芸術とルネサンスの都であり、オペラ発祥の地でもあるフィレンツェ。フィレンツェ歌劇場が、ミラノ・スカラ座と並ぶイタリアにおける重要なオペラハウスと認められるのは、こうした歴史的な背景とともに、1933年以来毎年この歌劇場を中心に「フィレンツェ五月音楽祭」が開催されているからにほかなりません。そして、この歌劇場の今日の発展をもたらしたのが、1985年以来、フィレンツェ五月音楽祭の首席指揮者として情熱を注ぎ込んできたズービン・メータであることは、世界のオペラ界が認めるところです。
5年ぶりとなるこの来日では、イタリア・オペラの二大作曲家であるヴェルディとプッチーニの作品が選ばれました。メータの「運命の力」といえば、2008年春、ウィーン国立歌劇場で同作品の新演出上演において素晴らしい指揮ぶりが大喝采を浴びたニュースが伝えられていますが、長い間、強い絆で結ばれいるフィレンツェのオーケストラと生み出す音楽は、さらに深くこの作品の真価を味わわせてくれるに違いありません。演出はパリ生まれのベテラン演出家ニコラ・ジョエル。過酷な運命に翻弄される壮大な人間ドラマに迫ります。
「トスカ」はアルゼンチン出身のマリオ・ポンティッジャ演出、装置と衣装はフランチェスコ・ジートによるニュー・プロダクションで、2008年10月に初日を迎えたもの。プッチーニ円熟期の代表作であるこの作品では、「歌に生き、恋に生き」をはじめ、聴きどころとなる有名なアリアの数々ほか、歌姫トスカと悪の権化であるかのようなスカルピアとの対決は、オペラ・ファンにとっては何度観ても胸がドキドキする迫真のドラマといえるでしょう。イタリアの魂が込められた満足度の高い上演が期待されます。
イタリア・オペラで最も著名な作品の一つ「トスカ」。それだけに様々なプロダクションが発表されてきたなか、マリオ・ポンティッジャの演出は奇をてらわず忠実にプッチーニの音楽とドラマの世界を舞台に出現させました。フランチェスコ・ジートによる装置と衣装も、フィレンツェ歌劇場の舞台美術のレベルの高さをいかんなく発揮して美しくリアルです。歌姫トスカは期待の新鋭アディーナ・ニテスク、トスカの恋人カヴァラドッシはこの役を重要なレパートリーの一つとするマルコ・ベルティ、二人に奸計を図る警視総監スカルピアはルッジェーロ・ライモンディとジョルジュ・スリアンの両ベテランが演じます。
愛し合いながら別れ別れになる娘と恋人、その恋人は娘の兄と一時は友情を育みながら決闘で命をかけることになり、兄は瀕死の自分に駆け寄る妹へ最後の力で剣を突き刺す。ニコラ・ジョエルの演出は、入り乱れる愛憎に無情に翻弄される登場人物たちの生と死を、重厚に描き出します。清純にして情熱的なレオノーラに実力派アマリッリ・ニッツァ、恋人アルヴァーロにワルター・フラッカーロ、兄ドン・カルロにロベルト・フロンターリ。それぞれの激しい心情の吐露によって進行する舞台は、すべてのパートに声質のよさとパワフルな声量が求められることでも知られています。
(注)掲載の配役は2010年7月23日現在の予定です。病気やケガなどのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。予定されていたキャストが出演できない場合(指揮者、主役の歌手であっても)、代役を立てて上演しますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表となります。
「トスカ」 | 2011年3月13日/神奈川県民ホール 2011年3月17日、20日/NHKホール S券52,000円〜F券12,000円 (神奈川県民ホールのE・F券は各1,000円引き) |
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「運命の力」 | 2011年3月14日、16日、19日、21日/東京文化会館 S券52,000円〜F券12,000円 |
2演目セット券(S・A・B券) | 9月11日(土)午前10時から NBS TEL:03-3791-8888のみで受付 |
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公演別E・F券 | 9月18日(土)から限定前売り所で受付 |
公演別S〜D券一斉前売開始 | 10月2日(土)から前記ほかプレイガイドにて受付 |
NBS TEL:03-3791-8888