霞ヶ関では、新しい組織が設置される場合、その組織の権限を明確にする必要があり、かつそれは他省庁や既存の会議の権限とダブってはいけないのです。加えて言えば、新しい組織の設置根拠が法律かそれ以外(政令や閣議決定)かで、霞ヶ関内での影響力は全然違います。
ところが、この二つの組織には設置根拠となる法律がありません。新成長戦略実現会議などは閣議決定の紙一枚で設置されました。経済財政運営に関係する組織が安易に複数設置されてしまったので、その尻拭いのために官僚はデマケの理屈を一生懸命考えさせられているのです。加えて言えば、どうやら財務省はこれらの組織に予算編成の権限を奪われないよう、水面下で根回しを行なっているようです。
政治の側が安易に組織を設置し、個々の権限や組織間のデマケなどの細部については官僚に丸投げしているために、もっと政策の中身を考えるのに時間を使うべき官僚がそうしたロジ的な雑用に忙殺され、かつ省庁間での権限を巡る争いも起きる。政治家の“その場しのぎの政策決定”のツケは、経済財政運営についてもこのような形で現れているのです。
大事な教訓
いずれにしても、尖閣諸島問題への対応を巡る混迷や経済財政運営の司令塔を巡る混乱から明らかとなった教訓は、官僚主導の政策はB級だけど、その場しのぎや個々の政治家の体面ばかりを重視した政治主導による政策はそれ以下のC級になる、ということではないでしょうか。
菅政権は、一刻も早く自らの落ち度を認識し、政策決定プロセスを正しい形に改めてほしいと思います。