2010年8月4日 10時37分 更新:8月4日 12時55分
4日の東京債券市場は、世界経済の先行き不安から債券が買われ、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時、前日比0.025%低い0.995%に低下(価格は上昇)し、03年8月以来7年ぶりに1.0%の大台を割り込んだ。
東京外国為替市場で円相場が1ドル=85円台と円高傾向が止まらないため、東京株式市場ではキヤノンやソニーなど輸出関連株が売られ、3日ぶりに反落。日経平均株価は午後0時40分現在、前日終値比191円26銭安の9502円75銭だった。
米国経済の減速感の強まりを受け、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が追加の金融緩和に踏み切るとの観測が拡大。「世界の資金がドルから円に向かい、比較的安全な資産である国債市場に流れ込む」(米大手証券)と同時に、日本国内でも、資金が株から国債に移動したことから、金利低下に拍車がかかったとみられる。
日米欧の先進国では今後、財政出動の景気押し上げ効果が薄れて景気が減速するとの不安が高まっていることに加え、米欧でもデフレ懸念が浮上、低金利政策が長引くとの見方が一層強まっている。
日本では企業業績が改善してきたものの、資金需要は依然弱い。このため、邦銀は余剰資金を国債購入に振り向けており、金利低下を後押ししている。
長期金利の低下は、住宅ローン金利の低下や企業の資金調達コストの低下などを通じて、景気回復を下支えする効果がある。ただ、米経済の減速が強まれば、輸出減少などで日欧経済だけでなく、中国など新興国経済にもマイナスの影響を与えかねない。「今秋以降、日本経済や世界経済の減速が鮮明になってくる」(邦銀)との見方は根強く、一層の金利低下の可能性も指摘されている。【清水憲司】