小麦:価格急騰、6月以降5割も上昇 ロシア干ばつ被害で

2010年8月4日 20時1分

 【ロンドン会川晴之】小麦価格が急騰している。世界有数の穀倉地帯のロシア、ウクライナ、カザフスタンで猛暑による干ばつ被害が広がっているほか、カナダは降水の影響を受け不作が確実なためだ。欧州では、小麦価格が1トン=200ユーロを超えるなど、6月以後に5割も上昇した。穀物価格高騰で食糧危機への懸念が広がった08年の再来を懸念する声も出ている。

 小麦は、パンやめん類、菓子など幅広い食品に使われる。日本で使う小麦の8割強は海外産。政府が輸入を管理し、輸入価格を参考に製粉会社への売り渡し価格を決める。国際価格高騰の影響で、政府の国内売り渡し価格は今秋にも2年ぶりに値上げされる見通し。製粉会社による価格転嫁で日本の台所を直撃する可能性がある。

 国際穀物理事会(本部・ロンドン)が先月末に発表した世界の穀物生産量予測によると、今年度(10~11穀物年度)の小麦生産量は6億5100万トンと、昨年度を2600万トン下回る見通し。昨年のロシアの小麦生産量は6170万トンだったが、今年は27%減の4500万~5000万トンと、過去5年間で最低の見込みだ。ウクライナ、カザフも大幅に昨年実績を下回りそうなうえ、カナダも降雨の影響で、生産量が36%減と予想される。

 ロシアは世界3位、カナダは同4位の小麦輸出国。ロシアが自国用の小麦確保のために、輸出制限を行う可能性も取りざたされ、小麦の市場価格は、2日の欧州市場で1トン=211ユーロと2年ぶりの高値に跳ね上がった。米シカゴ商品取引所の小麦価格も7月の1カ月間で42%も上昇している。

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