宮崎県の東国原英夫知事が29日の県議会本会議で、任期満了に伴う12月の知事選への不出馬を表明した。2007年に初当選後、1期4年だけで退任する。国政への関心が強く、退任後は次期衆院選への出馬が有力視される一方で、発言力の大きい東京都知事への意欲ものぞかせており、来年4月に予定されている都知事選への出馬の可能性も指摘されている。
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本会議後の記者会見で「総理を目指すのか」と質問された東国原氏は「なりたいんじゃない。この国の形を変えるために何かをしなければならない」と、早口でまくしたてた。
昨夏の衆院選で自民党からの出馬を要請された際、「私を次の総理として自民党は選挙を戦う覚悟があるのか」と自らを次期党総裁候補にするよう条件を提示したことを再び掘り返され、一瞬イラッとした表情。「国のシステム、あり方を根本的に変えなければ地方の疲弊、国の閉塞(へいそく)感は是正できない」と強調した。
今後の進路については「全く白紙」と明言を避けた上で、「どこかのポジションで、国の形を変える行動を取りたい」と強い意欲。「どこかで」と発言したように、一国会議員としてよりも、より大きな発言力、影響力を持つ都知事選への出馬が本命とする声もあり、「都知事になる、ならないではないが、首都圏は地方分権に大きな役割を果たさなければならない」と色気を感じさせる発言も飛び出した。
今月に入り、都内でタレント時代の師匠・ビートたけしと面会。昨夏の“国政転身騒動”の際には、たけしと会食し、「逆風どころじゃないぞ!とにかく早く謝れ。謝って宮崎に帰れ」などと一喝された。今回の面会では、事前に不出馬の意向を伝えたとみられる。
マンゴーや宮崎牛、地鶏を売り込み、宮崎の知名度をあげた「宮崎のセールスマン」。「どおーもね、県知事としての限界を感じた。すみません」と一期限りでの退任を表明したが、宮崎では口蹄(こうてい)疫終息を受けて、経済や畜産の復興への課題が山積。東国原氏に対する県民の期待感は依然根強いだけに、退任には批判の声が上がりそうだ。
東国原氏は、07年、「宮崎をどげんかせんといかん」と訴え、無党派層からの圧倒的な支持を得て初当選。テレビ宮崎の世論調査では昨年7月の国政転身騒動の直後には支持率が落ち込み70・7%となったが、今年8月の調査では89%だった。
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