中国の温家宝首相は、中国の建国記念日に当たる1日の「国慶節」を前に演説し、「国が強くなっても覇権は求めない」と述べ、尖閣諸島の事件などをきっかけに国際社会で高まる中国の強硬な外交姿勢に対する懸念を打ち消したいねらいがあるものとみられます。
中国政府は先月30日夜、北京の人民大会堂で10月1日の建国記念日、「国慶節」を迎えるのにあわせて北京駐在の世界各国の大使らを招いて式典を開きました。式典では温家宝首相が演説し「中国の発展はだれかを傷つけたり、だれかの脅威になったりするものではない」と述べたうえで、「国が強くなっても覇権は求めない」と強調しました。中国は、▽尖閣諸島の日本の領海内で起きた中国漁船による衝突事件や▽南シナ海の島々の領有権をめぐって、日本や東南アジア諸国との間で緊張が続いてます。中国は、主権にかかわる問題では、譲歩しないとして、強硬な姿勢を崩さず、アメリカやヨーロッパでも懸念の声が出ており、温首相の今回の演説は、国際社会で高まる、いわゆる「中国脅威論」を打ち消したいねらいがあるものとみられます。