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【アフリカの真珠・ウガンダリポート】収量3倍、食糧難も経済も救う「ネリカ米」 日本人の奮闘 (1/2ページ)
人口増加が著しく、慢性的な食糧不足にあえぐアフリカで、乾燥に強い陸稲の新品種「ネリカ」の栽培に期待が集まっている。国際協力機構(JICA)の専門家、坪井達史さん(60)は「ミスター・ネリカ」の異名をもち、ウガンダを拠点に仲間とともに普及活動に取り組んでいる。「アフリカの人みんなが米を食べられるようになれば」。食糧難の解決に向け、奮闘を続けている。(ウガンダ=カンパラ、中島高幸)
ウガンダの首都、カンパラの北約30キロにあるワキソ県ナムロンゲの国立作物試験場。約1千ヘクタールの広大な敷地で、農民向けのネリカの栽培研修が行われている。
「ネリカ栽培は簡単で、稲作入門に最適。在来種の3倍も収量があり、水田整備など投資もいらない」。坪井さんらは出張研修も含め、これまで8千人以上に技術を伝えてきた。
アフリカの人口は現在、世界の14%にあたる約9億人。増加率は高く、2050年には世界の20%を占めると推定される。一方、ウガンダ国内の米の消費量は08年で16万2千トン。うち6万トンを輸入に頼る一方、1人あたりの消費量は年6%ずつ増加している。
海外で農業指導をしていた坪井さんがネリカに出合ったのは1992年。西アフリカのコートジボワールに派遣された際、ネリカの誕生を目の当たりにした。アフリカの環境でも簡単に栽培できるほか、他の作物のすき間に植えることができる利点もある。
坪井さんは2004年、ウガンダに拠点を移した。「首都のそばに広大な試験場があり、気候も人も穏やか」というのが理由だった。赴任前に1500ヘクタールだったウガンダ全土の耕作面積は、4万ヘクタールに膨らんだ。