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【越美北線ものがたり 復旧1周年に寄せて 第2部 沿線をゆく編】

2008年9月11日

(29)百戸田吾作

サックリ姿で出陣

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     前田正治さん

 「たごちゃーん」。越美北線の列車内やホームで愉快なパフォーマンスを演じる「百戸田吾作(ももとたごさく)」さんに、子どもたちから黄色い声援が飛んでくる。

 その度にたごちゃんは、ぐりっと目玉をむいて、破顔一笑。「なあに」

 本名・前田正治さん(56)。地元の高崎建設(福井市境寺町)の営業部長を務めるが、たごちゃんに変身した途端に周囲の笑いを誘う。「お葬式以外はどこでもお呼びがかかるんです」

 前田さんがサックリ姿の百戸田吾作を演じるようになったのは十五、六年前から。青年団劇団員時代からひょうきんさには定評があったが、田吾作スタイルに目覚めて人気に火がついた。

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愉快なパフォーマンスを繰り広げる百戸田吾作スタイルの前田正治さん。愛称は「たごちゃん」=越美北線の記念列車内で

 昨年二月に病魔に侵された。胃を全摘。でっぷりしたメタボな腹はすっかりスリムになったが、厚めの腹巻きにサックリを着込み、荒縄を巻いてイベント会場に“出陣”していく。

 鉄道イベントに出演する際は「乗って残そうローカル線」の旗やチラシを持参。最近は手作り太鼓を打ち鳴らすちんどん屋スタイルも取り入れ、糸魚川地域鉄道部のイベント(今年六月八日)でも、来場者の人気を独り占めにした。

 素顔の前田さんは礼儀正しく、話す言葉は温かい。いわゆる空気を読める人。「ようやく体重も増えてきました」。美山一の芸達者はフットワークの軽さも身上。病魔になど負けてはいられない

 
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