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【プロ野球】

球児最悪 まさかの逆転被弾

2010年10月1日 紙面から

阪神−横浜 9回表無死一、二塁、村田(右)に逆転となる本塁打を浴びぼう然とする藤川球=甲子園球場で(田中久雄撮影)

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◆横浜4−3阪神

 スタンドから悲鳴ではなく絶叫のような叫びが響きわたった。無情にも左翼席へと消えていく白球。悲劇が起きた瞬間、マウンドの藤川球はガクリとうなだれた。ベンチの真弓監督は口をポカンと開けていた。何が起きたか分からないという表情だった。

 「まさかやな。痛い1敗? 痛いどころじゃない…」

 本拠地最終戦のセレモニーを終えた指揮官は冷静さを取り戻していたが、『痛いどころじゃない』のフレーズがすべてだった。本当に痛すぎる敗戦である。8回が終わって2点をリード。好投する久保に代え、絶対的守護神を9回のマウンドに送り出した。ここから目を疑うような展開が待っていた。

 藤川球は審判のやや厳しい判定もあったとはいえ、いきなり松本を歩かせた。続く内川にも四球。奇跡の逆転Vのため、引退する矢野のため、本拠地最終戦に訪れたファンのため…。それらの思いが重圧となったのか。鳥谷が、城島がマウンドに来て声をかけようが、制球は定まらなかった。

 したたり落ちる汗。しかし、マウンドで苦しむ守護神に容赦ない結末が待っていた。迎えた打者・村田。その4球目、149キロ速球をものの見事にはじき返された。まさかの逆転3ラン。「力がなかっただけです」。藤川球が打たれたら仕方ない。その一言で片付けるには、あまりにもショックは大きすぎる。

 点灯していたマジックは減るどころか消滅。自力優勝の可能性が逆になくなり、中日にマジック1が灯ってしまった。残り6試合は1敗も許されず、しかも中日が勝てば無条件に終戦。藤川球は「責任とって最後までやるのが仕事。やりぬきたいです」と言ったが、逆転優勝の可能性は限りなくゼロに近いものとなってしまった。 (島田明)

 

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