DOL特別レポート
【第90回】 2010年10月1日
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米国の歴代民主党政権を支えた重鎮が緊急提言!
「日本は中国の謝罪・賠償要求に応じる必要なし
日中対立の本当の解決策を語ろう」
~ジョセフ・ナイ元国防次官補(現ハーバード大学教授)インタビュー

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――日米関係はここ数年、特に日本で民主党政権が発足した後は、非常に不安定な状態にある。中国はその乱れにつけこんでいるのか。

 中国の国内政治は最近、国粋主義に傾いている。加えて、(リーマンショック後)世界が経済危機に陥った中で、経済的に成功したことに高いプライドを感じている。それが、国際政治において積極的な行動に出させている。

 つまり、(今回の威嚇行為は)日米関係が悪化していると見たからではなく、最近の中国の典型的な行動と言える。同様の領土問題は、尖閣諸島だけではなく、南シナ海や北ベトナムでも起きている。

――この問題はどう解決するのがよいと考えるか。

 最良の方法は、中国が賠償要求を取り下げ、日中が直接協議のテーブルに戻ることだ。そして、日中両政府が合意している東シナ海のガス田共同開発プロジェクトを開始することだ。

 このプロジェクトは、日中が友好的関係を強めていくために重要な役割を果たす。この当初の路線に戻るのが良策だろう。

――日本は、中国に漁船との衝突で破損した巡視船の修理費を要求している。

 ディテールは問題ではない。繰り返す。最良の解決策は、両国が要求を取り下げて、ガス田の交渉というもっと広い議論に入ることだ。

――中国の権力中枢では、一体何が起きているのか。ここ数日だけ見ても中国は対立姿勢を軟化させたり硬化させたり、対応がチグハグだ。

 理由はふたつある。ひとつは先に述べたように、国内での国粋主義の高まりだ。中国国内のブログやインターネットでの投稿を見ると、それは明らかだ。アメリカの外交政策を批判する人民解放軍の高官の態度にもそれが出ている。

 もうひとつは、2012年に予想される中国指導部の交代だ。温家宝首相や胡錦濤国家主席は、次期指導部が鄧小平(故人)の敷いた注意深い外交政策を引き継いでいくことを望んでいるが、中国共産党の若い世代には、もっと強い中国を目指す傾向がある。それが表面化している。

――かなり乱暴な想像だが、もし中国が尖閣諸島に軍を配備するようなことがあれば、米国はどう出るか。

 (現実と)非常にかけ離れた仮説に基づいて議論するのは有効ではないだろう。だが、繰り返すが、クリントン国務長官が強調したことは、アメリカは日米安保条約に基づいて行動するということだ。そうしたことが起これば、アメリカは日本をサポートしていることを示す行為に出るだろう。

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