2010年9月24日3時1分
世界の主な通貨と比べると、日本の円が2008年秋の米リーマン・ショック直前より3割近く「円高」になっていることがわかった。各国通貨で最も上昇しており、世界中で突出して買われている状況だ。
国際決済銀行(BIS)が58カ国・地域の通貨を比較している実効為替レートの公表資料でわかった。10年8月の実質実効レートでは、円は7月より1.4%高い104.25。08年8月の82.41に比べて26.5%も円高になった。
日本に次ぐ上昇率は南アフリカ・ランドで20.0%。資源が豊富な国やアジアの新興国の通貨が買われている。米ドルも1.5%上昇。円高ドル安が注目されているが、円以外に対してはドル高なのを意味しており、円の「独歩高」が鮮明になっている。
下落したのは欧州の通貨。最も下がったのはポーランド・ズロチでマイナス16.6%。欧州主要国の共通通貨ユーロも9.0%下落した。
■名目レートでは最高値
円の「独歩高」はなぜか。欧州はリーマン・ショックで発生した不良債権の問題が残り、財政不安も抱える。米国も景気の先行き不安が強まっている。銀行の不良債権が少ないなどショックの傷が浅い日本の円は、急落して損を被る危険が少ない「安全資産」とみられ、買いが集まる。
では、今は歴史的な円高なのか。実質実効レートでは、10年8月(104.25)は、対ドルで戦後最高値の1ドル=79円75銭をつけた95年4月(151.11)より31%も低い。「過去20年間の平均に比べるとむしろ円安で、今の日本経済に対して大きな問題とはいえない」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との見方は多い。