中国石家荘市で国家安全当局に拘束され、9月30日に釈放された建設会社フジタと現地法人の日本人社員3人が、同社に対し「軍事管理区域を示す看板に気付かず、誤って立ち入ってしまった」と説明していることが1日、分かった。3人は1日午前(日本時間同)東京・羽田に向け上海の虹橋国際空港を出発する。羽田には日本時間午後0時半ごろに到着する予定。
軍事管理区域に許可なく侵入、撮影した疑いで拘束されていた3人は自由を奪われた約10日間の生活から解放されたが、3人と同時に捕まった現地法人の高橋定さん(57)が依然、拘束されており、3人は9月30日夜、高橋さんの早期釈放を訴えるコメントを出した。
中国は1日に国慶節(建国記念日)を迎え、同日から7連休に入った。政府機関も原則的に休みとなるため、高橋さんの釈放が連休明け以降にずれ込み、拘束が長期化することが懸念される。
3人は本社から出張していた佐々木善郎さん(45)と橋本博貴さん(39)、現地法人に出向中の井口準一さん(59)。3人は9月30日夜、上海総領事館を通じて「同僚が1人まだ石家荘に残っており、心配している。早く解放されることを祈っている」とのコメントを公表した。
菅直人首相は同日、「残り1人の一刻も早い解放を求めたい」と述べており、今後の対応が注目される。
高橋さん、佐々木さんら4人は、旧日本軍の遺棄化学兵器関連事業の入札に参加するため石家荘の現場付近を下見に訪れていた。(共同)