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【主張】露大統領発言 大使召還など対抗措置を
クリール諸島(日本の北方領土と千島列島)訪問計画のあったロシアのメドベージェフ大統領が、「今回は取りやめるが、近いうちに必ず行く」と言明してモスクワに戻った。
ソ連とそれを継承したロシアは戦後65年以上にわたって、日本固有の領土である北方四島を不法占拠し続けている。しかし、歴代の指導者が実際に北方四島の土を踏んだことはない。
露大統領の北方領土訪問が決行されれば、日本の主権に対する完全な侵犯であり、政府は断固として訪問を許してはならない。
かつてだれも口にすらしたことのない「訪問」をこれほどはっきり言明した背景には、2012年春に迫ったロシアの大統領選挙があるとみられている。
プーチン首相との双頭体制下でどちらが大統領となるのか、現段階では不明だが、メドベージェフ氏には外敵に屈しない「強い指導者」であることを誇示する必要に迫られている。
今夏、9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」に制定したことや、先日、中国の胡錦濤国家主席との会談で歴史認識や領土問題で中露両国が共闘する姿勢を表明したことも延長線上にある。
ロシアは、対露外交での菅直人政権の弱腰ぶりを敏感に感じ取り、対日強硬路線にかじを切った。歴史を歪曲(わいきょく)しても、日本がロシアと断交するほどの対立を望まないと足元を見ている。尖閣諸島問題で、恫喝(どうかつ)によって日本から譲歩を引き出した中国の狡猾(こうかつ)さに学んだこともあるだろう。
この難局に立ち向かうには、国際的な枠組みを活用するしかない。4日からベルギーでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席する菅首相は、ロシアや中国の領土問題などでの無法ぶりを訴えるべきだ。
11月に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、日本が議長国を務めるだけにその利点を十分にいかすチャンスとしたい。
今回、前原誠司外相は駐日露大使に対し、「日露関係に重大な支障が生ずることになる」と強く警告した。
万が一にも、大統領の北方領土訪問が行われるような事態になれば、日本としては駐露日本大使を召還するなど、毅然(きぜん)とした姿勢で対抗措置を取るべきである。