2010年10月1日11時36分
中垣俊之・公立はこだて未来大教授
関東地方の「駅」にあわせて置かれたエサを求めて、時間とともに実際の鉄道網のようなネットワークを形成する粘菌=科学技術振興機構提供
【ニューヨーク=勝田敏彦】人を笑わせ、考えさせる科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が9月30日、ボストン近郊のハーバード大であり、粘菌を使って鉄道網の最適な設計を行う実験に成功した中垣俊之・公立はこだて未来大教授、小林亮・広島大教授ら9人が交通計画賞を受賞した。
中垣さんは受賞の弁に代えて「東京の鉄道網の設計は簡単だったが、ボストンのはちょっとしんどかった」という「粘菌からの手紙」を読み上げ、会場の笑いを誘った。中垣さんらは2008年にも粘菌に迷路を解く能力があることを示して認識科学賞を受賞しており、2度目の栄冠。
このほか原油流出事故を起こした英石油大手BPなどが「水と油は混じらない」が誤りであることを示した功績で化学賞を受賞。靴の外側に靴下を履くと、凍った道で滑りにくいことを実証したニュージーランドのチームが物理学賞を受賞した。
今回は同賞20年目の節目。34年以上、自分が食べた食事を撮影し続けて影響を調べて05年に栄養学賞を受賞した発明家のドクター・中松(本名・中松義郎)さんも招かれ、「私は5歳のとき最初の発明をした。今も発明の数は増えている」とあいさつした。