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「CT被曝」大国ニッポン 〜発がんリスクも最悪に(下)

選択 9月30日(木)14時2分配信

 検査件数の増大が疾患や異常の発見につながっていれば、被曝の代償を払った意味もあろうが、がんや脳血管障害など主要疾患の国別死亡率を見ると、米・英・仏・独など欧米各国とほぼ変わらない。世界一の被曝量が死亡率の減少に貢献していないことはあきらかだ。
 こうしたCT検査の実態を野放しにしてきた厚生労働省、既得権益に手を突っ込まれるのを嫌う日本医師会に原因と責任があることは疑いの余地がない。厚労省は、高性能CTの普及を図るために、保険点数の増加という施策をとった。CTメーカーに天下りしている実態はないようなので、利益誘導ではないが、あまりに安易だ。前述した米国の被曝事故の際、米国食品医薬品局(FDA)は調査に乗り出したが、厚労省が、状況把握に動いた形跡はない。だとすれば、恐るべき怠慢である。
 病院側は厚労省に後押し(誘導)されて、数億円もする高額機器を競うように導入。大病院、専門病院はともかく、町の開業医までがCTを備えるという世界的に見ても稀有な光景が広がっている。
 かくして、CTの乱用・乱診は医療費押し上げの一因となるばかりか、放射線被曝による健康リスクも世界最悪という歪んだ状況を生みだした。

最終更新:9月30日(木)14時2分

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