どうして対立してしまうのか?(本文)-発達障害の悩み-
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お待たせしました。今日は「どうして対立してしまうのか?-発達障害の悩み-」の本文です。
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発達障害の人は、なぜか人と対立してしまうことが非常に多くあります。私自身も例外ではありません。
その原因となっているのが、
発達障害の人は、「相手には相手の事情があるということ」を考慮することが苦手であるということだと思います。
相手の強い主張には、必ず何らかの理由があるのです。
その理由のほとんどは、自分のあずかり知らないことなのです。
ところが、発達障害の人は、自分と他人の境界があいまいであるために、自分自身の環境や体験を中心にして、「自分の延長線上に相手がいる」と考えてしまいます。
相手は、全く別の人間で、全く違う生活をしていて、全く別の人生を歩んでいる、ということを考慮しにくいのです。全く別の経験を積んできているのですから、まったく違ったものの見方や信念があって当たり前なのです。
こう言われれば、「そうかな」と思うのですが、正直なところ、「自分の感覚として」ピンとこない…というのが本当のところです。
そのため、多くの場合、相手の強い主張を、「自分に対する否定」のように感じてしまいます。
簡単に言うと「私のことが嫌いだから、攻撃している」「私のことを否定している」「私のことを理解していないから」など、さまざまな形で「自分への否定」として感じてしまうのです。
普通の人の場合、よほど込み入った事情がある場合でなければ、相手が強く主張する場合には、「あぁ、なんだか、事情があるんだろう」と思えるようです。
しかし、その程度のことでも、発達障害の人にとっては「ゆゆしき意見の対立」「自分に対する否定」と感じてしまうのです。
けれど、翻って自分自身が強く主張していることについてよく考えてみると、自分の生活や人生経験によって培われた経験から、「こうあるべし!」と考え、それを主張していることが多いはずなのです。(自分の"こだわり"もこれに含まれます。)
それと同じように、相手にも別の下地があって、「こうあるべし!」と主張しているだけなのです。
実は、対立とは全く逆に、傍から見ると、どう考えてもその人に原因があるとは思えないのに、「自分が悪いんじゃないか」とオロオロしてしまう場合もあります。私自身もよくあります。
例えば、相手が不機嫌な顔をしていると、「自分が悪いのでは?」と考えてしまうのです。
じつは、これも、対立する場合と同じで、「自分の延長線上に相手がいる」と考えてしまうところに原因があるのです。
相手には、相手の生活があって、もしかしたら、家で嫌なことがあって、機嫌が悪いだけなのかもしれないし、自分の知らないところで、上司に怒られて機嫌が悪いだけなのかもしれません。
つまり、自分の知らない理由があるのかもしれないのです。
ところが、発達障害の人は、なぜか「自分に対して機嫌が悪い」→「自分が原因に違いない」という理由しか思いつかないのです。
私自身も、30歳を過ぎる頃まで、「相手の背景」によって主張が変わるということに気付かないことが非常に多くあり、「相手の強い主張」の全てを「自分への否定」と感じていました。
30歳を過ぎて、社会で働くようになって、「その人の役割によって、重視するものや利益が違う」ということを学びました。そのため、「スタンス(役割)が違えば、主張する意見が変わるのは当然のこと」だということだけは受け入れられるようになっていました。
つまり、かなり限定された範囲においては、「相手には相手の事情がある」ということを理解できるようになっていました。
そして、最近、リアルでつながりのある当事者の方と話をしていて、
「相手の主張には、自分の知らない理由がある」
という言葉が出てきました。
私が限定的に理解していたことが、この言葉で一気に一般化が可能になりました。
自分と異なる意見を強く主張された場合に、この言葉を意識するだけで、かなり「自分への否定感」が軽減され、人と対立することが減ります。
自分の主張が相手に受けれられなくても、必死になって相手に受け入れさせようと躍起になったり、相手を攻撃したりすることは、まったく「必要がない」事だと思えるようになります。
正直なところ、相手に自分の主張を理解させようと躍起になっている姿というのは、第三者からみると、非常にみっともない姿だったりします(自分がそれをやっていると気がつきにくいですが、他人のそういう姿を見るとよくわかります。)
発達障害の人は、普通の人が特に意識しなくても自然に体得している感覚を、意識して身に付けることで体得していけるのです。
「相手の主張には、自分の知らない理由がある」
この言葉をおっしゃった当事者の方は、さまざまな人生経験から、このことを体得されたのだと感じました。この言葉を聴いたとき、単なる受け売りではない、深い深い奥行きを感じました。
この方は、発達障害の当事者でありながら、通常は発達障害の人が苦手とされるスキルを体得されています。
そこには、単純に「自閉度が低いから」「能力の凸凹の凸の部分(得意分野)だから」という事ではなく、さまざまな人生経験の中で一つ一つ積み上げて体得してこられたということが感じられるのです。
当事者間で交わされる会話の中で、「あなたは自閉度が低いからできる」「その部分は定型と同じ能力があるからできる」という言葉を聞くことがあります。
もちろん、そういう理由の場合もあるでしょう。
けれど、そうではなく、人生経験の中で一つ一つ積み上げることで体得してきた場合もあるのです。
そして、そういう方から出た言葉だからこそ、私の心に響いたのだと思います。
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