちょっと強引な展開かな
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終わらざる夏 下
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としりん/終戦そして、ソ連軍の占守島侵攻へ
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昭和20年8月、終戦間際にソ連軍は満洲、南樺太への侵攻を開始し、各地で略奪、婦女子暴行、シベリア強制連行など、非道のかぎりを尽くした。そして、それは日本がポツダム宣言受諾を決定した8月15日を過ぎても継続された。一方、8月17日深夜、千島列島最北端の占守島で、ソ連軍による新たな侵略が始まった。本書中、登場人物に語らせているとおり、日本の降伏後も止まらなかった戦闘と、降伏後に新たに始められた戦闘とで
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戸村飯店青春100連発
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★★★★
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YO-SHI/兄ちゃんガンバレ!読み終わってそんな声をかけたくなった。
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アンソロジー作品の「Re-bornはじまりの一歩」に収録されていた「ゴーストライター」という作品が本書の第1章となっている。この本は、ホントに面白かったし楽しめた。おまけに少し泣ける。「ゴーストライター」を読んだときには、「Re-born」は再生や再出発の意味だと考えて、高校生の主人公コウスケの淡い失恋と、兄との関係の再認識を描いたものだと思っていた。しかし著者は、続く5章を書き下ろして、もっと味
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マークスの山 下
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★★★★
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YO-SHI/改稿を重ねて更に研ぎ澄まされた直木賞受賞作
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「警察小説」というジャンルの作品。本書の主人公は合田雄一郎という刑事。警視庁捜査一課七係の警部補で33才。上を見れば何階級もあるし、横を見れば同じ課の中でも、いや係の中でもライバルとしのぎを削る。まぁ大筋では協力する方向で一致しているのだけれど、外に漏れたら捜査の支障になる情報は、警察内部でも公にはできないこともある(らしい)。さらに検察という組織は、警察とは利害が一致するとは限らず、これも本書の
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文章の品格
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想井兼人/急がばまわれ
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本書は『NHK知るを楽しむ日本語なるほど塾』の「リンボウ先生の手取り足取り書き方教室」を加筆、編集して単行本化したものです。ただ、「書き方教室」とありますが、文章の技術論に重きを置いていないところが本書の魅力です。筆者は、文章の基本は「日ごろの話し言葉」にあると言います。だからこそ、日々の話し言葉を洗練することが、文章の上達に繋がると主張しました。そして、洗練法として「離見の見」という考えを紹介し
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年齢は財産
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★★★★★
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CAM/「年齢は財産」とも思えないが・・・
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自分などは人生において愚かな失敗ばかりを繰り返してきたし、安心立命というような境地とは遠い後悔の多い毎日を送っているから、「年齢は財産」などという考えには必ずしも同感できない。「年齢を重ねるということは、すばらしいこと」とも思えない。自分も含めて、老人の醜さを感じることの方が多い。しかるに、本書は「年齢は財産」というテーマの下にまとめられたものであるから、私のような愚かな老人とは異なる境地に達した
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人の心をひらく技術
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★★★★
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セカンド・プラン レジェンド/「原点」を求める誠実さ
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誰かの夢を叶えることができる、自分が話しをすることによって、その人の夢が実現できるとするならば、惜しみなく自分を伝えよと思うのはなぜだろう。そこにはビジネスや打算といった二次的な学習された動機は何もない。もしかしたら、第三の本能なのかもしれない。これこそが人間である証明と言えるもの、それは。著者が相手に感じさせるものは、この揺るぎ無き思いだ。だからこそ、心と心が共感し、言葉を尽くして伝えようとする
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ブレーン・ハッカー
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★★★
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セカンド・プラン エトセトラ/人は1日に3万回以上考える
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人の頭の中のさまざまなネットワークを流れる、電気科学的エネルギーの爆発を3万回起こしていると本書にある。とするなら感電しないのが不思議だ。何を思考の単位とするかは別にしても、何も考えずにいられることは、たしかに無い。問題は「なぜ」そのテーマについて考えているかである。著者は言う「あなたは、生まれつき悲観的にできている。否定的に考える人々の子孫だからだ」と。人類が発祥して現在までの生存競争に勝ち残っ
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経済成長なき社会発展は可能か?
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★★★★
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kc1027/成長というか神なき時代に神話を語れるか?
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無神論と同じような、無成長。それを語ることは永遠に続くニヒリズムとの闘いのよう。停滞する中世の果てに人間を再発見し、自ら人間を再復興したヨーロッパ人が、近代の果てに見出すものとは何なのか。人間にとっての社会発展とは何なのか。いま世界中で新しい声が響き始めている予兆がある。本書もそんな一冊。本書に出てきて驚いた言葉がある。それは、「近代の超克」という言葉。真珠湾攻撃に知的戦慄を覚えた戦中日本の知識人
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渋沢栄一の「論語講義」
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★★★★★
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和田浦海岸/「論語」の名演奏を聴いた。そんな味わいの読後感。
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近頃、魅力の新書を読みました。それを紹介しようと思うのですが、さて、どうはじめたらよいのやら、楽しい悩みを味わっております。まずは、こんなはじまりを思いつきました。「論語」というと、読みたいけれども、歯がたたない古典。下手に解説書をひらけば、チンプンカンプン。そんな霞みがかかったような、なんとも、手を出しにくいというイメージが、私にはあります。それが、この新書を読んで、めでたく解消。古典というより
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変われる国・日本へ
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★★★
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Kana/技術にかたよらないイノベーションの本だが,やや発散的
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著者は技術にかたよらないイノベーションの必要性をうったえている.さまざまなイノベーションについて書いている本というと,ドラッカーをおもいだす.だが,この本はイノベーションを分析するよりは,それに関連する日本や世界のさまざまな話題をならべて,読者にかんがえさせようとしている.内容は「イノベーション」ということばでまとめられてはいるものの,いささか発散的であり,ちょっと印象にのこりにくい.
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世界にひとつしかない「黄金の人生設計」
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★★★★
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rindajones/この国でサバイブする道具としての経済的独立
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胡散臭いタイトルで、この著者ではなかったら今までは無視してきた。先日読んだ「臆病者のための株入門」で著者のことが分かり、前向きに読んだ。第一部不動産は人生にとって本当に必要か?簡単には「持ち家と賃貸はどっちが得か?」ということ。「家を持つ」という満足度やステータスは抜きに、不動産の値段の決まり方や、不思議な不動産市場の実態を明らかにしながら、緻密で明快な説明に納得する。第二部6歳の子どもでも分かる
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ケインズ説得論集
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★★★★★
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萬寿生/政治家に全員にこの本を読んでもらいたい
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第一次世界大戦後の1919年から1931年にかけての不況の時代に、イギリスの新聞や雑誌に掲載された時評を主とした論文集である。原『説得論集』には1931年刊行時点で読者の関心が高かったものが収録されているそうだが、この翻訳では、現時点の日本の経済状態において興味深い論文15が取捨選択されている。「インフレーションとデフレーション」6編、「自由放任の終わり」、「孫の世代の経済的可能性」、「繁栄への道
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第3次中国特許法改正の実務
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★★★
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たけくん/中国が熱いね~。中国専利法 第3次改正の解説書! 日中の国交状態が早期に回復されることを望みます!
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昨年改正された中国専利法の改正ポイントについて、事務上の観点から詳しく解説。改正内容を22のテーマに分けでそれぞれを細かく解説しているため、どのテーマから読んでも良く、巻末には新旧対比表も掲載。中国への進出を考える企業の知財担当者にはお奨めの参考書となるであろう。
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迷惑メールは誰が出す?
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★★★
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ふるふる/迷惑メールは社会の大迷惑
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数年前、利用していたプロバイダーからメールのアカウントの設定の変更の通知が来た。smtpをsmtp-authにするものだ。その時には上手くいったのだが、その後に再設定をしたときにはどうしてもうまくいかず、-authをはずしてあれこれやって何とか設定できた。いったい何のための設定の変更だったのかとずっと疑問だったが、この本を読んではじめて解った。通常、メールは受信の時にはパスワードで認証をしているが
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電子書籍の真実
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★★★
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Kana/電子書籍は紙の書籍の革新なのか,それとも革命が必要なのか?!
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アメリカでは電子書籍が爆発的に売れるようになっているのに,日本ではまだないにひとしい.それは日本がおくれているからというよりは,アメリカと日本との出版,流通などのちがいからきていることをこの本はあきらかにしている.携帯電話の存在もちがいのひとつだが,フォーマットの問題があること,つまり日本では重要な組み版ルールがまだ国際標準であるePubにははいっていないこと,外字や異体字の問題など,日本固有の問
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私にはもう出版社はいらない
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★★★★
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Kana/売り上げののばしかたにはくわしいが,編集についてはよわい
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通常の出版社をとおさずにオンデマンド出版の本をアマゾンで売ってきた著者が売り上げをのばす方法について書いている.本の表紙のつくりかたやそれをどういうかたちでアマゾンにのせるか,「なか見!検索」をするべきかどうかなど,非常にこまかい(とみえる)点が多々とりあげられている.内容は売り上げをどうのばすかという点にかたよっているという印象をうける.編集者の手をへずに出版するのだから,それにかわる方法論がも
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ルポ電子書籍大国アメリカ
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★★★
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Kana/アメリカの電子本とそこからみた日本
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著者のアメリカでの経験をもとに日本の本の将来についても語っている.電子書籍に関する本のなかには日本の出版社にひきずられたものも多いが,そこから距離をおいたこの本からしかえられないものもあるだろう.
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電子書籍元年
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★★★
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Kana/新鮮な情報は比較的かぎられている
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編集などに長年かかわってきたひとりの著者によるまとまった電子書籍論である.iPhone,iPad,Kindleなどについて,ひととおりのことが書いてある.しかし,著者がくわしいのは電子書籍より従来の書籍についてであり,そこにはいろいろ,おしえられる点があるが,電子書籍については新鮮な情報は比較的かぎられている.書籍になぞらえて電子書籍の収支をいろいろ計算しているが,書籍とおなじつくりになるのかどう
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ブックビジネス2.0
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★★★
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Kana/おなじみの著者であまり新鮮さがない
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電子書籍の本は最近,急にふえた.そのなかには著者がかさなっているものもすくなくない.この本もおなじみの著者陣であり,内容にあまり新鮮さがない.ただ,クリエイティブ・コモンズやウィキペディアがとりあげられているのは他の本にあまりないところだ.
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機械仕掛けの神
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★★★★
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読み人/ヘリコプター全史&総まとめ。
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空中に静止して浮かんでいられる、不思議な乗りもの(飛翔体)ヘリコプターについてのノンフィクションです。最初期のヘリコプターから、最新の事情まで、変遷から全史的なものも含めて、操縦方法、飛べる秘密、図解機構、その長所と短所、活躍、全部あつかっていてヘリについては、一通り網羅できます。よく子供の頃、友達と話していたのですが、ヘリコプターが下に空気を追いやって浮かんで飛んでいるのは、理解できるのですが、
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虫眼とアニ眼
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★★★★★
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くにたち蟄居日記/物事を見続ける眼
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この対談集は一言で言うと年をとっても子供のままのお二人の放談集のようなものかもしれない。この放談の中で二人が一番一致しているのは「人間は人間しか見ていない事が問題である」という点だ。これに関しては宮崎は自身の山小屋での生活を上げ、養老は虫取りから説明している。お互いに別々の素材から上記命題を汲み上げている点が興味深かった。経済学にしても経営学にしても心理学にしても生物学にしても医学にしても芸術にし
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磯崎新の「都庁」
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★★★★
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オクー/相手は「天皇」丹下健三、磯崎新は出来レースにどう挑むのか?
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これは、戦後日本最大ともいわれた東京都庁の建築コンペを題材にしたノンフィクションである。実はこのコンペ、それまでの経緯を見ても、審査員の顔ぶれを見ても、「天皇」丹下健三の事務所が圧倒的に有利で当時は「出来レース」とさえいわれていたそうだ。「ぶっちぎりで勝とう!」と連呼する丹下。それに立ち向かうのが全9社のうち唯一の弱小事務所、磯崎アトリエの磯崎新だ。丹下対磯崎、著者平松剛がなぜこの2人の対決に注目
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イラスト図説「あっ!」と驚く動物の子育て
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★★★★
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Skywriter/生物の面白さと美しさは、子育てのシーンでこそ発揮されるのかもしれない。そう思わせてくれる良書。
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生物が生きる目的は、子孫を残すためである。それゆえ、子孫を残すための様々な手段が編み出されてきた。表紙にあるエンペラーペンギンは、厳冬の南極で生まれ、子育てをして、死んでいく。しかも、何を考えたか、その繁殖地は餌場から50キロほども離れたところだという。ヨチヨチ歩きで50キロを歩こうとすると、当然物凄い時間がかかる。そのため、卵を産み終わったメスが食事に行く間、なんとオスは120日間もの間、飲まず
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誰も書けなかった国会議員の話
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★★★★
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みす・れもん/政治の入門書としては最適ではないだろうか
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私は、地方公務員として地方議員に振り回される職員を間近に見ている。公務員の給与減額は簡単に決まるが、議員定数や議員給与の見直しについては問題視されながらもなかなか決まらないことにも不信感を抱いている。そして、勉強不足な議員のなんと多いことか。これで高額な給与を受け取っているとは・・・。そう思っていた。しかし、著者のように無所属議員として当選し、自分の力でスタッフを雇い、資料を集め、立法府に所属する
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ヘンな感じの日本人
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★★★★
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ふるふる/ほとんどヨーロッパ人になりかけの日本人による日本人論
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個人の体験を基に書かれた50ほどのエッセイ。さわやかな内容だ。印象に残ったものとしては、現地の言葉が話せなかった留学生が孤立したまま日本に帰国し、後に自殺してしまった話だ。絵の勉強だから、少々言葉が話せなくても何とかなると考えたようだが、観光ならともかく留学となると現地の言葉が話せないとなかなか難しいようだ。また、ベルギー国内の民族対立もフランス語しか話せないその留学生には不幸だったのかもしれない
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日本の難点
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★★★★
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くにたち蟄居日記/「社会」を強化していくということ
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読後感は三点である。一点目。著者は「社会の強化」を主張していると読んだ。「社会」という言葉は案外難しい。「社会人」であるとか「社会に出る」という言葉を使っているが、その「社会」とは「仕事」や「会社」を意味しているのだろうか?著者は「社会学者」であるが「社会学」が「仕事」や「会社」を研究するものではないだろう。では僕らにとって社会とは何なのかというと、中々答えられない。おそらく、その「答えられない」
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真の指導者とは
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★★★★
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kc1027/石原慎太郎という価値の機軸
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「真の指導者」を語るには、指導者に精通する必要がある。若くして世に出たときからすでに大衆を扇動する資質を備えていた石原氏の説く指導者論は、指導者のあるべき姿を超えて、善悪を超えたこの世界の姿、その中で生きていくとはどういうことなのかを喚起してやまない。読み込むうちに、氏の論に賛同する自分と忌避したくなる自分が交互に訪れてしまうような、まるで血判状を突きつけられているような異様な感覚がした。ある組織
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誰が誰に何を言ってるの?
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★★★★★
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良泉/みんな、滑稽に死に行くカエルなんだ
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水の中で気持ちよくうたた寝しているうちに、徐々に茹で上げられ死に行くカエルの例えを笑えない。知らぬ間に周囲を覆い囲む“何もの”かに気付かぬ自分がいる。当たり前のように見る風景に、「特別警戒実施中」「警察官立寄所」「私服警察官巡回中」などの看板・張り紙が入り込んでいても、いまや違和感を感じない。でも、よく考えればこんなもの昔はなかったはず。さらに考えれば、なぜこんな物があるのか不思議に思えてくるはず
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内訟録
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★★★★★
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塩津計/私には嫌いな政治家が沢山いる。一番嫌いな政治家は鳩山由紀夫(黒丸急下降中!笑)。次に嫌いな政治家が武村正義。三番目に大嫌いな政治家が本書の著者・細川護煕だ。最初に結論を言おう。本書を読んで武村正義のことは「ますます嫌いになった!」が、細川護煕のことは少し好きになった。見直した。
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失われた10年と揶揄される1990年代だが、日本社会では「よりよい社会を作る為の改革」は着実に進行している。なかでも最大の改革であり成果が政治制度改革であろう。政治制度改革とは戦後の日本を特徴づけた中選挙区制を廃して競争原理がより厳しく働く小選挙区制を導入し、政治に競争原理を導入し政治家に緊張感を持たせつつ、激変する国際環境に対応できるダイナミックな政権交代・政策変更が可能になるようにしたものであ
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いざ志願!おひとりさま自衛隊
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★★★★
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kako/いざ 志願!・・・しないですしできないです。
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自慢では無いですが虚弱です。一日外出すると体力が復活するまでに二日を要します。そんな私の生活に全く関わりのない自衛隊。。表紙はいま流行りの燃えぇ~な感じの女性がドドォーン!お値段1000円なだけある紙質に装丁で、普段ならあまり手に取る部類ではないですが、気になったのがこちらの著者。なんとびっくり普通の女性なのに27歳で予備自衛官補を受験なさっているのです。・・・ん?私が存じている自衛官にプラス予備
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日本人へ 国家と歴史篇
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★★★★
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YO-SHI/後から振り返って、「あぁ、そのとおりだった」と思う記事のなんと多いことか
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1ヶ月前に発行された「日本人へリーダー篇」の続編、というより上下巻の下巻といった方が的確だろう。「リーダー篇」が月刊誌「文藝春秋」の2003年6月号から2006年9月号までに掲載された著者のエッセイで、この「国家と歴史篇」はそれに続く2010年4月号までに掲載されたものだからだ。約4年前の2006年9月と10月を挟んで、それ以前と以後でこんなにも臨場感が違うものかと驚いた。前著に比べると本書は圧倒
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韓国のイメージ
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★★★★★
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オタク。/時代時代の韓国・朝鮮。
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大体昭和30年代以降の日本における韓国(北朝鮮について書かれた箇所も結構ある)について書かれた本。今読むとこんな人もいたな、こんな事が語られていたな、と思う箇所もある。この本には出てこないが、同じ著者の「在日の耐えられない軽さ」によると著者の父親は大正時代に日本で日本語の作品を発表した作家で、偶然だろうが著者と同じ東京都職員で裁判の判決を受けての発言で以前有名になった妹の存在が、この本に出て来る人
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朝鮮総督府・封印された証言
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★★★★
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オタク。/ちょっとがっかり。
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表題の「朝鮮総督府」と直接関係がない話が結構多い。父親が親日派だった韓国の国会議員や瀬島龍三元中佐に関する件は特にそうだ。この著者にとって「親日派」とは少なくとも昭和の戦時中においては親日行為をした人々の中で戦後北朝鮮を選んだ人々であるようだ。となると転向歴のある南労党関係者や越北人士は、その範疇に入るわけだ。132頁に紹介されている韓国の政治家や文化人、実業家達に割り注を入れた方が読者に対して親
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最後の授業
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★★★★★
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夏の雨/さらば先生
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私は、いわゆる団塊の世代の、弟、妹の世代にあたります。多くの若者たちの情熱の照射に頬を赤らめていた世代といえるでしょう。北山修氏がザ・フォーク・クルセダーズで「帰ってきたヨッパライ」を大ヒットさせた1967年、声変わりの始まった声でやはり大声で歌っていました。その後、作詞家となった北山氏が作った歌をどれだけ歌ったことでしょう。「戦争を知らない子供たち」「あの素晴らしい愛をもう一度」など、北山氏の作
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レンタルお姉さん
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★★★★
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みなとかずあき/ひきこもり者への対応の1つとして知っておくべき活動のことが書かれているが、不十分な記述も気になってしまう
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すでに多くの人が指摘していることなのであまり繰り返したくはないのだが、やはり言いたくなってしまうことにこの本のタイトルがある。ノンフィクションなので、NPO法人「ニュースタート事務局」が実際に呼んでいるとおりに表現するしかないとは思うのだが、「ひきこもり」や「ニート」に関心のない人たちにはいらぬ気持ちを刺激するかのような言葉だし、そのようなことに関心のある者でもこの本を読んでいる姿を誰かに見られる
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音のない記憶
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★★★★★
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つぶて/丹念な取材による力作
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黒岩比佐子さんのデビュー作である。ろうあのアマチュア・カメラマン井上孝治の生い立ちやその業績の数々が、彼を取り巻いていた多くの友人たちや彼を支えた家族への丹念な取材によって、じつに丁寧に描かれている。また、著者は、要所で井上孝治の写真のもつ特徴へとフォーカスを合わせ、その魅力を伝えることにも怠りはない。第九章、撮られてから三十数年ぶりにブリキ缶に入った「想い出の街」のネガが発見される顛末は、この本
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ニホン英語は世界で通じる
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★★★★★
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wildcat/英語をなぜ学ぶのかについて考えさせられる1冊
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本書は、世界には、それぞれの国の「なまり英語」があるのだから、コミュニケーションのためであれば、カタカナ発音でも、ちょっと端折った文法でも、日本人にあった英語が話せればいい、「ニホン英語」で行こう!と提唱する1冊だ。「ニホン英語」は、日本人が間違って話す英語ではなくて、これはれっきとした、世界に数ある「英語のなまり」のひとつなのだと著者は言う。英語では母音が十三もあるが、「ニホン英語」ではその半分
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膝のうえのともだち
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★★★★★
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ジーナフウガ/これぞ!猫文学。最高の写真集
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タイトルの素晴らしさに惹かれて手に取った本。沢山の猫写真に、随所に散りばめられた猫随筆、更に贅沢にも書き下ろし猫小説まで盛り込まれた、猫好きにとって堪らない内容の一冊になっております。登場してくる町田家の猫は合計で十三匹。それぞれの猫たちが実に猫らしく洗面所で寛いでいたり、セミの脱け殻を玩んだり、同居人町田さんのレコーディングしている傍らにジーッと寄り添っていたりで、町田さんの言葉を借りるならば、
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ブイヨンの気持ち。
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★★★★★
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真愛/満ちる愛。
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糸井さんの『ほぼ日』に掲載されていた愛犬との日常と書き下ろしエッセイ7本収録されているこの本。愛犬ブイヨン目線で書かれる短いコメントと写真に惹かれましたが読むに従い糸井さんとブイヨンの関係の深さを感じました。それは読んでいるこちらさえ愛おしさを教えてくれる程です。わたしも犬ではありませんがペットを飼っています。日々「この子は何を考えているのだろう」と思う事があります。糸井さんはブイちゃんの写真と共
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コスプレ
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★★★
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Kana/さまざまな社会的役割を演じるための制服について
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制服やナンチャッテ制服についての本であり,最近「コスプレ」ということばからうける印象とこの本の内容はかなりちがっている.しかし,スチュワーデスとかナースとか,学校の面接をうける子供の母とかの役割を演じるための服装としての制服の話であるから,アニメの登場人物を演じるための服装とそれほど差はないともいえるだろう.そういう意味ではやはり「コスプレ」の本なのだろう.
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粉のお菓子、果物のお菓子
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★★★★
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mikimaru/写真はよいが、本の構成として読みづらい
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堀井和子さんといえば、以前に読んだ本「朝ごはんの空気をみつけにいく」は、残念ながら書評を書くこともないまま、本棚に収納してしまった。一般的な食や暮らしのエッセイというよりは、著者をよくご存知のファン向けもしくは内面のつぶやき、といった印象を受けたためだ。わたしにはとくに何も響くものがなかった。だがお菓子やパンを愛する方々の中には堀井さんのファンも多いようで、その後も気になる存在ではあった。そこでま
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面白南極料理人
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★★★★★
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mikimaru/牛乳は南極に持ちこめるのか
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先日見た映画の「南極料理人」があまりにもツボにはまったので、読んでみることにした。映画ではあまり描かれなかった食材搬入の苦労(たとえば卵は持ちこめなかっただろうとか、牛乳はどうしたのか、葉物野菜は、などの疑問)が、準備段階の苦労としてかなりページを割いて描かれていたので、わたしにはそのあたりがもっとも読みごたえがあった。結論からいえば、卵は割った状態の加工卵、食材は業務用の冷凍食品なども開発されて
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ピッツァ
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★★★★★
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mikimaru/こんがりした焼き加減がたまらない
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丸いフォルムとシンプルな具材、パリッと焼けた生地。有名店のそんなピザが、次から次へとお目見えする本。材料とレシピは写真のあいまに記載されるが、ほとんど基本は同じなので、どれも簡素。巻末には、それぞれのお店で使っているソースや素材の作り方がまとめて書かれている。日本の宅配ピザのチラシで、イタリア人が受けるカルチャーショックは大きいそうだ。コーンが乗っていて驚いたという話も聞く。もともと日本にはアメリ
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デコ★ロール作っちゃお!
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佐々木 なおこ/てづくり感あふれるかわいいデコ★ロールケーキ!
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ロールケーキがここ数年ブームになってますねぇ。そしておいしいとうわさのロールケーキと言えば、大阪の堂島ロールかな!?お取り寄せまではと思っていたのが、地元デパートの地下食料品売り場で歩いていたところ、んんん?堂島ロールを発見!近くまで寄って行くと、なんと整理券を持っている人しか買えませんとプレートが立っていました。そんなこんなで、私が初めて堂島ロールを食べたのは、去年の暮れのこと。大阪四季劇場で「
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アラスカたんけん記
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★★★★★
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夏の雨/旅の途中
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手元にある星野道夫さんの年表をみると、この本のもとのなる作品が『月刊たくさんのふしぎ』(福音館書店)に発表されたのは1986年。星野道夫さんが34歳の時のことです。写真家星野道夫さんが一枚のアラスカの写真に魅かれて行ったこともない小さな村に手紙を書いたのは19歳でしたから、それから15年の歳月が流れています。この本のなかには、若い星野青年を虜にしたアラスカの写真と彼の訪問を受け入れるという小さな村
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おおきな木
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夏の雨/贈り物
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私たちは、生まれてから死ぬまでに、どれだけ「贈り物」をもらったりあげたりするのでしょうか。初めての「贈り物」は、お母さんの頬ずりかもしれません。お父さんのおっかなびっくりの握手かもしれません。それから、何度でもやってくる誕生日、小学校への入学式、初恋の人への片思い、結婚式、そして、子どもが生まれ、今度はあなたがたくさんの「贈り物」をする番に。還暦のお祝いだってあります。金婚式もあるかもしれません。
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はじめてのおつかい
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夏の雨/仕合せになりたかったら
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記憶というのはなんともあわあわとしていて、自分が子どもだった頃ともなればそのほとんどが形となってくれません。「おつかい」なんていうことも、きっとあったはずですが、とんと浮かんでこないのです。では、おとなになって子どもが生まれて、その子に「はじめてのおつかい」をさせたのはといわれても、なんともじれったいくらい覚えていません。恥ずかしい。昭和52年(1977年)に刊行された筒井頼子さん作、林明子さん絵
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くまとやまねこ
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kumataro/忘れたくても忘れられない人を忘れるために
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くまとやまねこ湯本香樹実(かずみ)文酒井駒子絵とある本の巻末にあった本の紹介コーナに「名作」とありました。読み終えて、やはり「名作」でした。絵本なので、短時間で何度も読み返すことができます。最初は絵だけを追いました。死んでしまった小鳥の前で、熊が途方に暮れています。次に文章を読みました。秀逸です。選び抜かれた言葉と高い水準の文章が続きます。何度もあるいは何年もかけて練りこまれた文章です。文章表現が
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蒼路の旅人
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mayumi/チャグムの成長の物語の底にあるのは相容れぬ父子の悲劇
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サンガル王国から、助けを求める書簡がくる。が、それはタルシュ帝国の罠だった。祖父を助けるため、チャグムは海に出て行く。相変わらずチャグムの父親、新ヨゴ皇帝にむかつきます。精霊の卵を宿したせいで、父に命を狙われたというその確執は結局のところ解決してないところが、なんとも切ない。でもって、皇太子でありながら、自分のことは自分でできる市井のもののことを理解しているチャグムが、それはそれで切ない。ものが見
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ロアルド・ダールコレクション 10
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くにたち蟄居日記/恐ろしい童話であること
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娘達が「これは面白いから読んで」というので直ぐにその場で読んだ。これは童話なのだろうがどう読んでもブラックな味わいに満ちている。初めのグランマの魔法の話はスティーブンキングの作品を思わせる怖さすら感じたし、その後の薬の効果の展開もどう読んでも恐ろしい。ましてや結末は児童に読ませる本としてこれで良いのかと思ってしまうくらいだ。但しここで再度考えなくてはならないのは娘達がこの話を面白がっている点にある
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おでんおんせんにいく
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月乃春水/いろいろなおでんが「温泉ランド」に大集合。どんな湯があるのかな…?おとなも子どももたのしめる、奥の深い傑作です!
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さつまあげさん(おとうさん)、たまごさん(おかあさん)、ばくだくん(ひとりむすこ)の家族がおんせんランドに行って出会う、たくさんの人(?)たち。読んでいるだけで、なんだかほくほくにあたたまるおはなし。ことば遊びもたのしい傑作です!連休におんせんランドにでも行こう、と提案したさつまあげさん。たまごさんも賛成、ばくだんくんは大喜び。「どうやっていくの?」「おでんしゃにのっていくんだ」丁寧語の「お」とい
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だるまだ!
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★★★★
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月乃春水/妙な、尋常でないだるまがやって来た。ありえない!想定外!に出会いたければ、この絵本を。
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ちょっぴり妙なだるまのおはなし。その数、形状。尋常じゃありません。登場の仕方もすごいんです。ずいずいっずいずいっと海を渡ってくるんですから。海辺の街は、だるまだらけ。びっくりした人たち。けれども受け入れるのも早い。お持ち帰りされただるまは、どうなったのでしょう…?見ている読者にとっても、だるま自身にとってもこれはかなり、想定外でしょう。でもね、流行りものってこんなかんじかもしれません。だるまの侵略
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カカトアルキのなぞ
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★★★★★
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銀の皿/「世紀の新種発見・研究」物語。昆虫少年、昆虫中年の心をくすぐること間違いなし。
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「カカトアルキ」。漫画にでてくる妖怪、といっても通用しそうな名前です。でもこれは、21世紀の初め、88年ぶりに発見された「新しい昆虫目」。この本はこの昆虫をわかりやすく紹介した絵本です。絵本とはいっても内容はかなり本格的で、大人の虫好きにも読み応えは充分あるでしょう。カカトアルキについて一般的に読める本はまだあまりないのではないでしょうか。「目」というのは、チョウは鱗翅目、バッタは直翅目とまとめら
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おかげさま
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★★★★★
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迷子の子猫ちゃん/感謝の心を「おかげさま」の一言に込めて。
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「おかげさま」というタイトルが気に入って、手に取った。『いのちのまつり』シリーズの3冊目だという。シリーズ第1作目の『いのちのまつりヌチヌグスージ』(2004年10月刊行)は、17万部突破し、小学校「道徳」の副読本に採用されているそうだ。3冊目のこの本も、子どもに読み聞かせたい感動的な絵本に仕上がっている。主人公の8才の女の子、ゆうちゃんのおじいちゃんは、子どもにもわかるように「おかげさま」の意味
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古楽のすすめ
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★★★★★
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ゆうか/聴けない音を聴くために
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「古楽」というと、どれくらい古い音楽だろうか。答えはバッハ以前、以後で分けられる。1750年以前の音楽。なんだ思っていたより古くない、という気もする。反対に、ずいぶん長い時代が「古楽」でくくられるのだと思う。1オクターヴを12に分割した、平均律以前の世界。和声、旋法のような基礎知識の、わかりやすい説明があり、未知の世界に入るためのツールを手渡されたような気分になる。楽譜をどう読むかについても、演奏
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午前十時の映画祭何度見てもすごい50本プログラム
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★★★★★
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夏の雨/さあ、開演です
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まもなく開演です。お目覚めできていますか。そんなアナウンスが聞こえてきそうな映画祭があります。「午前十時の映画祭」。かつてたくさんの観客を魅了した名画50本が週替わりで今年の初めから各地の映画館で上映されています。「ローマの休日」「エデンの東」「ベン・ハー」「レインマン」・・・・。そのなかのひとつぐらいは思い出の映画としてあるのではないでしょうか。本書は、そんな「午前十時の映画祭」のためのプログラ
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私はなぜアジアの映画を見つづけるか
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★★★★
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本を読むひと/アジア映画の早分かり本ではないところが、いい
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著者(佐藤忠男)はアジア映画(本書が言及する範囲では東南アジアやインド圏のみならず中近東の国も含む)に深くコミットし、日本への紹介にさまざまなかたちで尽力している。1990年代から21世紀ゼロ年代にかけて書かれた文章に、未発表や書き下ろしの評論を加えた本書は、そうした著者の努力の成果である。ところで一部のポピュラーな作品を除くと、ここで語られている映画の多くは、福岡などの映画祭で上映されるだけで、
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黒澤明という時代
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★★★★★
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オクー/リアルタイムで見た者しか語れないこと、「黒澤明という時代」。
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「黒澤明の作品論なんて書くつもりじゃなかった」という小林信彦がなぜこの本を書いたのか。その答えが最終章にある。この話はちょっとすごい。「羅生門」「生きる」「七人の侍」の脚本家である橋本忍に対して監督でこれも黒澤さんとの関わりが深い野村芳太郎が面と向かってこんなことを言ったのだ。「黒澤さんにとって、橋本忍は会ってはいけない男だったんです」「そんな男に会い、「羅生門」なんて映画を撮り、外国でそれが戦後
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ガサコ伝説
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★★★★★
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夏の雨/唇をかみしめた時代
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表紙の、短髪で大きなサングラスをかけた女性がこの作品の主人公、雑誌「月刊平凡」の編集者として多くのアイドルたちとともに時代を疾走したガサコこと折笠光子である。印象的なのは、顔の半分以上の表情を覆い隠すサングラスではなく、下唇を噛み締めたその口元だろう。ガサコはそのようにして時代と戦ってきたのだろうかと考えてしまう、写真である。歴史に「もし」というのはタブーだとはわかっている。それでも、「もし」の誘
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水木しげる 人生をいじくり回してはいけない
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★★★★
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浦辺 登/水木しげる氏自身が妖怪。
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毎朝、テレビから流れる「ありがとう」というテーマソングが目覚まし時計代わりだったが、NHKで久々に当たったドラマではないだろうか。その『ゲゲゲの女房』の水木しげる氏の語りをまとめたものになる。過去に幾人かのインタビュアーに語り、テープ起こしをしたものを一冊にまとめているので、同じ話が何度も出てくる。そのたびに、細かい部分に狂いが生じているが、それはそれで、妖怪話を寝る前に聞かされているようで、面白
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きみのかみさま
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★★★
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yukkiebeer/私の大好きな西原の作品なのだが…
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私の大好きな西原理恵子が2009年~2010年にかけて雑誌「野生時代」に連載した漫画。体裁は童話絵本といった具合です。描かれるのは発展途上国に暮らす経済的にかなり苛酷な生活を強いられている子どもたちの日常です。日銭を稼ぐことに追われて満足に学校にも通うこともないだろう子。ゴミの山で育ち、食事はクズ野菜や小さな肉と卵のぶっかけめしという子。そんな子供たちをめぐる15の短編です。豊かな外国人旅行者たち
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積極
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★★★★★
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きゃべつちょうちょ/谷川史子って、前々から気になっていたけど、やっぱり、いいです!!
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みっつの恋愛短編集。表題作の「積極」は、教授に片思いする女子大生のお話。なんとも、せつない。教授に焦がれるあまりに、主人公の美幹は、同棲中の彼から心を見透かされ、別れを告げられてしまう。肝心の教授のほうは、といえば、亡くなった妻をいまも胸の奥に住まわせ、ほかの異性に心をひらくことはない。それでも美幹は、めげずに教授を慕いつづける。そしてある日、ささやかな思い出をつくるチャンスに恵まれるが・・・。淡
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西洋骨董洋菓子店 3
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★★★★★
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きゃべつちょうちょ/思いのほか濃厚だった「Antique」の味
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BLものはどうもなぁという偏見のもと、手にとることができずにいたのだが、妙にすっとぼけた感じに、すっかりはまってしまった。ずいぶん前にテレビドラマ化もされたが、原作とドラマはだいぶ違う。(ストーリーはミステリーのかたちをとっているので内容の紹介は省く)。原作には、もっと奥深い味わいがある。たしかに少女まんがにしては、BL色が若干強いきらいがあるが、4人のキャラ造詣がすばらしくてぐっと惹きこまれてし
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ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘
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★★★★
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kumataro/父親の仕事の中に自分を探す娘たち
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ゲゲゲの娘、レレレの娘、ラララの娘水木悦子赤塚りえ子手塚るみ子文藝春秋有名漫画家の娘さんたちによる父親を語る対談集です。なかなか楽しい。タイトルの語呂がいい。水木しげるさんは現在88歳でご存命のようです。対して、赤塚不二夫氏は72歳、手塚治虫氏は60歳という長命とはいえない年齢で亡くなっています。亡くなっているから言えるということもあります。娘さんたちの年齢がはっきりとはわかりませんが(顔写真はと
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大奥 第6巻
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★★★★★
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mayumi/高い絵のクオリティこそが、真の魅力です
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疫病によって男子の数が極端に減った江戸時代を舞台にした、男女逆転大奥。綱吉から家宣の死まで。よしながふみは、画力の人だと思う。確かに、よしながふみの作品は「大奥」をはじめ、魅力的で斬新なストーリーばかりだ。しかし、そのストーリーも、このたぐいまれな画力だからこそ、生きているのだと改めて感じた。父以外に愛されないと感じ、自分は何もできなかったと悔んでいた綱吉が、その父の呪縛から解き放たれた瞬間を、打
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緋弾のアリア 7
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★★★★
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DSK/本巻の最後から第2幕が始まる感じ
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今回の表紙はいつにも増してスカートの裾が際どくて最敬礼を禁じ得ないが……ぱ、パンツ穿いてるよね?などと、どーでもいいことも心配してしまう麗しきジャンヌである。作品作りの基本である起承転結で見た場合、途中から舞い込んだであろう延長依頼を受けるために、通常は「承」の部分をずっと伸ばしていく手法が多い中で、ラノベでは珍しくも週刊誌連載漫画よろしくスケールUPした起承転結の第2ラウンドを行おうというのが本
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探偵★日暮旅人の探し物
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★★★★
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くまくま/他人のためには取り戻せるのに自分には取り戻せない大切なもの
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日暮旅人は他の人に見えないものが見える。それは声であり匂いであり味であり感触である。彼は視覚以外の五感を失った代わりに、他の感覚を目で見ることが出来るのだ。彼はその能力を利用して、誰かの大切な探し物を見つける探偵をしている。彼の娘である百代灯衣が通う保育園の保育士である山川陽子は、ある日、子どもの頃から大切に持っているキーホルダーを失くしてしまう。そこから、旅人と彼の能力、そして彼が関わってきた事
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ニーナとうさぎと魔法の戦車
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★★★★
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くまくま/戦争という概念と戦う
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兵器の動力源が搭乗者魔力という世界。大国同士の戦争は新型魔法爆弾の余波による全兵器の故障という理由で5年前に停戦したものの、何故か兵器たちは搭乗者なしで自走し、周辺の集落を襲うようになった。集落では自分たちの身を守るために私兵力として戦車を保有している。ニーナはそんな時代の被害者。7歳で人買いに売られ、12歳まで戦車の動力源としてこき使われ、いまはそこから逃げ出して放浪する身となっている。そんな彼
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オワ・ランデ!
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★★★★
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くまくま/後ろ向きな理由で突っ走る前向きさ
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佐品直純はある目的を持ってサキュバスの召喚に臨む。結果現れたのは、ロセリーというサキュバス正統派の貴族だった。ところが貴族ゆえにその力は普通のサキュバスの数百倍というもので、普通の人間が彼女に触れれば数秒で死んでしまうという。何とかロセリーに触れようと様々な策を練る直純だったが、彼には伏せている本来の目的が別にあった。ある意味前向きな願望で突っ走っているように見える直純だが、その実際の目的は非常に
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Wandervogel
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★★★★
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くまくま/その気もないのに抜いちゃった
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超人的な体力を持つ姉タマキのおまけで、双子の弟ユウキは新大陸発見に赴く開拓船に乗り込むことになった。普通の人以下の体力しか持たないユウキだったが、出発前に立ち寄った王都で伝説の魔剣グラムを抜いてしまう。誰にも見つからずにグラムを開拓船に持ち込んだのは良かったが、おまけで乗った立場上、新大陸に一番乗りする捨て駒の役目をすることになり、いきなり緑竜に襲われて遭難してしまう。そんな彼を助けに、タマキや友
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翻訳はいかにすべきか
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★★★★
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BCKT/「翻訳は日本語の問題であ」り,「翻訳に不可能はない」
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やなせなおきは1943年(根室市)生まれ。早大文卒業(70年,27歳!)。同大学院博士課程中退。成城大学勤務(77年(34歳)-91年(48歳))。翻訳不能と言われたジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』(河出書房新社全2巻,1991-93,河出文庫全3巻,2004)を独自の造語を用いて翻訳(日本翻訳文化賞受賞,94年,51歳)。本賞に関しては,著者は連名(共訳者)で受賞歴がある(ダグラス
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天使の代理人 上
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★★★★
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みす・れもん/胎児が「1つの命」となるのはいつ?
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本来、助産師は産まれてこようとする命を迎えるお手伝いをするのが仕事。でも、現実はその命を消し去ってしまうことも多い。主人公:桐山冬子はそういった仕事にいつしか慣れてしまうが、ある日、妊娠後期での中絶手術の最中に死んでいたはずの胎児が一瞬動いたのに気づいたとき、胎児の生きる力を目の当たりにした。そして病院を退職し、これ以上人工中絶に携わることのないフリーの助産師として妊婦さんのお手伝いをすることにし
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笹舟日記
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★★★★★
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佐々木 なおこ/昭和の時代を懐かしく思い起こさせる一冊
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夏の終わりごろから、三浦哲郎さんの本をあれやこれやと読み始めた。きっかけは新聞に載っていた三浦さんが亡くなられて後の特集記事。東北出身にも惹かれたし、井伏鱒二さんとのご縁もあり、さらに私が読んだ新聞二紙での三浦さんの写真があまりにも違いすぎて、「えッ同じ人?」と思わず並べて見たほどで、それでぐんと興味がわいてきた。最初は「白夜を旅する人々」をはじめ、小説をいくつか、そのあとに読んだのが、このエッセ
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秘録・石原莞爾
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★★★★
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浦辺 登/陸軍エリートによる石原莞爾評、なのだが。
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陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学という陸軍のエリートコースを共に歩んだ著者による石原莞爾伝である。石原莞爾は満洲事変の首謀者として名前が知られているが、独断専行で満洲国を建国するに至らしめた人物でもある。満洲という地域は現在、中国東北部と呼ばれているが、清朝末期には南下するロシア、清国、日本、いずれの主権も及ばない地域であり、孫文などは革命資金と引き換えに日本に満洲を譲り渡したほどだった。その
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なぜ私だけが苦しむのか
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★★★★★
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yukkiebeer/神は全能ではない、とみなすことが生き抜く力の源となることを教えてくれる書
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著者はアメリカ人のラビ。その息子は生まれた時から早老症という病に冒されていて、14歳という若さでこの世を去りました。善良であることを心がけてきた自分になぜこれほどの悲しみが訪れるのか。神はなぜ私をかくも苦しめるのか。キリスト教徒やユダヤ教徒でなくとも自分の不幸を神からの理不尽な罰と見なしたくなるような経験を一度ならず味わった人はいるでしょう。この本はそんな読者に向けておよそ30年前に書かれました。
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たいこどんどん
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★★
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稲葉 芳明/井上ひさし全著作レヴュー21
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新潮社「書下ろし新潮劇場」シリーズの一冊として75年8月に刊行。72年10月刊行『手鎖心中』(文藝春秋)に収められた中編『江戸の夕立ち』を、自ら劇化した作品である。初演は75年9月東横劇場で、五月舎プロデュース公演、木村光一演出。69年『日本人のへそ』でデビューしてから此処に至るまでの井上芝居は、評伝劇という枠組をとったり、過剰な言葉遊びを試みたり、劇中劇(どんでん返し)を仕掛けたりと、毎回様々な
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偽原始人
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★★
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稲葉 芳明/井上ひさし全著作レヴュー22
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「朝日新聞」に1975年7月28日から76年4月17日まで連載。主人公があることを契機に大いなる野望/目的/使命を抱き、途中仲間を加えていって冒険の旅に繰り出すが、志半ばにしてその旅を終える――井上ひさしはこの物語パターンが好きで、戯曲『十一匹のネコ』や長編『ドン松五郎の生活』、あるいはこの作品の2年前に連載していた『おれたちと大砲』もこの「物語枠」を用いていた。3人の小学5年生が、我が子の東大入
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アフガニスタン2つの資料
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★★
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消印所沢/「自由戦士」(苦笑)
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基本的にはプロパガンダ文書.「アフガン自由戦士」といったお決まりのフレーズ.「外国人ジャーナリストによって確証されている」としている,「90%は抵抗運動の支配下にある」説(p.3)ムジャヒディンの隠れ場になりそうな建物や樹木を,道路沿いから撤去する作戦(p.4)共産政府によってロヤ・ジルガの現代版と喧伝された,NFF(民族祖国戦線)(p.5)PDPA(アフ【ガ】ーニスタン人民民主党=共産党)と,そ
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悪魔の星
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★★★★
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わたなべ/神学的思弁SFの傑作。
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ヒューゴー賞に輝く名作だが、実は最近はじめて読んだので、現在は品切れで入手困難らしいと知り復刊祈願で書評を投稿してみる。外宇宙の新しく発見された惑星リチアは、人類がほぼ初めてであった知的生命体が存在していて、四人の科学者が異星文化と人類がどういう風に接するかを決めるためのリサーチに滞在している。第一部は、そこで病気になった物理学者の帝国主義的な陰謀をめぐるサスペンスと、異星文化についての四人の間で
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