器物損壊容疑:「タコイカウイルス」作成者を逮捕

2010年8月4日 11時14分 更新:8月4日 14時14分

タコイカウイルスに感染したパソコン画面(トレンドマイクロ提供)
タコイカウイルスに感染したパソコン画面(トレンドマイクロ提供)

 パソコン内のファイルを勝手に上書きするウイルスを作り、ファイル共有ソフト「ウィニー」に仕掛けて感染したパソコンを壊したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは4日、大阪府泉佐野市中庄、会社員、中辻正人容疑者(27)を器物損壊容疑で逮捕したと発表した。パソコン内のハードディスクを使用不能にする点をとらえ、器物損壊容疑を適用してウイルス作成者を摘発した初のケース。

 中辻容疑者は、感染すると特定の人物の名前や顔写真を画面上に勝手に表示させるウイルスを作ったとして08年、コンピューターウイルス作成者として初めて京都府警に著作権法違反容疑などで摘発された人物。

 警視庁によると、今回のウイルスは画面上に現れるキャラクターから「タコイカウイルス」と呼ばれ、中辻容疑者は09年7月に作成して、翌月に放出した。アニメ音楽などウィニー上の偽装ファイルをダウンロードした途端、タコやイカ、ウニなどのキャラクターによる動画ファイルが作動。パソコン内のファイルが次々と17種類のキャラクター画像に上書きされ、中のデータも復元不能になる。

 逮捕容疑は、6月23日、ウィニー上の偽装アニメ音楽ファイルをダウンロードした北海道の無職男性(37)のパソコンを感染させ、ハードディスクを使用不能にしたとしている。中辻容疑者は容疑を認め、「前回の逮捕後にプログラミング技術がどれだけ向上したか試したかった。ウィニーで違法ダウンロードしている人を懲らしめようとも思った」などと話しているという。

 男性はダウンロード後、すぐに感染に気づきパソコンの電源を切ったが、ファイル全体の17%が感染した。再度電源を入れると残りのファイルも感染して事実上パソコンが使えなくなるため、警視庁は器物損壊罪にあたると判断した。08年の事件の際、京都府警も器物損壊罪の適用を検討したが、この時はインストールし直すと再使用可能だったため断念したとされる。

 タコイカウイルスには感染パソコン内の情報を中辻容疑者側に無断転送する機能があり、中辻容疑者は「感染させた5万人分の情報を抜き取って自分のパソコンに集めた」と供述しているという。警視庁はウィニー上の偽装ファイルをほかに4件確認しており、中辻容疑者の関与について調べている。【町田徳丈】

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