◆阪神3−1巨人
もう1敗もできない中で、“無敗のエース”が、逆転Vへ、首の皮一枚つないだ。阪神・能見が巨人打線を6イニング1失点に抑え、今季6勝目。ローテーションを入れ替え、中5日で臨んだ1戦で、見事に期待に応えた。
「負けられない重圧? そんなんは気にしないで、慌てないように投げました。きょうは僕じゃないですよ。野手にいっぱい助けてもらった」。試合後はお立ち台を辞退した左腕は、笑顔を見せることなく、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
はっきり言って状態は良くなかった。立ち上がりから毎回走者を許す苦しい投球。1点を先制された3回、続く4、5回も2安打ずつを浴び、ピンチの連続だった。4カ月の戦線離脱を余儀なくされた右足の骨折が完治し、復帰してから4度目の先発。途中、中継ぎの登板も含め、中2日、中4日、中5日と優勝争いの中、スクランブル登板を強いられているだけに、疲労はピーク。それでも投球術と、気持ちでそれをカバーし、最少失点にとどめた。
能見だけでなく、この日は真弓監督も執念を見せた。先発メンバーに今季初めてブラゼルを外した。45本塁打でキング争いをしている主砲だが、近況は打撃不振。しかも巨人・ゴンザレスには今季、11打数無安打、7三振とあって、関本を4月20日以来のスタメン起用に踏み切った。その関本が3回に右前打を放ち、逆転の口火を切るなど、その采配は大当たりだ。
この1勝で巨人の4連覇は阻んだ。また、2位に浮上し、マジックも7と1つ減らした。残り7戦、後がない戦いには変わりないが、真弓監督は「勝つため、点を取るために、調子のいい人を使っていかないと。ヨソのことより自分。まだチャンスはあるんだから」。可能性がある限り、どんな手を使ってでも、必死に勝ちにいくつもりだ。 (大久保晋)
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