2010年8月3日 10時48分 更新:8月3日 11時9分
【カイロ和田浩明】アラブ首長国連邦(UAE)は、世界的に人気が高く日本でも販売されている高機能携帯電話(スマートフォン)「ブラックベリー」での電子メール送受信やインターネット閲覧を10月11日から禁止する。暗号化機能が当局による検閲を困難にしているためだが、「通信の秘密」の保障に抵触しかねない措置だ。米政府は2日、「危険な先例になる」と批判した。
UAEの通信当局者は毎日新聞に「機能制限は国内法に違反しているためだ」と説明。製造元のカナダ・RIM社と07年から通信内容のチェックを可能にするよう交渉中だと明らかにした。同社が要求を受け入れれば制限は実施しないという。
ブラックベリーはデータ通信を暗号化して国外にあるサーバーを経由させるため、地元当局による内容チェックが困難とされる。
UAEでの使用者は推定50万人。機能制限は、外国からブラックベリーを同国に持ち込んで国際ローミングで使用する訪問者にも適用される。音声通話は制限されない。
UAEの決定に対し米国務省のクローリー次官補(広報担当)は2日の定例会見で「失望した。情報の流通は自由であるべきだ。UAEに状況を確認する」と語った。
英BBCによると、RIM社はUAE政府との交渉について確認を避けたが、「ユーザーと各国政府双方を満足させる高度に安全な製品の提供を続ける」と話している。