後継者問題:集合写真から読み解く権力地図(下)

 2列目には政治局員候補、党中央軍事委員らが並んだ。黄海北道の責任書記から一気に党書記、中央軍事委員などのポストに就いた崔竜海(チェ・リョンヘ)氏(60)氏は、金正恩(キム・ジョンウン)氏のすぐ後ろに立っている。幹部出身の脱北者は「正恩氏の後見人役だと宣伝しているようだ」と指摘した。崔竜海氏は金日成(キム・イルソン)主席の抗日パルチザン時代の同志である崔賢(チェ・ヒョン)元人民武力部長の息子で、金総書記の信頼が厚い。韓国海軍哨戒艦「天安」の爆沈を主導したとされる金英徹(キム・ヨンチョル)人民武力部総偵察局長(軍事委員)も、写真の右側に写っている。今回の党人事に漏れた呉克烈(オ・グクリョル)国防委員会副委員長は、軍関係者のうち、金総書記に最も近い位置に並んだ。写真の上では、呉克烈氏の左に張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長(金総書記の妹、金敬姫氏の夫)が見える。3列目には地方の道責任書記、内閣副首相ら、4列目には閣僚らが並んだ。韓国統一部の関係者は、「金正恩時代のパワーエリートの集合写真だ」と評した。

総参謀部中心の「新軍部」台頭

 韓国政府高官は「今回の人事の特徴は、実際に武力を行使する総参謀部が中心になった『新軍部』が前面に登場したことだ」と指摘した。李英鎬総参謀長を筆頭に、その部下の崔富日(チェ・ブイル)副総参謀長が今回、正恩氏と共に「大将」に昇進した。正恩氏が副委員長に就任した中央軍事委でも、金明国(キム・ミョングク)総参謀部作戦局長(70・大将)、総参謀部直属のチョン・ミョンド海軍司令官、李炳鉄(イ・ビョンチョル)空軍司令官らが委員に選ばれた。総参謀部の躍進は昨年1月に総参謀部報道官が軍服姿でテレビに登場し、「対南全面対決態勢に入る」と表明した時から始まったとされる。正恩氏が後継者に内定したのもそのころだ。正恩氏が総参謀部で後継に向けた修業を積んだ可能性もある。

 一方、軍序列2位の趙明禄(チョ・ミョンロク)国防委第1副委員長は総政治局長を、金永春人民武力部長は国防委副委員長をそれぞれ退任したとの見方が出ている。北朝鮮は趙氏について、「総政治局長を経た」、金氏についても「国防委副委員長を経た」と経歴を説明した。趙氏は病気療養のため、写真には写っていない。

アン・ヨンヒョン記者

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト

このページのトップに戻る